プロットの構造に従属させるため
安易に悪意のみのキャラクターを生む。
きわめて浅薄な人間観。
大人−子供
雨−晴れ
傲慢な権力−無辜の市民
田舎−都会
単純な二元論で世界を認識している。
キャラクターが変化しない。
あるいは
あらゆるキャラクターの行動理念を
漠然と想定することさえしていないので
変化が表現できない。
もしくは
行動理念が存在しないため
キャラクターの一貫性もなく
同じ人間が変化した結果としての行為とは感じられない。
過剰なディテールが
貧弱な主題と調和しない。
教訓。
ディテールは他のディテールと
うつくしく響き合うときにのみ
芸術的効果を発揮する。
そうでないディテールはすべて雑音。
プロットを構築するため
あまりにも偶然を操作しすぎている。
クライマックスが要求する盛り上がりを表現するには
衝動的に大きな声を出し
突然、暴力をふるい
権力に反抗すればいいと思っている。
つまらない類型的シーンを用意するためには
いかなるリアリティーも犠牲にする。
葛藤、コンフリクトの提示はおろか
恋愛のモーメントを明確に表現する勇気もない。
呪術的思考を
強い動機の根拠とするキャラクターは
狂人にしか見えない。
作品の本質、論理的構造を手がかりにせず
雰囲気のみに頼っている。
なんとなく苦悩のジェスチャーをして
なぜか泣く。
キャラクターの変化がない。
つまり、時間が流れていない。
ストーリーがない。
連続していない瞬間的イメージのパッチワークで
鑑賞の体験は
観光に近い。