金子半之助の海老天押し寿司は、海老と大葉のかき揚げを秘伝の丼たれで味付けし、押し寿司風に仕立てた弁当です。海老のプリプリした食感がアクセントになります。これは「天むす」の魅力と重なります。ガリが隠し味の酢飯に海老と甘い丼タレが合います。
「日本橋 天丼 金子半之助」は東京都中央区の日本橋にある江戸前天丼専門店です。2010年11月に開業しました。胡麻の風味豊かな特製の揚げ油を使い、丼から溢れるほどの豪快な天ぷらの盛り付けが魅力です。金子半之助は創業者である金子真也さんの祖父の名前です。真也さんは祖父から「秘伝の江戸前の丼たれ」の作り方が書かれた閻魔帳(レシピ帳)を受け継ぎました。Kentucky Fried Chickenの秘伝のスパイスと重なります。
海老天押し寿司はテイクアウト向けのメニューです。天丼と寿司という同じ和食ながらユニークな組み合わせです。SushiとTempuraは海外に通用する和食の単語のトップ2です。その組み合わせが中々ない理由は、天丼は熱さ、寿司は冷たさという正反対の魅力があるためです。実際、金子半之助の店舗では丼鉢で保温効果を持つ底に空洞を施した有田焼の特注品を使用し、冷たくならずに天丼を食べられる工夫をしています。海老天押し寿司は冷めてしまう環境でも美味しく食べられ、テイクアウト品に向いています。
金子半之助は2019年11月1日に東京都渋谷区に初のテイクアウト専門店「日本橋 天丼 天むす 金子半之助」を出しました。店名に「天むす」が加わっている通り、天むすが新たな試みです。天むすは名古屋飯です(林田力「千寿の天むす」ALIS 2020年10月23日)。江戸前の店が天むすを出すかという思いもありますが、金子半之助「秘伝の丼たれ」や胡麻油風味の揚げ玉などを使用し、オリジナリティを出しています。
海老天押し寿司は、より金子半之助らしさの出た目玉メニューと言えます。「日本橋 天丼 天むす 金子半之助」では一日限定百食で販売されました。東京駅でも販売されており、駅弁としても食べられます。折箱に入っており、ポータビリティも良いです。食べやすいサイズにカットされています。
テイクアウトは中食市場を狙ったものだったでしょうが、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行という前例のない出来事が起きました。ここまで変化を迫られた一年はなかったでしょう。新型コロナウイルス感染症は落ち着く見通しが見えていません。テイクアウトへのシフトは正解です。
----- Advertisement ------
◆林田力の著書◆
東急不動産だまし売り裁判―こうして勝った
和食