ヴァンエックが2021年にローンチしたソーシャルメディア関連のETFについて、米国証券取引委員会(SEC)が重大な違反を指摘し、罰金を科したことが明らかになった。
このETFは、オンライン上で話題になっている株式に投資することを目指していたが、そのマーケティング戦略には、有名なインフルエンサーが関わっていたことが判明したのだ。
SECの発表によると、ヴァンエックは、このETFの立ち上げに際して、インフルエンサーにファンドの規模に応じて報酬を支払うという秘密の契約を結んでいた。
しかし、この契約は、ETFの取締役会にも開示されておらず、投資顧問契約やファンド運営に影響を及ぼす可能性があった。また、インフルエンサーがファンドの宣伝にどのように関与していたかも、投資家に対して透明にされていなかった。
SEC管理と停止命令のスクリーンショット。Source:SEC
SECは、インフルエンサーの正体を公表していないが、2021年のメディア報道によると、バースツール・スポーツの創業者であり、自身もトレーダーとして活動しているデイヴィッド・ポートノイ氏が、このETFのプロモーションに協力していたという。
ポートノイ氏は、自身のSNSや動画で、このETFについて熱く語っていたが、その背景には、ファンドの成長に応じて報酬が増えるというインセンティブがあったのだ。
SECは、ヴァンエックが投資会社法や投資顧問法に違反したとして、停止命令や懲戒処分を下した。ヴァンエックは、SECの調査結果を否定せず、罰金約175万ドル(約2億円)を支払うことに同意した。
このETFは、現在も市場に上場しており、仮想通貨関連の企業も含む75銘柄を保有している。
このニュースは、ヴァンエックのソーシャルメディア関連のETFについて、多くの投資家にとって衝撃的な出来事です。
SECの告訴は、ヴァンエックの信頼性や透明性に疑問を投げかけるものであり、その影響はまだ見通せないでしょう。
このETFは、オンライン上で話題になる株式に投資するという斬新なコンセプトで、多くの注目を集めていましたが、その裏でインフルエンサーが報酬を受けて宣伝していたという事実は、投資家の期待を裏切るものでした。
インフルエンサーの中には、バースツール・スポーツの創業者であるデイヴィッド・ポートノイ氏のように、自身もトレーダーとして有名な人物もいましたが、その彼がファンドの成長に応じて報酬を得ていたというのは、非常に問題視されるべきことだと思います。
今後の市場動向としては、このETFは、SECの罰金や停止命令にもかかわらず、現在も市場に上場しており、仮想通貨関連の企業も含む75銘柄を保有しています。このETFが連動する指数は、ソーシャルメディアやニュース記事、ブログなどのデータを基に、毎月更新されます。
そのため、オンライン上での話題やセンチメントによって、このETFのパフォーマンスは大きく変動する可能性があります。
また、このETFは、同様のコンセプトで2016年に設定されたが、19年に清算されたという過去の事例もあります。そのため、このETFの将来性や安定性には、まだ不確実性が残っていると言えるでしょう。
筆記者の感想としては、このETFは、ソーシャルメディアやオンライン上の動きに敏感に反応するという、興味深いアイデアであると思いますが、その一方で、その運用やマーケティングには、より厳格な倫理規定や開示義務が必要だと感じます。
インフルエンサーがファンドの宣伝に関与すること自体は、悪いことではありませんが、その際には、その関係や報酬の内容を、投資家に対して明確にするべきだと思います。
また、このETFに投資する場合は、オンライン上の情報に惑わされず、自分自身で十分な調査や分析を行うことが重要だと思います。
このETFは、高いリターンを期待できるかもしれませんが、同時に高いリスクも伴うことを忘れてはなりません。