(人が要る )治憲は改めてそう思った 。財政再建のための藩政改革は 、ひとりではできない 。協力者が要る 。治憲の意図をよくのみこんで 、手足のようにうごいてくれる人間が要る 。
藩政改革を実行するということは 、まず改革にあたる者が 、自分を変えることだ 。自分を変えるということは 、生きかたを変えることだ 。かなりの勇気がいる 。 (そういう勇気のある人間はいないだろうか )人物探しに熱中しはじめた治憲は 、突然 、そうか 、と気がついた 。 (逆に藩内でなかまはずれにされている人間に目をつけてみよう )と思った 。藩内の多数派 、つまり金魚の群ではなく 、狭い池の中を所狭しと泳ぐ少数派の魚を探してみようと思ったのである 。
童門冬二 小説 「上杉鷹山」より
何かをやろうと思ったとき、1人でできることはそんなにない。できないことは自分で認めて手伝ってくれる人を集めよう。大切なのは、最初に言いだした君が1番熱意を持って、その熱さを持ち続けることが大切だよ。
何かを変えようと思うとき、自分が一番変わらなくてはならない。だから大きなグループに声をかけて仲間にするのは最初はやめておこう。小さな声は大きな声にのまれてしまうからね。だから金魚のような集団ではなく、池の端にいるけど泳がせてみたら元気よく動く魚を見つけてみよう。そして声をかけ、熱意を注いで動ける場所を与えてみよう。