有名な京都・南禅寺の奥に知られざる聖域があるという。
それが南禅寺奥之院。
ここへ向かうべく南禅寺に行ったこすもす探検隊だが、いろいろと寄り道している間に目的を忘れそうになってしまった。
あわてて奥之院へ向かうが、そこへの道は薄暗い山の中で誰も通らず、心細くなってきて…。
前編:京都・南禅寺の最奥部は知られざる聖域だった 南禅寺奥之院 前編
では、いよいよ山の中にある南禅寺奥之院へ!
前編に引き続き水路閣から南禅寺奥之院へ向かって進みます。
もうすっかり山の中。
ついさっきまで居た水路閣で、多数のカップルがウキャウキャと写真を撮っていたとは思えない雰囲気になりました。
奥之院への参道ぞいにはでっかい杉の木が。
大杉大神とあります。これだけ立派ならそりゃ御神体にもなりますよね。
ということで、どうやら神の領域に入ってきたようです。
大杉大神を通り過ぎて数分で奥之院が見えてきました。
この南禅寺奥之院は、前編で訪ねた南禅寺塔頭・最勝院の奥之院なのです。
賑やかな南禅寺から少し歩いただけで、こんな場所があるなんて知らなかったです! さすが南禅寺公式サイトにも載っていない隠された場所。
では、ワクワクしつつ階段を登りましょう。
階段を登ると南禅寺奥之院の拝殿が。
空気は澄んでいて湿気を含み、しっとりとした雰囲気。南禅寺境内とは空気感が違います。
脇には掃除の道具が置いてあって、よく整備されています。
僕が訪ねた時も女性の方が床を掃いたりされていました。ボランティアの方のようで、頭が下がります。
そして、拝殿の奥には…。
小さなお堂というか祠が。
前にある小さな標識によると、ここには駒大僧正が祀られています。
駒大僧正とは?
ここ南禅寺奥之院は、鎌倉時代に駒道智大僧正が晩期に隠棲した場所。
駒道智大僧正は比叡山で修行を積まれ、三井寺管長や永観堂住持になられた高僧です。
伝説によると、駒道智大僧正は1266年3月3日に白い馬(駒)に乗り天空に身を隠した(お亡くなりになった)といいます。
この伝説から駒大僧正とよばれ、奥の院の滝を駒ケ滝と呼ぶようになったとのこと。
そう、奥之院は滝行のための滝がある修業の場なんです。
このお堂からさらに奥に続きます。
奥には何やら滝が見えます。これが駒ヶ滝。
ここで滝行が行われるのです。南禅寺奥之院は山の中の修行の地なんですね。
たしかにこの雰囲気、修行の地というイメージにぴったり。
そしてこの地は鎌倉時代から「神仙佳境」と称されます。
神仙佳境とは、神や仙人が住む素晴らしいところという意味。
ほんとに神仙が住んでいても不思議ではない雰囲気です。
では、その滝まで行ってみましょう。
ここが駒ヶ滝。
おおー、まさに滝に打たれる滝行にふさわしい感じです。
滝の高さは4~5メートル位でしょうか。
ちょうど滝に打たれるのに適した量と水圧の水が落ちてきています。
ここは修業の場、とても神聖な雰囲気が醸し出されています。
下界とは別世界ですね。
そして滝の横には大日大聖不動明王。滝といえば不動明王ですよね。
ちゃんとお花も添えられていて、奥之院がきちんと管理されていることがわかります。
滝の横には滝行のための更衣室が。
この更衣室には英語での注意書きが貼られていました。
[NOTICE]
Here's "the Saint Dojo".
Please don't enter "the Saint Dojo"
without practising "TAKI GYOU".日本語訳:
【注意】
ここは聖なる道場。
滝行以外で聖なる道場に入らないで下さい。
そして、横には裸で入らないようにとの注意がイラストで描かれています。
しかし、どうして英語のみでの注意なのでしょう?
ここ南禅寺奥之院は日本人観光客にはあまり知られていない場所ですが、外国人観光客には結構有名らしいです。
海外の大手旅行サイトで紹介され、新型コロナ流行前には外国人観光客が多数訪れていたとのこと。
ここを訪れた外国人がこの滝を見たら、そりゃ水浴びしたくなりますよね。
思わずパンツ一丁になって、滝で水浴びしてヒャッハー!な状況だったそうです。
となると、南禅寺さんや管理している人は激おこでしょうねー。
ということで、英語での注意書きが貼られたようです。
さて、南禅寺奥之院はこの滝で終わりではありません。
さらに奥に進みましょう。
滝の横から山を登る階段が洞窟に続いています。
なにこの洞窟? 吸い込まれそう…。
しかし探検隊といえば洞窟ですから、この洞窟へこすもす探検隊が入らないワケにはいきません。
洞窟の中は…?
洞窟の中は照明などなく暗く、外から差す明かりでなんとか見える程度。
撮影は手ブレ補正つき一眼カメラを使っているので、フラッシュなしで撮れています。
洞窟内にいくつかの石仏が見られます。
その奥は行き止まり。
将軍地蔵菩薩。
洞窟にはこのような石仏がいくつも安置されていました。
洞窟を出ると、さらに山を登る小道が見え、滝の上流にあたる小川も流れています。
ここは修業の場。修行僧が山中を駆け巡っていたのでしょう。
ここからさらに登ってゆくと、大文字山や山科に続いてゆきます。
このあたりは昔は修行の地、現代では人気のハイキングルートでもあり、この時も何組ものハイカーが山を降りてきていました。
さて、時間の関係がありますので、こすもす探検隊はここらで引き返すとしましょう。(ウロウロと寄り道しなければさらに進めたかも…。)
帰り道。
南禅寺に咲く百日紅のピンクの花が、まだ残る夏を感じさせてくれました。
南禅寺奥之院。
南禅寺のメインな場所から寄り道せず歩いてわずか十数分で、神仙佳境の別世界へと旅立つことができました。
素晴らしい探検、いや散歩となりました。
このような修行の神聖な場所がいつまでも廃れず荒れず、逆に観光名所として賑わうこともなく、知る人ぞ知る聖域として静かに今の姿で続くことを願ってやみません。
Camera: LUMIX G8
Lenses: LEICA 12-60mm F2.8-4, OLYMPUS 9mm F8, LUMIX 45-150mm F4-5.6
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