平成最後の年であり、令和元年である2019いろいろなことがありました。特にこの界隈はいろいろありましたね。
個人的に外せない4トピックをピックアップしました。
目次
ブロックチェーン業界の動向振り返り
①Libra
②CBDC
③Defi
④ブロックチェーンゲーム
⑤感想
こいつは今年の大本命でしょう!BC業界でない経済や金融の教授がここで初めてブロックチェーンに関して議論をするなんてケースもあったのではないでしょうか。
今更聞けないLibra
・2019年6月にFacebookが発表した暗号通貨でまだローンチはしていない
・数種類の法定通貨(バスケット)を担保としているためいわゆるステーブルコイン(日本円の割合は14%)
・スーマートコントラクトが実装されているためいわゆるプログラマブルマネー
・利子がユーザーではなくLibraコンソーシアムに加入している企業に還元される
必要とされる理由
・請求書の手続きのような煩雑な作業がプログラムにより効率化されるから
Libraはかなり風当たりは強く、実際にローンチできるかはわかりません。
というのも、理由は主に二つです。
一つは既存の金融システムのユーザーが奪われてしまう可能性。もう一つはFBが何度も個人情報を流出させているのはご存知かとは思いますが、それに対する不信感です。
実際状況は深刻で、「USの許しが得られなかったらLibraやめます」と言っています。
ここでポイントなのは、主にLibraの仕組み自体の批判ではないということです。
特に後者はLibraではなくFacebookという会社に対してですよね。もしFacebookではなかったら、、?と思うわけです。
そこで出てきたのがOpen Libraです。
今更聞けないOpen Libra
こいつはFacebook主導ではなく、名前から分かるようにLibraをフォークさせてオープンソースで開発を行うというもの
・コインの発行はせず、Libraにペグする(価値の発行母体はFacebook)
・Cosmos-SDKベース
必要とされる理由
・Libraが死にそう
Open Libraの狙いとしては、価値の発行母体だけをLibraに任せ、プログラマブルな部分をオープンにするということです。
加えてCosmosHubで他のブロックチェーンと接続できます。いろんな通貨をOpen Libra上で扱えるということです。
Open Libraのがオープンだし使われそうでは?と思うわけですが、FBの膨大なユーザーを囲えないのは痛いですよね。
中国に関しては国家主導で動きを見せました。
(直前には量子コンピュータショックがありましたが、別途詳しく説明しているのでここでは省略します。)
今更聞けない中国の発言
10/24、習近平がブロックチェーンが技術革新、産業改革において重要な役割をはたし、他国に先駆けていくためにもその取り組みに力を入れるとスピーチした
その翌日から法の枠組みを強化していく取り組みも見られ、導入にあたり暗号法を中心とする必要な議論が活発化されています。こちらもうすぐ施行されます(2020 1/1)。
これを受け、民間組織も動き出し、ブロックチェーンに関する教育まで強化する動きも見られました。
いうまでもなく日本にはないスピード感です。
この衝撃はデータにも現れています。
SNSでは爆発的に言及されることになりました。
加えてBTCや中国銘柄の暗号通貨(NEO、Ontology、Qtum)、ブロックチェーン関連企業の株価もスピーチ後に高騰しました。
ちなみにFBのザッカーバーグCEOはこのような中国の動向を受け、米議会下院金融サービス委員会の公聴会でLibraの発行を阻止しようとする米議会に「アメリカは暗号通貨で中国に敗退する」と抗議しました。
そして既に中国はCBDC(Central Bank Digital Currency)の開発も進めております。
今更聞けない人民元のCBDC
・情報技術により決済における効率性、コスト削減
・脱税、マネロン及びテロ資金受け渡し対策
・金融政策の有効性の向上
・紙幣や硬貨の印刷、鋳造、貯蔵のコスト、偽造防止技術の設備投資の削減
ポイント1
価値の発行を中国人民銀行が行っていて、それを利用する民間に配布するのは仲介機関(四大銀行に加えアリババ、テンセントなども含まれる可能性あり)
ポイント2
要件を満たすために30万TPSは最低限必要であり、採用技術は必ずしもブロックチェーンではない
Libra、CBDC両者とも金融業界に大きな衝撃を与えました。当たり前じゃないものが当たり前になるのは歴史上よくあることです。
ここまで、①、②は世の中の動きとして是非知っておいて欲しいです。(アリス外、界隈外の人の心の中に呼びかけています笑)
2019年の初めくらいから聞くようになりました。特にETH周りでは外せないトピックだったと思います。
今更聞けないDefi
・Decentralized Financeの略
・分散型プロトコル(主にEthereum上)で作られた金融インフラ(サービス)
簡単にいうと国境越えて金融サービスに誰でもアクセス可能にを目指している感じです
新しい概念が生まれるとそれを定義づけようとするのですが、DefiのDeの部分decentralizedの要件を完璧に満たすのは難しく、Open Financeの方がより適切とする意見もあります。DApps(Decentralized Application)でも同じようにDecentralizedについての議論が起きています
考え方自体は、新しいものというよりETHが目指しているところの一部であり、開発が進んできているからこそDefiというワードが2019年特に言及されたのではないかなと個人的には感じています。
Defiの範囲はかなり広く、LibraもOpen LibraもDefiを目指しているわけですが(Open Libraの方がよりDefi的)、さらに実用例として一つだけ、MakerDAOを紹介します。
今更聞けないMakerDAO
・2種類の通貨、Dai(ステーブルコイン)とMKR(ガバナンストークン)
・(現状)暗号通貨を担保にUSDにペグしたステーブルコインDaiを貸し出す
・担保資産はETHに加え2019年11月よりBATも可能に
・DaiとMKRは預けた暗号資産を引き出すときの手数料として必要
・DaiはMakerDAOが開発したVaultに暗号通貨を担保資産として預入することでスマートコントラクトにより自動的に借りられる
・MKRはMakerDAOの意思決定プロセスに必要
DSRなど、他にもありますが省略させていただきます。下二項がDefiならではの特徴です。Fintechとは異なりますよと。
Defiの盛り上がりはデータからも読み取れます。
立ち回りとしてはMakerDAOでDaiを借りてCompoundに預けて高い金利を得るという手法が一番よく耳にしました。現状で一番使ってそうな層はここの周辺知識に精通しておりかつ大きめ資金をもつ人かなという印象です。
それを踏まえるとBATが最近追加されるまではETHのみが担保に使用できましたが、個人的な一番トレンドに乗れていたうまい立ち回りとしては、ICOで集めた大量のETHをDefiにあてるなんてのが考えられました。
(実際にいました。)
MakerDAOで日本円で17億を25億相当に。
短期的にはBrave(広告がデフォでブロックできるブラウザ)のクリエイターがコンテンツ収益によって得たBATを担保にして、、なんてなると面白いですが、日本では規制面で厳しいようです。
こちらも2019年外せないトピックだったと思います。
Defi系のプロダクトは2019年日本で開発が活発化してきてはいますが、実際使われているプロダクトは外国のものがほとんどです。一方ゲームに関しては、世界1位になっているプロダクトもあります。
今更聞けないブロックチェーンゲーム
・ゲーム内のキャラや武器がトークン(NFT)化している
・ブロックチェーンによりキャラや武器に共通性が生まれ資産価値も生まれる
・キャラや武器がゲームを越えて利用可能
・日本だとマイクリ(RPG)をはじめ、CryptoSpells(カートゲーム)、Gods Unchainedが人気
NFTとはNon-Fungible Tokenの略で、EtherみたいなFTとは異なり、トークン一つ一つにデータが書き加えられているためそれぞれ価値が一定ではないものを指します。
SAOを知っている方ならよくご存知かとは思いますが、一つのゲームの世界で得たステータスを別のゲームにコンバートしたりしています。
キャラや武器を別のゲームへコンバートするにはブロックチェーンは相性が良いのです。
VRも合わせればSAOの世界観とかなり近いものができそうです。
共通性が生まれるのもそうなのですが、リアル(現実世界)に近づいているような気がします。
LibraやCBDCには今後注目することはもちろん、2020年Libra的なものが新たに発表されたり、中国以外での国家主導の動きがあるかもしれません。
Defiもブロックチェーンゲームに関しては結局のところ儲けるためにという心理が強かった印象です。マスアダプトさせるためにはUX以外にはDefiなら暗号資産以外でのアクセス障壁を下げる、よりRRをフェアに、ブロックチェーンゲームはコンバートなどの面白さを見せるなどしていく必要がありそうです。