先日nemlogで「暗号通貨決済とキャッシュレス決済の違いについて述べよ」とかいう楽しいお題が提示されたので、ちょっと書いてみました。
「1000文字以上の文章を書く」という企画で書いたものなので、文章量は割と多目(2300文字くらい)です。勿体無いのでこちらにも乗せてみます。
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①キャッシュレス決済とは
現金以外のものを使って決済を行うことです。当たり前ですね。
②暗号通貨決済とは
暗号通貨を用いて決済を行うことです。暗号通貨はブロックチェーン技術を使用して決済を行うため、
必然的に電子決済つまりキャッシュレス決済になります。
「秘密鍵を書いて相手に渡す」などの方法で現物で取引をする方法も可能ですが、それを行う合理的な理由はありません。
つまり、暗号通貨決済はキャッシュレス決済の一部ということになります。
では、なぜキャッシュレス決済に暗号通貨決済が含まれていないような雰囲気になるのか。
それは単純にお店で暗号通貨決済なんて誰もやらないからです。
キャッシュレス決済の基本はフィアット通貨、つまり日本で言うと日本円です。
日本銀行は偽造の難易度が恐ろしく高い紙幣を製造する技術を持っています。
その結果、キャッシュレス決済の浸透が進んでないといわれています。
実際にキャッシュレス決済をやってみればわかりますが、キャッシュレス決済は意外と面倒です。
SUICAを必ず右手に装備していれば別なんですが、他の〇〇payとかは使用できるお店がかなり少ないので、
まず「決済できるのか」を確認しないといけません。本当に使えないので確認してみてください。
自分の使うお店の何分の1が電子決済に対応しているのか。
その点、現金はいいです。99.9%のお店で使用できますからね。現時点で現金が使用できないお店も、もちろん存在するのですがかなり例外的な位置づけですよね。(ネットショップを含めるとそうでもないかな)
その日本がなぜこんなに不便な電子決済を広めようとしているのか。
ネットでサクッと出てきた答えが
・実店舗等の無人化省力化
・不透明な現金資産の見える化+流動性向上
・不透明な現金流通の抑止による税収向上
・支払データの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化
だそうです。要するに、お金の流れを国や企業が管理したいということです。
時代の流れですね。
今まではお金の流れが完全には把握できないので大きなお金の流れがあったときに、個別に調査して脱税などを把握していたわけですが、それが完全な電子化を実現すれば自動的に支払うべき税金が算出され、支払いも強制的に徴収することも可能になったりしそうです。
恐ろしいことに聞こえるかもしれませんが、脱税者を放置するよりよっぽどいいですからね。
つまり現状推進されているキャッシュレス決済は「日本が円と国民をよりコントロールしやすくする」ために推進していると考えられます。
ではここから暗号通貨決済の話。
暗号通貨の目的はなんでしょうか。「信憑性の高い個人間の合意による決済の承認」ですよね。
つまり通貨の発行元が価値を担保することなく皆が貨幣として使用できる存在を作り出すこと。
もっと簡単にいうと「世界統一通貨」の作成、つまり現在の「円」を初めとするフィアット通貨の駆逐です。
いま、「円」はそれなりに価値がある通貨ですが、外国では両替しないと使えませんね。
それは外国ではその国が作った通貨を使うことが強く奨励されているからです。
なぜ国が自国の通貨の使用を奨励するかというと、発行量をコントロールできるからに他ならなくて、外国の通貨がメインに利用されているとしたらそれは経済の首根っこを発行元の国につかまれているのと同意義、つまり属国と同じというわけです。なので、どの国も自国の通貨を発行します。対外的に価値があるかどうかは別として。
そして、この状況は国がある以上動かないので、国を超越した通貨が求められたわけです。
それがビットコインを初めとする暗号通貨なんですね。
ビットコインの発想は本当に画期的で、少なくとも銀行と国の機能の大半を無用の長物と化す威力があります。
(国は法治と福祉の役割があるので当然そのまま残るが)
さらに、これにより、発展途上国と先進国の物価レートが一気に平等な方向に変化する可能性も秘めています。
つまり、基本的に暗号通貨は国からしたら排除するべき類のものです。
まだ技術的な問題で、大量の人間が1種類の暗号通貨にアクセスしすぎるとネットワークが耐えられない状況のため、
(スケーラビリティ問題というやつ)直接的な脅威にはなっていませんが、以前中国がビットコイン決済を封じたり、暗号通貨取引所をつぶそうとしたことがあったように、日本を含めてどの国も快く思っていないのは確かなはずです。
暗号通貨はこれからどうあるべきか。
夢が「世界制服」みたいなものなので、そう簡単には達成できません。
また、通貨というのは使われないと意味が無いので、ユーザーを地道に増やす必要があります。
実際のところ、いくらかの店舗で暗号通貨決済が出来たところで、あまり意味はありません。
だって、現時点で暗号通貨を持っている人に対してのサービスになってしまうので、新規ユーザーの獲得につながらないからです。規模の問題もあいまって単純に○○payの下位互換になってしまいます。
現状で暗号通貨がその強みを発揮できるとしたら、弱小勢力ならではの「小回りが利く新サービス」を作っていくことです。
NEMで言うと「FIFIC」なんかは僕はすごく可能性を感じていて、元々NEMをもってない人に対して無料でNEMを配り、結果「NEMを持ってしまったので」
・他のNEMをもらえるサービスを探す
・NEMを使えるサービスを探す
方向に誘導できる可能性を秘めています。
正直、FIFICにはかなり大型の出資をした方がよい(例:現在もらえる1FIFIC=1NEMと交換できる、またはFIFICというMOSAICを廃止して直接NEMを付与する)と思います。
エアドロップの変形ですね。このようなサービスを数個、数十個と増やしていけば、
NEMの人的ネットワークを確立することが出来るでしょう。
最後に現状の暗号通貨の課題としてもっとも大きいものをあげようと思います。
暗号通貨に関わっている人間が暗号通貨が好き過ぎて、世間では「ゴミ、または詐欺の道具」だと思われていることに気づいていない。
なので、現時点では暗号通貨であることを伏せた方がいいでしょう。
(実際はNEMなのだが、アプリ上「NEMPOINT」としてしまうなど)
それでは今後更に暗号通貨が発展しますように。