コムズカシイ話は抜きにして、個人的に「やっときたー」という感想です。
産業競争力強化法に基づく新事業特例制度ってのがあるんですよ奥さん。
ま、簡単に言ってしまえば、「規制が厳しくて新しい事業が普及しないから規制緩和せんかい!」と、事業者から規制の特例措置の整備要望が出された場合に、吟味するぜ、という制度です。
で、欧米では一般化しつつあり、また、今後の低炭素社会を見据えたときに、新たな移動手段の一つとして、電動キックボードってのが考えられるわけですよ奥さん。
検討会は幾度もなされたわけですが、とっかかりとしての資料は株式会社Luupの資料がとても良いので紹介しておきます。電動キックボードの社会的意義などがわかりやすくまとまっています。
何かを変えたい、自分の思いを通したい、という場合に、やはりこのくらいのプレゼンを行って「啓蒙」から始めていくというのは大事ですね。
この検討会以前は、電動キックボードというのは原付バイクと同じ扱いということになっていましたので、「ナンバープレートの交付及び装着が必要」「軽自動車税の納付義務」「ヘルメットの装用義務」なんていうメンドクセー規制があったわけですよ。
結論から言って、縦割り行政をうまく回避して(うまく話を通して)、規制緩和が実現しました。事業者のプレゼンがよく、また、関係官僚の皆様の連携が良かったのだと思います。実際、これまで電動キックボードによる大きな事故などはなく、安全面でも問題がない、というところが警察庁あたりで止まらなかった大きな要因でしょうね。(そもそも、あまり普及してなかったから事故も起きなかったのでは、という邪推はおいといて)
事業者からは、以下の4点が要望として出されたのですが、いずれも認められることになりました。
1.運転時のヘルメット着用を任意とすること。
2.普通自転車専用通行帯の走行を認めること。
3.自転車道の走行を認めること。
4.自転車が交通規制の対象から除かれている一方通行路の双方走行を認めること。
上記の「一方通行路の双方走行」というのは、一方通行の道を逆走してよいというわけではなく(これは自転車でも違反です)、一方通行の道の「右側」を走行しても良いということですので間違えないように。
これにより、これまで原付バイクと同じ扱いだったものが、「小型特殊自動車」という位置づけとなります。
規制緩和されて、ヘルメットかぶらなくてもいいよ、ということになったわけですけどね、この「新たな規制」を適用するにあたって、「一定の基準」というのがまだありまして。
その内容を列記すると以下のとおりなんですよ。
ア 車体の大きさは、次に掲げる長さ、幅及び高さを超えないこと。
(ア) 長さ 140センチメートル
(イ) 幅 80センチメートル
(ウ) 高さ 140センチメートル
イ 車体の構造は、次に掲げるものであること。
(ア) 原動機として、電動機を用いること。
(イ) 15キロメートル毎時以上の速度を出すことができないこと。
(ウ) 運転者席は、立席であること。
んー、 15km/h未満でしか走れない? おそくね?
でもまあ、日本産業規格(JIS)的には15km/hというのは一般的な自転車の速度(シティ車の速度)ということになっているので、原付バイクよりも規制をゆるくするという点においては、このへんが落とし所だったのかなと思えますけどね。
参考)JIS D9111
これを機に、特にオフィス街での電動キックボードレンタル事業などが進むといいですね。今は「赤い自転車」がよく走っていますが、シティコミュターのレンタル事業での健全な競争が起きてくれると良いと思います。
では、今日はこのへんで。