Telegramの独自ブロックチェーン「TON」のテストネットの検索・確認できるエクスプローラーやノードソフトウェアが公開されているということでしたので、この機会に少しTONについて各種ドキュメントなど調べてみました。
TONのホワイトペーパーの冒頭を読むと概要として下記のようなことが書かれていました。
・TONは、Telegram Open Networkの略
・マルチブロックチェーンプラットフォーム、ピアツーピア、分散ストレージ、
およびサービスホスティングテクノロジー※下記にて特徴を説明
・様々なサービスをホストして提供することを目的とした巨大な分散型スーパーコンピューター、あるいは「スーパーサーバー」と考えることができる
ブロックチェーンプロジェクトを包括した様々なサービスをホストできるようにすることに主眼においているように感じますね。
TONのコンポーネントを下記にまとめます。(ほぼホワイトペーパーの翻訳ですが。。。)
1.柔軟なマルチブロックチェーンプラットフォーム(第2章を参照)
・1秒あたり数百万のトランザクションを処理できる
・チューリング完全なスマートコントラクト
・アップグレード可能な正式なブロックチェーン仕様
・マルチ暗号通貨の転送
・マイクロペイメントチャネルとオフチェーンペイメントチャネルネットワーク
また、TONブロックチェーンは、下記のユニークな機能を提供している
・「自己修復」垂直ブロックチェーンメカニズム(2.1.17を参照)
・インスタントハイパーキューブルーティング(2.4.20を参照)
2.ピアツーピアネットワーク(第3章を参照)
・TONブロックチェーンへのアクセス
・トランザクション候補の送信
・クライアントが関心を持っているブロックチェーンの一部のみの更新の受信( たとえば、クライアントのアカウントやスマートコントラクトに関連するもの)
・任意の分散サービスをサポート(ブロックチェーンとの関連に関係なく)
3. 分散ファイルストレージ(TON Storage:4.1.8を参照)
・TONネットワーク経由でアクセス可能
・TONブロックチェーンデータの保存(ブロックのアーカイブやステータス)
・ユーザーまたはその他の任意のファイルを保存するためにも使用可能
・torrentのようなアクセステクノロジーを備えている
4. ネットワークプロキシ/アノニマイザーレイヤー(TONプロキシ: 4.1.11、3.1.6を参照)
・I2P(Invisible Internet Project)に類似
・必要に応じてTONネットワークノードのIDとIPアドレスを非表示にできる
(大量の暗号通貨を持つアカウントからのトランザクション、DDoS攻撃に対する対策として正確なIPアドレスと地理的位置を隠したい高額なブロックチェーン検証ノードなど)
5. Kademliaライクな分散ハッシュテーブル(TON DHT: 3.2を参照)
・TONストレージ(「3.2.10」を参照)の「torrentトラッカー」
・TONプロキシ(「3.2.14」を参照)の「入力トンネルロケーター」
・TONサービスのサービスロケーター(3.2.12を参照)
6. 任意のサービス用のプラットフォーム(TONサービス:第4章を参照)
・TON NetworkおよびTON Proxyに存在し、利用可能
・フォーマル化されたインターフェイス(4.3.14を参照)を使用して、Webアプリまたはスマホアプリとの対話可能
・これらの正式なインターフェースと永続的なサービスエントリポイントは、TONブロックチェーンで公開可能(4.3.17を参照)
・特定の瞬間にサービスを提供する実際のノードは、TONブロックチェーンで公開されている情報から始めて、TON DHTで検索できる(3.2.12を参照)
・サービスは、クライアントに何らかの保証を提供するために、TONブロックチェーンにスマートコントラクトを作成する場合がある(4.1.7を参照)
7. TON DNS(4.3.1を参照)
・アカウント、スマートコントラクト、サービス、およびネットワークノードに人間が読める名前を割り当てるサービス
8. TONペイメント(第5章を参照)
・マイクロペイメント、マイクロペイメントチャネル、およびマイクロペイメントチャネルネットワークのプラットフォーム
・オフチェーンでの迅速な価値移転
・TONサービスを活用したサービスの支払い
9. サードパーティアプリとの統合(4.3.24を参照)
・サードパーティのメッセージングおよびSNSアプリとの統合が容易
・上記によりブロックチェーンテクノロジーと分散サービスをほんの一握りの初期の暗号通貨の採用者ではなく、最終的に一般ユーザが利用可能(富の集中を防ぐ)
統合の例を、もう1つのプロジェクトであるTelegram Messenger(4.3.19を参照)で示します。
TONブロックチェーンはTONプロジェクトの中核であり、他のコンポーネントはブロックチェーンの補助な役割を果たすと考えられるかもしれませんが、それらはそれ自体で有用で興味深い機能を備えています。
これらを組み合わせることで、「TONブロックチェーンを使用するだけ」よりも、より汎用性の高いアプリケーションをホストできる(2.9.13および4.1を参照)、とのことです。
ホワイトペーパーに比較表の記載あったので載せておきます。
この比較表を見る限りでは、現時点で特徴的なのはPolkaDotやCosmosのような相互運用性を持ったプロジェクトであり、異種/同種マルチチェーンシステム、シャーディングの実装、ブロックチェーン間のインタラクチョンを密結合させている部分でしょうか。
色々と疑問点多くて、長くなりそうなので別の記事で深掘りしていきたいと思います。