この星の知的生命体は、不思議な嗜好があるみたいだな。それも、三人一組で何かをするのがとても好きみたいだ。
「リュラーン、この紅茶シフォンケーキは結構ポイント高いわね、まあアラクの作ったケーキ程ではないけれどね」
「ふふ、姉さんのアラク贔屓は天下一品、唯我独尊、天下無双だね。まあ、仲がいいのは何よりだけど」
それにしても、謎に三人カップルの遭遇率が凄すぎる。というか、主力テーブルの形状が正三角形で残りはカウンターと多人数用の九人掛けテーブルがあるがこれも三角形で徹底されている。
しかし、いろんなカップル?がいるなあ。俺が店内を見回した限りでは皆仲が良さそうでそれだけは安心できるが・・・・・・
右隣のテーブルには、金髪筋肉ムキムキの男と黒髪のスレンダー美女、それに子豚が三本のストローを一つの器に提供されたカップル用ドリンクを飲みながら楽しそうに笑っていた。
左隣のテーブルには赤毛の小柄な男とハニーブロンドの大柄な女と犬が多彩な料理をシェアしながら談笑していた。
ふーん、三人カップルって世界を救うのか。なんだか二人で狭い世界に閉じ籠る恋人たちに見せてやりたい光景だな、裏事情はまあ知らんけど。
「本日は初めてのご来店ありがとうございます、店長でございます。ほい、店の奢りだ。しかし、兄《あん》ちゃんさっきまで気付かなかったがネコと美女を両天秤に掛けるとは中々隅に置けないねえ。肩に止らせた蟲ちゃんは確定枠で後はどっちを選ぶんだ。はっはは、まあ楽しんでってくれよ。くれぐれも血の雨、修羅場は他の店でやってくれよな。 まあ、がんばれや!」
ばしっと、俺の左肩を叩いた。(ということは、この店長はムガットが見えているのか?)
『・・・・・・ ムガット』
「ちょっと、店長さん。あなた、眼科に行った方がよろしくてよ。なんで、わたしくしがこんな猫と比べれれなきゃならないのよ。端から勝負はわたくしの勝利で確定、そんなことも判らなくてよくも客商売しているわね!」
「・・・・・・ そう言われてもなあ。兄ちゃんと肩の蟲ちゃんとの間には魂の結びつきが感じられるからなあ。あと、お嬢さんと猫君のことは大好きみたいだが優劣は着かないみたいな雰囲気だからな。
こればっかは、お互い相性の問題だからな。どうしてもの時は、恨みっこ無しで精一杯闘いな嬢ちゃん」
店長は、にかっと笑うと厨房の方に戻って行った。
「・・・・・・」
「ご主人との間には、別に愛など無いにゃ」
『・・・・・・ ムガット』
「まあ、ネコがアスタロトに惚れてるのは知ってるから別に良いとして。この惑星の恋愛関係は普通に三角関係が基本みたいだな。しかも、明らかに異種族が混ざるのが基本みたいだ。
まったく、どんな進化過程を経ればこういう世界になるのか?誰かさんだったら、実に興味深いとか言うんだろうが」
「そんなことより、分かっているわね。リュラーンは私だけのものなんだから」
「・・・・・・ うん」