米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」を発行する米Circle社が、同社グループのベンチャーキャピタルを通じて、日本円ステーブルコインを手がけるJPYCへの出資を行った。
関係者によると、JPYCは今回のラウンド(シリーズA)で、約5億円を調達。
CircleのVC部門であるCircle Venturesが参画し、ベンチャーキャピタルのHeadline Asiaが同ラウンドをリードした。
Headline Asiaはアジアを中心に4つのファンドで計300億円を運用するベンチャーファンド。Circle社が9日に発表したアーリーステージのブロックチェーン企業への投資に特化した新規ファンドでJPYCはCircle Venturesの最初の投資先となった。このファンドが投資する資金の総額はあらかじめ決まっておらず、「金融キャピタルで、摩擦のない価値の交換の実現を目指すアーリーステージの企業を支援することが可能になった」としている。
JPYCは調達した資金で、日本国内で利用できる加盟店を増やしていく計画。「第三者型前払い式支払い手段」となるJPYCを利用することで、加盟店は決済手数料を大幅に削減することが可能になる。 また、仮想通貨を保有する消費者にとっては、JPYCを利用した支払いがより容易になると、JPYCは説明する。
例えば、ETHを保有する利用者が法定通貨に現金化すると、比較的に高い税金が課されるが、担保にしてUSDCを取得し、USDCとJPYCをスワップすれば、JPYCを使って買い物をすることができる。 所定の金利はかかるものの、値上がり局面では税金の繰り延べ方法として、海外の資産家には知られた手法を日本円経済圏でも享受することが可能となる。
自動スワップでJPYCの価格安定を図る「JPYC Stabilizer」がユーザー主導で稼働しているなど、JPYCのエコシステムは徐々に広がりはじめている。 JPYCは今年初めにJPYCの発行を開始。流通量は現在までに、3億円を突破している。
JPYCとは
JPYCが発行するステーブルコイン「JPYC」は、「自家型前払い式支払い手段」と呼ばれる設計で、USDCやテザーなどの米ドルステーブルコインとは異なり、仮想通貨に該当しないため、1JPYC=1円として会計処理できるのが特徴。
イーサリアムのトークン規格「ERC-20」として発行され、1JPYC=1円でJPYCのサービスを利用することができる。イーサリアムやPolygon、Shidenなどのネットワーク上で取引することが可能。 その価値を法定通貨などの安定した資産と連動させることで、価格変動の問題に対処している。