岐阜県中津川市付知町(つけちちょう)の築150年古民家でゲストハウス&カフェをしている「付知ばあちゃんち」です。今日は、ゲストハウスのお布団の話をさせてください。
お布団屋さんが「人生の三分の一は寝てるんだから」とよく言われます。でもでも、寝ている時って意識が無くなっちゃうじゃないですか。だから、布団なんてニトリで5点セット買ったら充分じゃないの?とも思います。が・・・ホテルのウリの一つに「海外メーカーのマットレスです」なんてアピールするところもあって。
ほんの50年くらいまでまで、家庭であたりまえに行われていたのが、家族総出での布団作りです。毎年、打ち直し作業をしていました。この家でも、そんな時代が長くあったんだろうなぁ~ と感じて。決めました。
かといって・・・何も経験がありません。友人が、国家資格の寝具制作技能士一級をもっていたなぁと思いだし「お布団作り教えてくれない?一緒に作ってほしい」とお願いしてみました。彼女は60代ですが、快く引き受けてくれました。
制作するお布団は10組。敷布団と掛け布団です。お布団記事は、手縫いで針が通りやすいように生地の折り方がすこし粗目なのです。余談ですが、針が通りやすいのと可愛らしい柄が多いので、昭和時代の布団記事はパッチワークされる方にも愛用者が多いのですって。せっかくの、今やめずらしくなった布団つくりなので、一緒にお布団作りしてみたい人をSNSで募集してみました。なんと驚いたことに10名以上の参加者さんが集まりました。場所の関係で二回に分けて開催しました。
天津といえば有名なのは天津甘栗ですね。(美味しい。私も大好き)実は、天津では甘栗の前は綿作りをしていました。人気の綿でしたが、食べることのできない綿よりも、甘栗のほうが安定して売れて売りやすいという理由で、綿は下火になって生産が中止されてしまいます。最後の天津綿を、布団つくりをお願いした彼女のお父さんがまとめ買いして保存していました。この天津綿を惜しみなく使って布団つくりがはじまりました。
布団生地を広げて、まずは10センチ四方の小さな真綿を手で引っ張って布団の大きさに伸ばします!(←私は、すでにここでビックリ仰天です)その上に、天津綿を広げ、のせ、手で大きさを合わせちぎり重ね、を繰り返します。四隅の角を、綿でツンツンになるように整えるのは寝具制作技能士でも難しいそうです。初めての布団つくりは驚きの連続でした。綿をばたばたすると埃が舞うと思い込んでいたのですが、ほとんど埃がたちません。先生が「本当の綿をキチンと管理していたら埃はたたないんですよ」って!「お布団は中身が見えないから、いつのころからが誤魔化しが行わてしまって悲しいです」とも・・・。
布団は大物ですから、手だけじゃやなく足と体全体をつかって、縫い留めていきます。午前中に始めた布団つくりも、止付けのころは夕方です。みんな、縁側に布団をもって移動して作業をしました。縁側の明るさがよく分かりました。昔の建物の様子を再現していますから、屋内の灯りはリラックスできる程度に抑えてあり針仕事にはちょっと明るさがたりません。参加者でわいわいと布団をしあげていきました。
お昼ご飯は、先生を囲んで手作りの食事をしました。参加されたかたは、健康に敏感なお若いご家族から、おばあちゃんから譲られた布団がたくさんあって何かしたいとおもっている男性から、とにかく綿好きな女性まで、みんな綿が大好き(#^.^#) お話も盛り上がりました。
人の体って、眠って疲れを戻します。体はリンパ液で不必要なものや汚れたものを回収するのですが、脳にはリンパがありません。では、脳のいらないものはどうやって体外にだすのかというと、しっかり眠ると脳がほんの少し小さくなって血流がふえ、この血流でいらないものを回収するのですって。だから、ぐっすり眠ることは体にも脳にもとても大切なのですって。付知ばあちゃんちは、星明りの下の、森にまもられた昔ながらの里山住宅地にあります。自然の音と、手作り布団でぐっすり眠れます。都会の喧騒や人付き合いにつかれた方が、のんびり過ごされることがおおいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。