新しい年に最初の新しい出会いというのは特別に感じるのは私だけであろうか。人は環境で変わる。環境は人である。つまり新しい出会いは新しい自分でもあるのだ。
これまでのミスドで前回まで2度のコラボが好評だった鎧塚のチョコを今回も期待した冒険家は多かったようである。しかし今回は海外のパティシエであるピエール・エルメが手を下した。これはチョコだけでなくミスドのドーナツを一段階押し上げようとする手であるとも受け取れる。その最たるものが今回の新生地であるショコラフィナンシェである。クロエ、モガドール、プレニチュードの3種類が完全新ドーナツであり、バリエーションドーナツ3種と合わせて6種類が並んでいる。
フィナンシェ生地で塩キャラメルクリームとホイップ、ガナッシュクリームをサンドしていてこれまでのケチなミスドではできない贅沢な作りになっている。クリーム類は新しくはない要素ではあるが見た目にもこれまでのミスドとは違うものであり薄暗いデザート系カフェにありそうである。
まず持ち上げてみてその重さに不安を覚える。生地の硬さが持たなそうである。構わず一口口に入れると挟まれたクリームがぐぐっと広がっていくのがわかる。クリームが落ちるか落ちないかというところでサクホロという食感のフィナンシェ生地が口内にこぼれ落ちる。いや大量のクリームに絡んだ生地は落ちるようで落ちずに最後まで口が閉じるのを待っている。私はここで零れそうなクリームを案じた。途端吸い込む呼吸。ずるりと口に入るクリームがほろほろとした生地を包むように雪崩れ込む。
ショコラの空気が美味い。舌に当たる塩キャラメル甘みフィナンシェが順に味を伝えてくる。これは贅沢なミスドである。ミスドをはみ出るデザートではないがミスドの最上位である。
落ち着いて噛めば中にカリカリとアーモンドが心地よい音を頭蓋に響かせていく。
実食日は1月9日宵えびすである。人が多く終わりかけた正月気分を呼び起こしながら陽気な顔を見せている。他の冒険家は持ち帰りに集中していてこの新しさを感じる余裕はないようである。しかし改めて言っておこうミスドのドーナツは初日が一番美味いのである。在庫は店だけの問題ではなく倉庫でもある。へたをするとレシピが変わっていることだってあるのだ。初日が一番美味い今一度肝に銘じてミスドを確認しておくべきである。