こんにちは。ALIS CTOの石井(@sot528)です。
ALISブロックチェーンブログ、今回はALISが使用するブロックチェーンであるEthereumについて書きます。ALISのプロジェクトを始める際に、Ethereum以外にも多くのプラットフォームを評価・検討しました。そして結論としては、現状DAppsプラットフォームとしてはEthereum以外の選択肢はあり得ないと判断しました。
何をどう調査し、どう評価し、どう思考してこの結論に至ったか。今回はその内容を共有いたします。
これからブロックチェーンを用いたプロダクトを作ろうとして、どのブロックチェーン・プラットフォームを選択すればよいか、技術選定にどのような観点で考えればよいかを知りたい方のヒントになれば嬉しいです。
目次:
・プラットフォームにもとめる条件
・非中央集権の重要性
・キーパーソン
・備考
2017年前半、私はCEO安やCMO水澤と共にブロックチェーンを活用したプロダクトについていろいろと議論をしていました。いくつかの候補のうち、最終的にこれで行こう!と合意したのはSTEEMに代表されるブロックチェーンベースのソーシャルメディアでした。それがALISです。
目指すプロダクトが決まれば次は技術選定が必要です。ALISではブロックチェーンを使うので、どのプラットフォームを選択するか。目的がシンプルな暗号通貨であれば、単にBitcoinのフォークで済む話かもしれません(技術的にはともかくプロジェクトの登り方は大変でしょうが)。
しかし私達が作ろうというのはSNSです。
STEEMはプラットフォームとしても利用可能であるため、それも良い打ち手かもしれません。あるいはGolosのようにSTEEMのフォークという選択肢もあります。Ethereumが優秀なスマートコントラクト・プラットフォームであることも認識していました。
技術選定をシャープに行うために、まずはプラットフォームとしてのブロックチェーンに求める条件を箇条書きにしました。それは以下のとおりです。
・DAppsが実装可能である
・非中央集権(Decentralized)を指向している
・まともな運用実績がある
・活発に開発されている
よくも無邪気にこんな条件を並べたなと今なら思います。CoinMarketCapには華やかなアイコンがずらっと並び、それぞれのサイトではプロダクトの魅力を大いに語っていますが、結論としてはこの条件を満たすのはEthereumのみでした。
評価の内容を詳しく見てゆきましょう。
ALISではICOで資金調達しようと計画していました。私はエンジニアとして、ただ資金を集めるだけのICOではなく、大きな価値の移動を管理者不在でセキュアに安価に迅速に行える高可用性のDApps実装としてのICOに強い興味がありました(ALISのICOコントラクトはGitHubですべて公開しています)。
そしてALISが目指すのはSNSです。最初はALISトークンコントラクト以外は一般的なWEBアプリケーションとして実装しますが、その中長期的なヴィジョンには非中央集権への強い指向があります。すなわちその報酬システム、コンテンツのストレージ、レピュテーションエンジン、ひいてはガバナンス機構に至るまで、いずれ片っ端からDecentralizedに移行してやろう。そんな思惑があります。(ご安心ください。現時点では前衛的に過ぎることは充分承知しております。最終的には非中央集権化を目指しつつ、成長フェーズに応じた現実的な意思決定をしてゆきます)
そのためブロックチェーン上へのDAppsの構築は必要不可欠でした。
この時点で、まずはBitcoinが選択肢から外れました。BitcoinはBitcoin Scriptという言語を有し、一定の拡張性を持っています。しかしBitcoin Scriptはチューリング完全ではなく、その用途は限定的です。※念の為ですが、これはBitcoinがEthereum等の他のプラットフォームに劣るという話ではありません。単に用途が異なることを意味します。
RootStockのようにBitcoinに絡めたスマートコントラクト拡張という動きもありますが、当時はまだ可動していませんでした(2017年末にβ版公開)。
やはりこの領域ではEthereumが著名です。しかし他にもスマートコントラクト・プラットフォームを謳うプロダクトは存在します。そしてそれぞれにその有用性を主張しています。Ethereumからスマートコントラクトという概念が生まれたわけではないのです。それでは実際のところ何を選べば良いのでしょうか?
私達は非中央集権(Decentralized)を非常に重要視しています。それはなぜでしょうか?
ここでは、なぜかくも非中央集権であることが重要とされるのか私見を書きます。
今日の暗号通貨・ブロックチェーンを始めとしたトラストレスなシステムは、そもそもこの非中央集権の担保を目的として始まりました。サトシ・ナカモトはその論文で以下のように明記しています。
...but no mechanism exists to make payments over a communications channel without a trusted party. What is needed is an electronic payment system based on cryptographic proof instead of trust, allowing any two willing parties to transact directly with each other without the need for a trusted third party.
意訳: 信用できる第三者機関を通さずに通信チャネル経由で支払いを可能にするメカニズムは存在していない。必要なのは、信用ではなく暗号による証明に基づく電子取引システムであり、これにより希望する二者が信用できる第三者機関を介さずに直接取引できるようになる。
- Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System
この信用できる第三者機関を介さずにがキモで、これはトラストレスと呼ばれる性質です。このトラストレスが担保されていればすなわち非中央集権であると言えます。
そして、この貨幣における非中央集権性こそがBitcoin以前には存在しなかったものでありBitcoinが作り出したものです。それはBitcoinが生み出したブロックチェーン技術についても同じです。非中央集権性を捨てることは、ブロックチェーン技術が誕生したそもそもの理由を無視することに等しいと言えます。
ここで付記しますが、だからと言って中央集権なプロダクトが無価値とか無意味であると主張しているわけではありません。むしろALISでも、Ethereumのスケーリング問題が解消するまでの踏みとして中央集権なEthereumのプライベートチェーンを構築して使用しています。またEthereumにはEEAというプライベートチェーンやコンソーシアムチェーンへの活用の動きもあります。中央集権のブロックチェーンには、従来の技術に比較して圧倒的なコスト削減や堅牢性・可用性をもたらす非常に大きな有用性があると言えます。
私が伝えたいのは、とはいえそれは従来のシステムの延長であり熱狂するほどのことではないよねという点です。
私がBitcoinの真価を知ったのは2013年です。詳細は以前自己紹介で書きましたが、私はその技術に畏敬の念を抱きました。非中央集権のP2Pシステム上で価値がダイナミックに移動する。第三者不在でシステムが信用を担保する。実現前なら口頭でいくら説明されても信じられないシステム。それがビットコインとして稼働している。管理者不在で。一度も落ちずに。何年も。
技術者としてこう思います。こんなに美しいシステムもそうは無いだろうと。
詳細はデジタル・ゴールド等の書籍を読むと面白いかと思いますが、Bitcoinはその価値に気づいた人々を熱狂させました。それはコスト削減などというちゃちな話ではないのです。アンバンクト(銀行口座を持たない人々)へのエンパワメントに代表されるその非中央集権性が持つ人間存在の尊厳にすら言及可能な深遠さ、インターネットに匹敵し得る不可逆な社会変革を想起させる大きな可能性、中央集権の受益者に比したそのシニカルでソフィスティケイテッドされたカルチャー、何より世界をより良い場所にしようという情熱とそれが実現された新時代への希求です。中央から非中央、巨大な力から個人、高く硬い壁から脆く壊れやすい卵。非中央集権への指向は一つのプリンシプルを成します。誤解されたり排斥されることがあったとしても、それは美しい物語として人の心を打ちます。
非中央集権のテーゼとその潜在的で爆発的な可能性は多くの人々を熱狂させたのです。
その中の一人にEthereum創設者のヴィタリク・ブテリンがいます。彼はBitcoinの非中央集権への指向を踏襲した上でDAppsプラットフォームであるEthereumを作りました。彼の非中央集権への熱狂は実に多くの人を巻き込み、現在Ethereumは非常に大きなコミュニティとなっています。
Ethereumには他のブロックチェーンコミュニティの30倍以上の開発者がいるよというConsenSysのAndrew Keysによるツイート。どこかにデータがあるかもしれませんが、ここではざっくりとGitHubのtopicsが付けられたリポジトリを数えてみましょう。
このあたりはさすがですね。彼の言うother blockchain communityには、さすがにBitcoinは含まれないでしょう。
比較用として、プライベート・コンソーシアム用チェーンのプロジェクトであるHyperledgerと、CoinMarketCapから、時価総額の高いDAppsプラットフォームとされるプロジェクト3件をピックアップしてみました。※念の為その3件はぼやかしています。興味がある方は調べてみてください。趣旨としては、Ethereum以外のプロダクトを批判する意図はなく、あくまでも定量的な数値の一例とさせてもらっているとご理解ください。
Project1: 194
Project2: 177
Project3: 24
結果としては、彼の言う通り彼我の差は大きいと言えそうです。そしてOSSプロジェクトにおいては開発者コミュニティの大きさがプロダクトの品質、開発の活発さ、将来性、継続性に直結します。Ethereumは現状この点で他を圧倒していると言えます。※なおソースコードがクローズドであったり閉鎖的に開発をしているプロダクトに関しては伽藍とバザールの観点で論外です。
それでは、なぜこれほどの差が開いているのでしょうか?
結論を言いましょう。それはEthereum以外のほとんどのプラットフォームが非中央集権性を捨てているからです。
誤解を解くために言うと、そこにはもちろん複数の要因があります。単にEthereumがDAppsプラットフォームとして最初にスタートを切ったこと、ヴィタリクという強力なキーパーソンの存在、様々な幸運。さらにプラットフォームに求める条件の「まともな運用実績がある」を満たせるDAppsプラットフォームは評価時点でほぼEthereumのみという事情もあります。
しかしそれでも、私はEthereumのその非中央集権性への強い指向が今日のプラットフォームの立ち位置を決める最重要ファクターの一つだと考えています。理由は上記のように、非中央集権への熱狂が多くの人々を強烈に惹きつけるからです。
この記事の目的は特定のプロダクトを批判することではありません。なのでEthereum以外の個々のプロダクトについて言及はしません。しかし私が評価した肌感覚として、驚くほど多くのプロダクトで非中央集権は重要ではない要素として扱われているように思います。しかし、そんなおためごかしのプロダクトに魅力は無く、筋の良い開発者は集まりません。
各プラットフォームを評価する場合、以下のような点に注目することをおすすめします。その要素は非中央集権にどう関係するかも重要な観点なので押さえておくと良いでしょう。
・コンセンサス・アルゴリズムは何か
・そのコンセンサス・アルゴリズムを正確に理解した時、筋が良いと思えるか
・何人の人間が共謀すればプラットフォームを牛耳ることが可能か
・自分が1ノードとして合意形成に関わる余地があるか
・プロダクトの中心人物に非中央集権の哲学があり、その実現に本気か
・ソースコードはすべてオープンであるか
・開発は活発か。あらゆる意味でオープンであるか
・ハッシュパワーの論理に対して脆弱ではないか
※なお公平を期すために書きますがThe DAO事件によるEthereum分裂の顛末やParityのウォレット救済提案(EIP-999事件)など、Ethereumにもその非中央集権性について喧々囂々の議論が発生することが多々あります。また上の方で断言しておいて恐縮ですが、非中央集権性とは0か1かの二元論で語れるほどシンプルなものではなくスペクトラムであると考えています。xxxは中央集権だがxxxは非中央集権であるとはそう簡単に言えるものではありません。
そして、もし将来的にEthereumが腐敗したらそれはそれで問題ありません。Ethereumをさっさと捨てて他のプロダクトに移れば良いのです。非中央集権の潮流が絶えることはないと確信を持って言えます。
まとめましょう。以下の観点から、私は非中央集権を極めて重要なファクターと考えています。
そもそも全ては非中央集権への指向からスタートした
↓
その哲学を多くの人々が熱狂的に支持した
↓
熱狂はさらに多くの人々を惹きつけ、強い開発者コミュニティを作る
↓
開発者コミュニティの強さはプラットフォームの強さに直結する
つまり、非中央集権性はプラットフォームの強さに直結すると考えています。そしてEthereumにはその根幹に強力な非中央集権性への指向が存在すると判断しています。事実その帰結としてEthereumには他の追随を許さない強力な開発者コミュニティが形作られています。
これが、ALISがEthereumを選択した理由です。そして何を隠そう私もBitcoinから続くこの非中央集権への潮流を熱狂的に支持する人間の一人です。
ÐApps領域でありとあらゆる方向性を模索しているConsenSys、色々と騒ぎを引き起こしつつもcutting-edgeな取り組みを行うParity Tech、優良なライブラリとSecurity AuditのZeppelin、Plasmaを牽引するOmiseGoなど、Ethereumはその周辺に非常に強力なプレイヤーが存在します。
開発に関わるツール群も揃っています。web3.js、スマートコントラクト・フレームワークのTruffle、Ganache、優秀なライブラリであるOpenZeppelin-Solidity、ブロックチェーン・エクスプローラーのEtherscan、ブラウザのWeb3拡張MetaMask、etc..
テック界の巨人たちもEthereumに前向きな姿勢を示しています。
2018年には、MicroSoftがAzure Blockchain Worckbench、Amazonが
AWS Blockchain Templates、KareidoでそれぞれEthereumのサポートを発表しています。Hyperledgerの領域もEthereumがカバーしつつある流れと言えるでしょう。
Apple創業者のスティーブ・ウォズニアックはEthereumが次のAppleになると発言しており、Google創業者のセルゲイ・ブリンは息子と一緒にマイニングを行うほどEthereumを高く評価しています。
日本でもEthereumファウンデーション後援のEthereum Japanが立ち上がり、開発者コミュニティのHi-etherも存在しています。
先日、Operaが暗号通貨ネイティブサポートを発表して話題となりました。蛇足ですが、私は近い将来すべてのブラウザが暗号通貨/DAppsをサポートすると考えています。極めて高い確率でそうなるでしょう(もしそうならなかった場合、DecentralizedなWebの未来は失敗したと言えます)。そして、EthereumのWeb3APIがそのデファクト・スタンダードとなる可能性は低くないと考えています。
上記にあげたのはあくまで一例であり、Ethereumのエコシステムは益々広がりを見せています。ここまであらゆる環境が整っているプラットフォームは他には存在しません。
Ethereumを語る上でヴィタリク・ブテリンを外すことはできません。彼の存在が他のプロジェクトと比較した時の大きな優位性と言えるでしょう。
ホワイトペーパーやイエローペーパーを読み解き、実際にEthereum上にスマートコントラクトを構築してそれが何ら問題なく動作してその上で数億円という価値が流れることを経験し、膨大な情報の中から手探りで体系的に理解を深めていくとEthereumの真価がわかります。これは恐るべき構造物です。彼は19歳の時にEthereumを構想しました。
彼の非中央集権への考え方は日本語情報では以下の記事が参考になります(有料ですが)。
・【独白】ブロックチェーンの天才、「非中央集権」に賭けた思い
特筆すべきは、彼のバランス感覚です。非中央集権という考えを非常に重視してますが、しかし無軌道なリバタリアンではありません。論理的に技術と現実とヴィジョンを俯瞰してブレずに必要なステップを踏んでいるように思います。
一見、彼はとてもGeekな人間に見えます。しかしその極めてオープンな姿勢はEthereumのエコシステムを構築する上で必要不可欠と言えるでしょう。
以下、暗号通貨関連投資のMulticoin CapitalのKyle Samaniのツイートを引用します。
(※元ツイートは消されてしまっているようです)
他のチームがEthereumを凌駕できるか? という質問について私は去年ずっと考えていました。
そして技術的には、「いくらでも方法がある」という結論に至りました。
(中略)しかしEthereumの競合について気づいたことがあります。
それは、「そこにヴィタリクがいない」ということです。Ethereum以外にはどこにもいません。
これは何を意味するでしょうか?
ヴィタリクの驚くべき特徴はその極めて外交的な「幅広さ」にあると思います。
彼は「いつでも、どこにでも」います。彼は毎日テレグラムでActiveであり、Zconのような大きなイベントに参加し、Ethresearchにはいつも難解な書き込みをし、ホワイトペーパーには恐ろしく緻密なEthereumの詳細が記載されており、ブログを書き、Bitcoin magazineを書き、Twitterで頻繁に投稿し議論を行います
彼は自己掲示欲からこのような行動を取るわけではありませんが、彼のこのような姿勢を批判する者もいます。しかし、それはただEthereumを盛り上げるための行動なのです。
とんでもなくうんざりする事が多々あるので、Fortune500企業のCEOは誰もそんなことはしませんが、彼のやり方は驚くほど効果的です
彼はほとんど世界中の誰からでもアクセスできる非常に多くのチャンネルを持つこととなりました。
あるいはこう考えることもできます。
彼は世界の貨幣とコンピューティングのバックボーンとなれる構造物を作っている途中なのだと。Twitterやredditでランダムに返信することで。
長期的に見ると、これは非常に強力な効果があります。
彼は実際に会った人を惹きつけます
誰もがヴィタリクは共にあると感じさせます
これは非常に大きなPR効果があります
しかしおそらく最も重要な効果は、それが絶え間ない対話とコミュニケーションを保証するということです。
「絶え間ない」です。
多くのCEOはあなたを雇った後、彼らが重要だと考える事をあなたに伝えるでしょう。従業員が企業のミッションを理解し、そこに従業員を従わせるためにです
ヴィタリクの方法は違います。彼はCEO的なコミュニケーションの多くをスキップしますが、開発者というコアなコミュニティに対して同様の効果をもたらしています(エンドユーザーに、ではありません)
もしあなたがヴィタリクの競合になろうとするなら、私は彼からすべてを学び取る事を勧めます。彼はこのような卓越した仕事を、多くの部分で自ら実施することなく行っています。
これは、彼には根本的な透明性があり、アクセス可能であり、私利私欲ではなく大義のために行動しているからこそ可能であることなのです。
一般的なブロックチェーンやDAGのプロジェクトには、このような特徴を持つヴィジョナリーはいません。
競争は激しい。
高みを目指しましょう。
少々長いですが、示唆に富む内容かと思います。ちなみにヴィタリクは人と交流するために家を持っていないらしいです..。
・世界中の他者と対話するには、家なんていらない:ヴィタリック・ブテリン(24歳)の思索と言葉
Kyle Samaniの言う通り、Fortune500企業のCEOを見渡してもこれほど本気でプロジェクトに打ち込む人間はいないのではないでしょうか。
蛇足かもしれませんが書きます。上でヴィタリクについて書いたことで、「個人の影響力がそれほど大きいなら結局のところ中央集権なんじゃないの?」と感じる方もいるかと思います。私もその点に興味があり、思考したことがあります。
おそらくヴィタリクはEthereumがSerenityを迎えある程度まで成熟したら、どこかのタイミングでEthereumから離れるのかもしれません。Linux,Gitの創始者であり偉大なOSSへの貢献者リーナス・トーバルズはLinuxカーネルの優しい終身の独裁者であり、ヴィタリクも彼同様に大きな功績を残すと考えていますが、こと非中央集権の文脈では上記の矛盾をはらむように思うためです。サトシ・ナカモトが姿を消したのは、それがBitcoinを完成させる最後の仕事であると判断したからなのかもしれませんね。
長くなりましたが、以上がALISがその技術選定においてEthereumを採用した理由です。最初に書いたとおり、現状DAppsプラットフォームとしてはEthereum以外の選択肢はあり得ないと判断しました。
DApps/スマートコントラクトプラットフォームというEthereumの表面的特徴だけを捉えれば、競合となりえるプロダクトは無数にあります。中には将来的にEthereumを凌駕するような潜在性を秘めたものもあるかもしれません。
しかし、Bitcoinのxx倍でトランザクションがさばける!(ただし非中央集権ではない)とか、xxxの言語で書けるからイケてる!(ただしモノは動いてない)とか、めっちゃセキュアだ!(中央集権)とか、本気でそう主張しているのか、あるいはある程度の不誠実さがそこにあるのか、いまいち判断がつかないプロダクトも多々あるのが現状です。
これから技術選定を行う方は、この記事をあくまで参考の一つとしていただければ嬉しいです。そのうえで、是非ご自分でいろいろなプロダクトを評価・検証してみてください。(そして良さそうなものがあれば教えてください 🙏)
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