「一度、言ってみたかったんだよ」
男は唐突に語りだした。
「ほら、あんたにもないか?漫画やアニメで出てきたセリフ。「ここは俺に任せて先に行け」とか『この戦争が終わったら結婚するんだ』的なやつ。
リアルで言う機会があっても恥ずかしくて言えないんだろうけど、それでもさ、俺の中の少年の心ってやつが今か今かって狙っているわけよ」
熱い気持ちを吐露する。
「俺ってさ、ほら、この会社だと結構上の立場なわけよ。いろんな企画出してやり終えたと思ったら成功の余韻にひたる間もなく新しい企画。やった当初は問題なかったのがしばらくするとまずいことになってきて修正の作業。延々と繰り返して終わりがないわけ。合間にさ、ちょっとした楽しみぐらい挟みたいわけだよ」
自慢話と自己中心的な考え。
「今回の問題ってさ、ぶっちゃけ出す前から分かっていたよ。でもな、そん時にあることに気が付いてさ、それが実現するまでの時間が欲しかったわけ。だからさ、こいつのMAXレベルが12枚になるのを開始の合図にしたわけよ。年末進行の忙しいとき?知らネ」
聞く人が聞いたら大問題になるようなことを笑いながら話す。
「ん?なんで12かって?そりゃ、8と3と1で12ってのが理由だよ。語呂合わせってだけでそんなに深い意味はないぜ。なんせ、1枚は俺だからな」
聞いてもいない質問と、どうでもいい回答。
「さて、そろそろ時間だ。準備はいいか?俺はできているぞ」
男が胸ポケットから出して眼鏡をかける。
府レムの部分を人差し指で触ると、男は念願のセリフを言った。
「戦闘力…たったの5か…ゴミめ」
ご主人。そんなことよりちゅー〇が食べたい。
この物語はフィクションであり、実在の人物とは一切関係がありません。
………ありませんよ。
(グリル#036576)