卑下でも何でもない、まんまのタイトル。
下ネタ、しつこく繰り返す天丼、ハイテンションで乗り切る……サブタイトルの通り、お笑い理論で説明するとこれ以上ないほどの最底辺だが、プロの漫画家が実践するとこうなるのだ。
ジョン・ケージが屁理屈つければどんなキテレツな曲も芸術に昇華されるのと同じである。
ごめんなさい嘘です。
こっちはただのオゲレツ漫画。
徹底して高尚たることを嫌い、ラブレー的教養の高さは微塵もない。
バタイユが読んでも「クソマンガ」と一蹴しただろう。
アートなんざクソ喰らえである。
『珍遊記』の主人公は山田太郎だが、別の漫画にも随所に出てくる。
もちろんここにも。
スターシステムなどという大層な代物ではない。
名前を考えるのが面倒なだけだろう。
そもそもペンネームからしてテキトーだ。
漫画に太郎。
モリッシーがイギリスで一番ありがちな名前をバンド名にしたのとは訳が違う。
一般名詞スレスレの匿名性云々と講釈を垂らしたくなるが、ここは我慢だ。
漫画のアナグラムだけに。
同じ絵の濫用に反復の美学を唱えたくもなるが、コピー機買ったのが嬉しくて多用したという残酷な事実の前にあらゆる解釈は無化される。
どんなに否定したところで、あらゆる人間は排泄から逃れられないのだ。
活動初期から交流のある電気グルーヴが、自著『メロン牧場』を「便所文庫」と呼んでいたのを思い出しつつ。