登録番号:特許6656993号
公開日:2017.10.5
出願人:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
いや、あんまり人気のないblogコンテンツだってことはわかっているのですが(笑)、自分にしか書けない記事がいいよなあ、とか考えますとね、とりあえず知財に関するblogならすぐに書けるぞー、ってなわけで。そうです、家にこもっているのでネタが無いんです(ぉ
外出自粛を受けて、携帯型ゲーム機やスマホなどでソーシャルゲーム(ソシャゲ)に興じている方はたくさんいると思います。そしていつも問題になるのが「課金」ですよね。特にお子さんがゲームをやっている場合に、親御さんはハラハラドキドキ、精神衛生上よろしくないわけであります。
今日紹介するのは、そんな課金システムについての特許です。特許出願じゃなくて、特許権として登録されたものです。
【課題】課金購入対象の案内表示などを行うゲームにおいて収益機会の効率的な向上を図る技術の提供。
【解決手段】多数のプレーヤのログイン、ゲームプレイおよび課金行為を少なくとも含む当該ゲームに係る行動の履歴を収集して、プレーヤが課金行為を行う可能性である「課金確率」を推定する。操作入力された場合に課金行為を直ちに実行するための課金オファー表示のパターンを、プレーヤの課金確率に応じて選択し、対象プレーヤのユーザ端末に表示させる。
いやー、おそろしい!
請求項の数は全部で8ですが、ここでは請求項1だけを抜粋します。
【請求項1】
ゲームの実行に当たりユーザ端末が通信接続する当該ゲームのサーバシステムであって、
多数のプレーヤのログイン、ゲームプレイおよび課金行為を少なくとも含む当該ゲームに係る行動の履歴を収集して、所与の対象プレーヤが課金行為を行う可能性(以下「課金確率」という)を推定する課金確率推定手段と、
前記課金確率に基づいて、前記対象プレーヤの前記ユーザ端末での広告表示の表示頻度を制御する広告表示制御手段と、
前記対象プレーヤの前記ユーザ端末に課金オファー表示を表示させる課金オファー表示制御手段と、
を備え、
前記課金オファー表示制御手段は、前記課金確率が高いことを示す所定の高確率条件を満たす場合に、複数の課金行為を纏めて1回の操作入力で実行するための課金オファー表示を表示させる、
サーバシステム。
変なところで改行があるなあ、と思うかもしれませんが、これでいいんです。これが改行なしでズラズラと書かれていると、発明の構成要素(発明特定事項といいます)がボヤけてしまって、逆に読みにくくなってしまうのです。上記の書き方であれば、発明特定事項ごとに改行してあるので、「なるほど、こういう構成要素が全て揃ってはじめて成立する特許権なのだな」とわかりやすい、ということです。
で、請求項1を読むと、どうやら「課金を行う可能性」を算出するんだそうですね。そして所定の高確率を示すユーザには複数の課金をまとめて1回でできるような表示を出す、っということですね。えぐいですね。
発明の詳細な説明が記載された明細書の中を読むと、このような記述が。
プレーヤタイプが同じであっても、例えば給料日前であるか給料日後であるなどのプレイ日時によって、課金行為が行われる可能性が違うことが分かった。
また、ゲームプレイ中のアイテム購入等の課金を促す表示は必ずしもネガティブに受け止めるプレーヤばかりでなく、課金行為に積極的なプレーヤにとってはむしろ好意的に受け取られている場合があることも分かった。
えっ?(そうなの?)
本願発明の効果としては、「課金行為を楽しんでいるプレーヤや、課金の要否に関わらずアイテム等の収集を楽しむプレーヤに、課金行為に係る手間を省いたオファーを提示することができる。」のだそうです。
課金行為を楽しんでいるプレイヤーねえ。。。
そして、
課金確率が低下傾向を示している場合、そのプレーヤは、課金行為に魅力を失いつつあり、ひいてはゲームそのものへの興味を失いつつあると見なせる。(中略)そのような場合に、費用対効果に優れた課金行為を実行可能とし、当該課金行為を実行するための課金オファー表示を行うことで、ゲームへの興味を失いつつある状況を改善させる効果を期待できる。
うーん、逆効果な気もしますが仕方ないか。
【0156】
以上、本実施形態によれば、多数のプレーヤの行動履歴に基づいて対象プレーヤが課金行為を行う可能性である課金確率を推定し、プレーヤの課金確率に応じて収益に繋がる広告表示・課金オファー表示・特典提供オファー表示のバランスを変更して、収益機会を効率的に向上させることができる。
【0157】
すなわち、課金確率が低いプレーヤには、課金行為による収益が望めないのでスポンサー広告に限定するか、スポンサー広告の表示頻度を課金オファー表示や特典提供オファー表示よりも高くすることで、広告による収益でこれを補うことができる。
【0158】
また、課金確率が高いとは言えないが、低くもないプレーヤについては、お勧めアイテムなどの課金オファー表示や、クーポンなどの特典提供オファー表示を、広告よりも優先的に表示させることで、広告表示によりプレーヤに与えるネガティブな効果を抑制しつつ、課金行為による収益機会の向上を図ることができる。
【0159】
そして、課金確率が高いプレーヤについては、課金行為による収益が望めるので、1回の課金行為で複数回分の課金行為を一括実施できるような特別な課金オファー表示や特典提供オファー表示を優先的に提示する。これにより、課金確率が高いプレーヤには、アイテム収集などのためには面倒な課金行為を簡単にできる仕組みや、使い勝手のよい仕組みを提供することができ、結果として、収益機会を効率的に向上させることができる。
【0160】
さらに、プレーヤの課金確率が低下傾向を示している場合には、課金行為の魅力を一時的に高める対策を施した内容のオファーをすることで、プレーヤに課金行為を促し、ゲームへの興味を失いつつある状況を改善することが期待できる。
いやー、なんとなくわかってはいたけど、「中の人」は結構えげつないことしてるんですねえ。収益のためですから仕方ないですけどね。
簡単ですが、今日はこのへんで。