UTUTUの石川です。
今回は昨年12月にお手伝いさせていただいたwebCMの制作レポートをベースにいくつかのtipsを紹介と、初めて演出として映像作品に関わった僕の感想についてお話しします。
技術的な内容なども多いため興味のある項目だけ読んでください。
こちらが僕たちUTUTUがお手伝いさせていただいたCMです。
我々が作業した内容は「おつじさんのオリジナル原作マンガを動画化する。」という内容になります。
1:Blender2.8の活用
2:作画、撮影処理について
3:アフレコのディレクションについて
4:総括
今回制作するにあたり、カメラワークをあえてBlender2.8という3DCGソフトで作りました。
通常ならAdobeのAfterEffectsというソフトで行うであろうカメラワーク作業をなぜblenderでやったかといえば、主に「フキダシの出し方を3D的にして変化を出すため」・・・。
というのは建前で、単純に「やってみたかったからやった」というのが正直なところです。
実際にやってみたところ、Mayaなどの3DCGソフトに慣れている僕としてはカメラワークがつけやすく操作が軽いため、かなりやりやすかったなという感想です。
AEへの書き出しの為にレンダリングもしなければならないため、作画修正などをするたびにいろいろ大変なことになりましたけど。(Blender2.8の新機能であるリアルタイムレンダリングエンジン「eevee」はレンダリングが早くて凄く助かりました)
【豆知識】
こちらのアドオンを使えば複数あるカメラへのアクセスがとても楽です。
キャラクターのアニメーションは以前の記事でも紹介した自主制作リピートアニメでも使っていたCLIP STUDIO PAINT EXで作成しました。※リンクにして以前の記事への誘導をし、そちらでリピートアニメのことを知ってもらうようしました。
clipstudioでのアニメーション作画方法はヨツべさんという方が解説してくれている動画が分かりやすいです。
初演出ということもあり、不安要素が多くそういった不安要素を先に潰しておこうと思いました。
そのため比較的早い段階で必要な要素をラフですべて作り、先方へ確認をとったあとにUTUTU撮影担当の松本君や作画を手伝ってくれた方に引き継ぎました。
※CLIP STUDIO PAINT EXで作成したラフアニメーション。ビデオコンテの段階でここまで作り作画さんへ引き継ぎました。
AfterEffectsでの撮影も、一旦仮で組んだものをもとに松本君にもっとこうしてほしいというオーダーと共に発注しました。
自分が設計したものを他の方にお願いするといった経験自体が初めてだったので不安もありましたが、CGアニメーター時代のディレクション経験などを思い出しながらなんとかやり切りました。
手伝ってくださったお二人にはとても助けられました。この場を借りて改めてお礼を言わせてもらいます。
それともう一つ。
実は最後のカットでAdobeのiPad用アプリFrescoを使っています。
ラストのシーンを水彩調に淡く温かい印象にしたかったのですが、いい感じの水彩テクスチャが手元になく押し入れから絵の具を引っ張り出してこようかと思っていた時、Frescoがリリースされていたことを思い出しました。
それまで触ったこともなかったのですが、いろいろ評判は耳にしていたのでもしかしたら使えるかもと思い早速試してみました。
実際に作ったテクスチャが以下の2種類です。
10秒ぐらいで乱雑に色を置いただけの簡単なものですが、滲みや擦れの感じがそれっぽく、これだけ簡単に欲しい水彩テクスチャが作れることに感動しました。
gifなので粗いですが、テクスチャを乗せるとこんな感じです。
Frescoみたいな尖ったアプリはアイデア次第でとても心強い味方になるなと思いました。
今回、初めてアフレコのディレクションをさせてもらいました。
実はCGアニメーター時代に声撮りの現場を見学させてもらう機会があったのですが、いざ自分でディレクションするとなるとやはり勝手は違うもので僕の説明でちゃんとイメージが伝わるのか凄く心配していました。
しかし、そんな心配は声優さんの第一声を聴いてすぐに晴れました。
簡単なオリエンの後に撮ったテストのテイクで欲しい演技をばっちり決めてくれたのです。
声優ってすごい!!と素直に感動しました。
小野さんと水瀬さんはそれぞれ別の日に収録したのですが、実はそれぞれ異なるディレクション方針で臨みました。
小野さんのときは、とにかくしっかりと熱意を込めて詳細に演技について説明をしました。
水瀬さんのときは、要点だけ抑えてシンプルに説明しました。
結果としてどちらも素晴らしい演技をしてくれました。
今回の件を踏まえて僕が得るべき教訓は
・事前の説明はシンプルにわかりやすくした方がいい。
・もしその説明でイメージのずれがある場合はそのタイミングでちゃんと説明すれば、即座に対応してくれる。
といった具合でしょうか。
声優さんによってもいろいろ違うとは思うのでそこは今後経験の中で学んでいきたいとおもいます。
4:総括
動画化するにあたり、セリフの調整や絵以外の部分の提案などやりすぎかなと思った部分もありましたが、いろいろなことにチャレンジすることができとても得るものの多いお仕事でした。
原作者のおつじさんをはじめ、僕の提案を好意的に受け取り、やらせてもらえたことに改めて感謝を述べたいと思います。
ありがとうございました。
今後も、「オリジナルアニメ作品を作る」という僕たちの目標に向けてどんどんチャレンジしていきたい!と改めて思いました。
まだまだスタート地点にも立てていない僕らですが、歩みを止めないためにも一歩一歩踏みしめて、しかしできる限り早く、前に進んでいきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。今回は専門的な内容も多く、イマイチピンとこなかった方も多いのではないかと思います。
もし何か疑問に思ったことや、「この部分もっと詳しく知りたい!」等ありましたらコメントしてください。