常に新しいことの連続である領域では、とにかくまずは飛び込んでやってみることによって多くの学びを得ることができます。外敵が潜む海に真っ先に飛び込むFirst Penguinの様に、臆することなく挑戦します。
2018年4月のクローズドβ版公開からもうすぐ1年が経ちますが、「もう1年」と思ってしまうほどこの1年間は濃密でした。私たちは常にスピードや新しさを重視した取組みの中で、多くの発見と学習を積み上げてきました。
そのおかげで、世間が規制動向を待ったり概念実証からなかなか先へ進めずにいる間にALISはコミュニティを形成し、Web3時代の先行事例を生み出すことができたと自負しております。そして、実稼働プロダクトを用いた価値検証を1年間、一度もシステム上の大きな問題を起こさずに行えたことに私たちは誇りを持っています。もちろん、ALISの成長を後押ししてくれるトークンホルダーやALISユーザーの皆さま(以下、呼び名をALISISTAに統一)がいなければ実現不可能だったことであり、その点みなさまにもぜひ誇っていただければ幸いです。
本日は、これからのALISの成長戦略を皆さまにお伝えいたします。別途、正式なプレスリリースで詳細をお伝えする内容もありますが、何よりもまずALISISTAに我々の考えをお伝えしたいと思い、先行してこの記事を書きました。
本記事でお伝えしたいもっとも大きなトピックは、マネタイズ実施についてです。
私たちは2019年度、企業向けのブロックチェーン事業コンサルティング・開発支援を行っていきます(まだまだ検討中ですが、alis.toを通じたマネタイズも視野に入れています)。
唐突なお知らせで驚く方もいるかと思いますが、ご安心ください。alis.toにいきなり下品な広告がデカデカと表示されることはありませんし、お金がなくなって今日・明日にでもサービスが終了するという話ではありません。また、チームが金稼ぎに目覚め私利私欲を満たすために行動し始めた、というわかりやすい事態でもございません。それは私たちがやりたいことではないよね、という価値観は今もチームの中心に座しています。将来のゴールもALISのこれからとオープンβ版についてでお伝えした内容から変更はございません。
「次のWeb」を代表するサービスを作るという方向性がぶれることはありませんし、当初から掲げている「信頼の可視化で人のつながりをなめらかにする」というビジョンにも変更はありません。また、私たちがDecentralizationの指向を諦めることはありません。ALISのプロダクト、エコシステムの全てをDecentralizedな形で指向する事こそがALISのやりたいことであり、それを世の中に広めたいからです。
しかし。
そうはいってもプロジェクトとして生き残るため、ぼちぼち動いた方が良さそうです。2年後、3年後、5年後、それ以降を俯瞰し、ALISの継続的運営&トークン価値向上をいかに達成するかを思考した時、まだ余裕のある今の段階できっちりと企業体力を付けておくことは理に適った施策と考えました。
実を言うと私たちは、マネタイズが必要になるのはもう少し先だろうと想定していました。現時点でお金が尽きた、という訳でもございません。
ではなぜこのタイミングで決断したかというと、そこには大きな理由として国内のブロックチェーン・暗号資産市場に対する規制動向があります。(この点は次章で詳細をお伝えいたします)
大事なことは、新しいWebのパラダイム・シフトが訪れるタイミングで、私達がその最前線にALISISTAと共に立つことです。そのため、この幻滅期で体力やヴィジョンを保てないプレーヤーが撤退するなら、ALISが獲得した学びはそのまま独自の価値を持つ優位性になると考えています。継続は力なり、ですね。
もしかしたら皆様の中には、今回の意思決定を快く思わない方もいるかもしれません。ですが本記事の内容をお読みいただき、業界や規制の動向、技術の発展、プロジェクトとコミュニティの存続についていろいろと思考を巡らせていただければ、きっとALISISTAの皆様には私たちの新しい挑戦を応援していただけると、そう考えております。何卒ご理解いただければ幸いです。
ALISISTA以外の方から、なにがしか厳しいご意見をいただくこともあるかもしれません。しかしそういったご意見はきっちりと拝聴しつつ、かつ、私たちとしては気にせず成すべきことを淡々と行動してゆく所存です。
国内の規制動向について私達の考えをお伝えします。暗号資産およびセキュリティトークンに関する法改正の議論から推察するに、私たちは今まで以上に企業体力が重要となると判断しています。その理由をご説明するにあたり、まずは規制動向の概要をご覧ください。
※ 本記事はあくまで株式会社ALISとしての見解を示したものです。この見解は2019年4月18日時点のものですが、状況は日々目まぐるしく変わりますので、事業会社の皆さまが実際に事業を行う場合は、専門の弁護士や関係省庁にご相談することをおすすめします。
金融庁は、2019 年 3 月 15 日、仮想通貨(暗号資産)及びセキュリティトークン(電子記録移 転権利)について、関連する資金決済法、金融商品取引法及び金融商品販売法の改正案 を国会に提出した。その骨子は以下のとおりである。
<資金決済法改正法案>
① 「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称の変更
② 暗号資産カストディ業務に対する規制の追加
③ 暗号資産交換業の業務に関する規制の強化等 <金商法改正法案>
④ 電子記録移転権利の創設及びこれに対する規制の適用、
⑤ 暗号資産デリバティブ取引に対する規制の創設
⑥ 暗号資産又は暗号資産デリバティブの取引に関する不公正な行為に関する規制の創設<金販法改正法案>
⑦ 暗号資産の販売等に対する金販法の適用
ここで共有すべきメインの論点は、「カストディ業務」に関する規制です。
簡単にお話すると、「他人のために暗号資産の管理をすること」が新設されました。事業者側の観点で言い換えると、今後はウォレット提供事業者でありユーザの秘密鍵を預かるケースにおいては資金決済法上のルールに則った運営が必要となり、仮想通貨交換業およびホットウォレットで管理する場合は預かり資産と同種同量の暗号資産の準備が必要となります。
ALISはパブリックチェーンのトランザクション処理性能や秘密鍵管理のUI/UXの低さなど、様々な点を考慮した上でプライベートチェーンでの運用を行ってきました。その中、今後実装されるウォレット機能を搭載することにより、プライベートチェーンにおける顧客資産ALISを運営が管理しているという状況になり、今回の規制の対象にあたることになります。
こちらの規制によるALISへの影響は現時点では正確にお伝えできません。しかし、私たちはALISが少なくない影響を受ける可能性を前提に意思決定を行うべきだと考えました。国内のブロックチェーン・暗号資産マーケットの健全性が担保されないことには、業界全体の発展スピードが鈍ってしまい、結果的にALISが目指すビジョン達成が遠のくからです(真面目にやっている私たちがなぜ、Scamや脆弱なシステムを前提にしたルールに振り回されなければならないのか...という気持ちが、もちろん無い訳ではありません。しかし苦言を呈しても状況は改善されないので、先にも述べましたが、私たちとしてはやるべきことを淡々と実施いたします)。
一方で、まだ法案自体も検討段階なので、いくつかの未決定事項が存在していることにも言及させてください。ここでお伝えしたいのが、仮に現時点で規制対応のためにパブリックチェーンへ全面移行を行った場合、リテラシーの高い既存ユーザはともかく、新規ユーザーには満足なUXが提供できない可能性が高いということです。それではレイヤー2等の打ち手はどうか、と思われる方もいるかと思いますが、規制内容が確定していない状態では、それを必ずしも規制に則った構成にできるとは限りません。
つまり、現時点で上記を念頭に置きながら、alis.toの開発にリソースをかけるのは、最悪かけた工数がすべて無駄になってしまう可能性が否めないということです。
また、別観点で、今後交換業への登録申請を行う事業者はJVCEAの加入が義務化されるという点にも注意が必要です。これは、入会費だけで200万円、年会費や弁護士への依頼も含めると、総額で数千万円の費用が必要となります。要求される体制構築の費用を考えるとさらに年間数千万円の追加の費用がかかります。費用だけが直接的な原因ではないでしょうが、昨今有力な事業者の相次ぐ撤退のニュース等からもわかるとおり、規制を含む界隈の状況は控えめに言っても厳しいと表現できるでしょう。
国内の暗号資産取引所への上場はALISにとって必ず実現させたいことの一つです。他の規制と同じく、この国内上場も簡単ではありません。そのための必須条件の一つとして、まず企業としてのキャッシュフロー健全性が求められます。
とはいえ、実はこれはそれほど悲観することでもないと判断しています。誤解を恐れずに表現すれば、マネタイズという観点で、ALISは現時点では国内で悪くない立ち位置にいるでしょう。1度もセキュリティ上の問題を起こさず、プロダクション環境で、1年以上のブロックチェーンを含むシステムの運用実績がある企業はそうありません(ひとえに皆様のおかげです)。
ありがたいことに、国内取引所の運営者とのお話も前向きに行えています(運用実績などが無いために、資金はあるが暗号資産の発行ができず、コミュニティも作れず悩むケースは山ほどあります)。そのため私たちは、スマートにマネタイズを実現し、しかるべきタイミングで堂々と国内上場を果たそうと考えました。
以上が、企業向けのブロックチェーン事業コンサルティング・開発支援を行おうと判断した主な理由です。
上記の通り、現時点においては、無駄になってしまう可能性のあるalis.toの開発に全てのリソースを割くべきではなく、足腰を固めるために企業向けブロックチェーン事業・開発支援を行うことが、中長期的に思考した場合にコミュニティ、プロジェクトのメリットになると判断したため、早々のリリースを期待されていた皆さまには大変申し訳ありませんが、トークン保有ボーナス、Referralプログラム、獲得ALISポートフォリオの3つの開発時期をペンディングにできればと思います。(※開発を辞めた訳ではありません)
また、上記3つの機能を選定した理由は次の通りです。
この機能は、もともとお伝えしていた通り、新規ユーザーが継続してALISを使ってくれるかどうかのRetention確認後に出そうと考えていました。そういう意味では、今回の戦略ピボットと無関係にペンディングになっていた可能性が最も高い機能ではありました。逆に言えば、今後新規ユーザーが継続してALISを使ってくれている状態が確認でき次第、すぐにでも公開すべき機能でもあります。
カストディ規制を考慮し、今後トークンの取り扱い(ウォレット機能として判断される)基準に抵触してしまう可能性があるため、やむを得ずペンディングといたしました。
こちらはトークン保有ボーナスとセットで出す予定だったので、合わせてペンディングといたしました。
一方、上記3つの機能以外はRetention向上(オープンβ版の最重要KPI)の土台として必須の機能と考えておりますので、予定通りリリースする予定です。ぜひ楽しみにお待ちください。
冒頭でお伝えした通り、市場環境および業界規制の変化を受けて、ブロックチェーン技術に特化した開発やコンサルティングを開始いたします。
ありがたいことにALISは、トークンのインセンティブ設計や、ブロックチェーンが絡むシステムをプロダクト環境で1年以上、セキュリティ問題ゼロ・可用性100%で運用してきた実績を高く評価していただいております。そのため、実はALISとしてこれまでにもいくつか、省庁や民間企業の担当者の相談に乗ってきた実績があります。
なので今回、チームの基盤を盤石なものとしつつ、より踏み込んだ形でブロックチェーンの社会適用促進を目指すという意図が込められているとご理解いただければ幸いです。
※こちらに関しては、近々プレスリリースも出そうと考えていますので、詳細はそちらをお待ちください。もし企業担当者の方がいらっしゃいましたら、いつでもご連絡をお待ちしています。info@alismedia.jp 宛にご相談ください😉
ここでアナウンスさせていただいた内容の詳細は、4月23日(火)に開催する「ALIS β版リリース1周年記念イベント」でもお伝えしたいと考えています。詳細は決まり次第ALISの公式Twitterアカウントなどでアナウンスしていきますので、ぜひお楽しみに!
私たちはALISを一緒に盛り上げてくれるALISISTAへの価値還元を、常に最優先で考えております。この話に限らず、今後ALISとして継続成長の土台を最速で整えた後は、そこでのリターンを全力でALIS経済圏の成長、トークン価値向上、新しい体験の創造に繋げていきたいと考えています。
※補足
・ ALIS-officialアカウントが作成した記事にトークンは付与されません
・ ALIS-officialアカウントが作成した記事は人気記事に表示されません
---------------------------------------------------------------------------------------