こんにちは。ALISコミュニティの皆さま。
今日はこれから、近日リリース予定のALISのオープンβ版をより一層楽しんでいただくために、今ALISチームが考えていることをコミュニティの皆さまにお伝えできればと思います。
2018年に起きた様々な出来事は私たちにとっても予想外のことばかりで、毎日どこかで事件が起きては計画変更を余儀なくされることもしばしばありました。それでも今、「ALISプロジェクトは順調に進んでいる」と自信を持って言えるのは、ひとえにALISトークンホルダーとユーザー、その他すべてのALISコミュニティに支えられてきたからです。長い文章ですが、ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
1. 「次のWeb」を代表するサービスを作る
2. プロジェクト進捗の可視化について
3. オープンβ版のスコープ
4. リリース前夜祭AMAを開催
ALISの目指すビジョン。それは「信頼の可視化で人のつながりをなめらかにする」ことです。
では、それをどのような形で実現しようと考えているのか。端的に言えば、ALISのプロダクト、エコシステムをDecentralizedな形で実現することです。これは、Web3(あるいはWeb3.0)と呼ばれるムーブメントの中で、ALISをその代表的なサービスとするべく、それを真正面から追求することを意味します。
ここで言うWeb3とは、特定の企業や組織が個人のデータ(コンテンツや個人情報)を独占せずに、誰もが自分自身の意志で利用できる新しいWebの形という意味で使っています。(※Web3 や Decentralization の考え方については こちら の記事も参考にして頂ければと思います)
これをALISに置き換えると、ブロックチェーン上に刻まれた個人のデータ、特に信頼情報を、組織としてのALISチームを含む特定の中央集権者に依存することなく、個人が自らの資産として活用することができるということになります。
下図は、Why Decentralization Mattersで語られている中央集権的プラットフォームの問題点について整理したものです。
中央集権的なプラットフォームを成長させるために重要なことは、ユーザー・開発者・メディア等のサードパーティを多く囲い込むことです。プラットフォーマーとユーザー・サードパーティの関係も一方的なので、プラットフォームが成長しS字カーブの上に差し掛かるにつれ、ユーザーやサードパーティに対する力は大きくなります。特定の企業や組織の力を中心として大きくなったサービスは、その対価として組織がプラットフォームから生まれる価値を搾取しやすくなるということです。
一方で、非中央集権的なプラットフォームは、全く異なる成長プロセスをたどります。協力によって成長したプラットフォームをコントロールするのは参加者一人ひとりであり、そこから発生したルールや規範、ガバナンスはあっても独占的な企業や組織による一方的な搾取は存在しません。
これが、ALISがコミュニティとの価値共創を掲げる根本的な理由です。
どんなに理想的なロジックや仕組みも特定組織のコントロール下にある限り恣意的にスコアを改ざんされるリスクがつきまとうため、ALISが信頼の可視化を掲げる以上、非中央集権的なプラットフォームとしての成長を目指す方が筋が良い。むしろそうでなければ無意味だと考えています。また、手段としてのDecentralizationを成長の源泉とすることが、ALISのような小さな組織が既存影響力のあるプレーヤーと比較して成長スピードを高められる最も筋の良い手段だとも考えています。
ここまで読んで「ではなぜALISは大企業と協業しているのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ごもっとも。ここではその点に回答いたします。
結論としては、「社会に信頼されている会社との協業を通じて、ALISという組織としての信頼を獲得し多くの人々を巻き込める状態にする」ことが重要であるからです。
前提として、私たちは近い将来「次のWeb」の大きな波が来るという確信を持って行動しておりますが、一方でその普及には、技術、UX、規制などの面を考慮すると早くても数年はかかると考えております。
ちょうどこの記事を書いている途中にSteemitの人員削減やConsensysが従業員の13%を解雇するなど、Crypto界隈で影響力を持つプレーヤーの衝撃的なニュースが複数飛び込み、界隈に幻滅期とも言えるフェーズが訪れたことを肌で感じます。外部要因による不確実性が高いこの業界では、中長期的なサービス発展を意図したプロジェクトほど、今は人・モノ・金の面で守りを重視すべきフェーズであると言えるでしょう。
しかしながら、守りだけを固めていては時流が来たタイミングで攻めることができないため、インターネットやスマートフォンがこれまで起こしてきたパラダイムシフトがそうであったように、しかるべき時にしっかりと上昇気流に乗れる状態を作っておくことも重要です。
以上の理由から、ALISは将来的にWeb3の世界を指向しながらも、既存のWebで影響力を持つプレーヤーとの協業も柔軟に行っています。世の中で既に信頼されている組織や個人の信頼をALISに移動させることが、結果的にWeb3サービスの実現にも寄与するとも考えているからです。例えば、国内取引所の上場などがまさにそうですが、その時々に応じて、プロダクトとその経済圏が作る価値(リターン)以上に、株式会社ALISとしての信頼(リスク)が判断基準として重視されるケースもありますので、この判断は今のところプラスに働いていると言えるでしょう。
大事なことは、新しいWebの大波が訪れるタイミングでその最前線にいることであり、私達はALISコミュニティと一緒にその景色を率先して作りたいと思っています。そのためには、戦略のピボットや既存プレーヤーと協業を指向し、必要に応じて株式会社ALISとしてのマネタイズ(コンサルティングや受託開発であっても!)も辞さない覚悟でおります。命あっての物種ですしね。
でもご安心ください、プロダクトの価値向上スピードを緩める気はさらさらございません。この幻滅期で体力やヴィジョンを保てないプレーヤーが撤退していくならば、ALISコミュニティが獲得した学びがそのまま競争優位に繋がる経験値となります。「次のWeb」に向かって共創できる希少なコミュニティを抱えるALISにとっては、この状況は見方を変えると最大のチャンスです。
もちろん、コミュニティが望む価値を追求すること、個人が発信した情報で得た価値や信頼情報は個人が利活用できるようにすること、全ての施策をALISトークンの価値に繋げることは大前提です。
まわりを見渡しても、Web3を指向しながら、既存影響力のあるプレーヤーとの共創に成功しているプロジェクトはほぼありません。だからこそ、ALISのWeb3領域と既存プレイヤーとの双方のつながりがそのままALISの独自ポジション(=強み)となると考えています。
続いて、このような状況の中で、私たちがALISをどう発展させようと思っているかをお伝えします。キーワードは「機敏性」です。
ALISの事業開発スタンスは、Lean Development。すなわち、コミュニティやALISユーザーの反応をエビデンスとした必要最小限かつ機敏な仮説検証です。これは、サービス開発者の思い込みでユーザーにとって無価値な製品やサービスを開発してしまうことに伴う、時間、労力、資源などのムダを徹底的に排除したいという思いから重視しています。
さらに、ALISは金銭に準じるエンティティを扱うため、そのシステムには高いレベルの情報セキュリティ(ISO/IEC 27002)が求められます。Leanな開発と堅牢性、この両立は容易なことではありませんが、ともに妥協はありえません。(ありがたいことに、ALISはβ版公開以降、情報セキュリティにおける機密性・完全性・可用性ともに100%を保っています)
これまでのように堅牢性を保ちながら、さらに効率的にプロダクトを改善してゆくための施策として、私達は2018年12月をもって中長期ロードマップを廃止することを意思決定しました。理由はこのロードマップが上記の方向性にとって弊害となるからです。
公開したロードマップを守ることは言うまでもなく重要です。記載されている目標も諦めるつもりは一切ございません。しかし、これはプロジェクト開始時に公開したホワイトペーパーについても同様ですが、そこに執着すれば外部環境の変化に対応しきれないばかりか、無意識なプレッシャーにより、最悪の事態としては上記の情報セキュリティすら犠牲となりかねません。その帰結として資金流出などの事故を起こせば、この業界における過去の事故の例を出すまでもなく、そもそもプロジェクトの継続は難しくなるでしょう。
また激動するクリプト界隈においては、「逆算型」ではなく「積み上げ型」で進捗をお伝えするほうが、実際に則したプロジェクトの可視化を実現できると考えました。これは、計画に従うことよりも変化への対応スピードを高めるという意味で、今まで以上に機敏に動けるようにしようという意思決定です。もちろん、今後も変わらずGitHubや開発進捗Trello、Twitterでの報告やBIデータ公開など、今動いていることは徹底して透明化してゆくとともに、いくつか新しい施策も行っております。こちら準備でき次第、順次みなさまにお伝えいたしますので、今しばらくお待ちいただければ幸いです。
ここからは少し具体的な話に移ります。私たちがオープンβ版の初期フェーズに学習したい観点としては、大きく下記の2つを考えています。
1. 新規ユーザーが継続してALISを使ってくれるか(Retention)
2. トークン報酬をフックとした紹介ユーザー数維持率(Referral)
それぞれ説明します。
クローズドβ版の検証を通じてわかったALISの価値は、従来のSNSではなかったフィードバックやつながりが得られやすいことに尽きます。一般的なブログサービスは、アカウントを作成して記事を書いただけではすぐにフィードバックを得るのが難しく、検索ワードやソーシャルメディアからの流入を獲得して初めてコメントや報酬などのフィードバック(記事を数十件書いて、半年後にようやく1件のコメントがつくこともざらにあります)を得ることができます。
一方ALISは、これまでに公開された記事の約9割が24時間以内に1以上のいいねを獲得しています。これは、従来のメディアと比較してALISだけが持つユニークなパワーです。これは私たちとしても当初想定していた以上の結果でした。
さらに、ブログ初心者と経験者のいいね獲得スピードにも違いはありません。このことから、ALISでは初めて記事を書いた人も経験者と同様にフィードバックを得られる特徴があると言えます。なお、クローズドβ版公開時点ではいいねが主なフィードバックでしたが、今ではそこに投げ銭やコメントも加わりました。
加えて、ALISユーザー間のネットワーク、所属コミュニティ、行動属性(記事投稿 or 評価メイン、その頻度、流入経路など)別に分析を進めながら、将来の信頼スコア算出ロジック策定につながる様々な学びを得ることができています。
・計測ツール:Google Analytics
・期間:2018年4月28日~12月10日
・月間アクティブユーザー数:その日を含む、過去30日の間に一度でも訪問があったユニークユーザー数
ALISの月間アクティブユーザーは、クローズドβ版公開後最大で2,022人、現在は1,000名前後です。これはまだ様々な機能が足りていない点やコストをかけたユーザー集客をしていない点を踏まえると、次フェーズに進むに十分な水準だと考察しています。
もちろん、閲覧を中心にしているユーザーの継続率が低いなど、想定通りとは言えなかった点もいくつかありますが、この点は今後の伸びしろであり、オープンβ版公開後に十分改善可能だと考えています。
ただし、これらの検証はもともとALISに興味を持ってくれた人たちで行われているという前提があります。今後は仮想通貨やブロックチェーンに興味の無い一般ユーザーの流入が予測されますので、オープンβ版公開後真っ先に、現在の水準と同等以上のRetentionを維持(再現)できているかを検証します。
これは決して簡単なことではありませんが、逆にこの再現性が実現さえすればメディアとしての未来は明るいとも想像できます。なぜなら、世の中の多くのメディアは広告費をかけて集めただけの人もユーザーとして偽り、それをユニークユーザーとしてアピールしながら媒体広告による売上増加を行っているからです。これでは右から左にユーザーを移動させているだけであり、本質的な価値は薄い存在となってしまうので、ALISはここに徹底して向き合っていきます。
オープンβ版の初期で学習したいもう一つの論点は、ALISがユーザーからの口コミで人が増え続けるための構造を解明し、そのためのキラーコンテンツとなるReferral促進機能を実装することです。
※Referral促進機能の実装は、上記「1. 新規ユーザーが継続してALISを使ってくれるか(Retention)」の検証後を考えていますので、オープンβ版公開と同タイミングではありません
ALISが「次のWeb」を代表するサービスとして発展するためには、従来のサービス以上にOrganic Growth(プロモーション費用0円でユーザー数が増え続ける)が重要となります。
Organic Growthを測る指標として代表的なものにバイラル係数(「ユーザー1人あたりの招待行動数(SNS投稿やメッセージでの招待)」 × 「その投稿やメッセージのクリック率」 × 「クリック後のユーザー登録CVR」)がありますが、ALISも初期はこの値を重視して検証を重ねていくことになります。
上の図は、バイラル係数が0.9、1.0、1.1の場合ごとのユーザー数の増え方を表しています。少しの係数の違いで成長カーブが大きく異なることが分かることでしょう。1を超えた瞬間、乗数的な効果が現れ始めます。
私たちは、このReferral促進機能にALISトークンを連携させる予定です。
なぜなら、エコシステムとしてALISを俯瞰した場合に、良質な情報の発信者や評価者をALISに招待するという行動は、自分自身が記事を書いたりいいねを押したりすることと同様に価値のあることだと考えるからです。
信頼の可視化を行うためには多くのデータが必要です。当初私たちもクローズドβ版の期間中にテストできる部分があるとも思っていましたが、運用する中でその非効率さに気づきました。なぜなら、ロジックの構築や磨き込みを現在のデータ量で行うのは筋が悪いからです。機械学習のようなアプローチを行うためには、何よりもデータの母数を増やす必要があり、そのためにまずやるべきことはユーザーが使い続ける価値を作ることです。
誤解を恐れずに言えば、ALISは今ようやく一定数のユーザーに使ってもらえるようになった段階です。この後、新規ユーザーが継続してALISを使ってくれるRetentionの再現性を検証し、人が増え続けるOrganic Growthの仕組みを作る中で、ユーザーが求める価値が磨き込まれていきます。もちろん、この間も信頼の可視化ロジックに関する様々な検証を行う予定ですが、それでも最終的なロジックの構築には約3年ほどかかると見ています。
もちろん、このロジック構築とは単なる信頼の可視化ロジックのみでなく、「コミュニティからの代替ロジックの提案」といったシステムの構築も含めております。
ALISのオープンβ版とは何でしょうか。その本質は、世の中の優秀な技術者やアナリストなどがサードパーティとしてALISに参加しやすい仕組みを作ることです。よく言われる、登録が事前登録制でないこと、カテゴリ制限が無いこと、スマートフォンからの投稿が可能となるといったことは枝葉の話です。
ここで一度、冒頭の話に戻ります。ALISはWeb3を代表するサービスを目指し、エコシステムをDecentralizedな形で実現したいとお伝えしました。ALISは、それを保有している会社の従業員ベースでしか成長しないプロダクトではなく、未完成の状態で始まり、新たな協力者を集めながら指数関数的に成長していくサービスを目指したいと考えております。Decentralizedな成長のための主要成功要因は何でしょうか。私達はそれを、どのプロジェクトが優秀な技術者やアナリストやユーザを”囲い込むか”ではなく、いかに”支持を集め共創できるか”という点だと考えました。優秀で意欲のある人達と共創できるサービスやプロダクトこそが唯一、従来のルールである資本(モノ・ヒト・カネ)やルール数を凌駕する可能性を持つからです。
そのため、ALISはオープンβ版公開後、順次以下の機能やルールを整備します。
・OAuth認証によるサードパーティの開発参加促進
・アナリストなど誰もが信頼スコア算出ロジックを提案できる制度の構築
・提案に対するコミュニティのフィードバック、投票の仕組み
これらの取組みは、既にALISが「次のWeb」を代表するサービスを目指す以上必須の仕組みであると考えています。
文章だけでは伝わりにくいニュアンスもあると思いますので、オープンβ版公開前にいつもより長めのAMAも準備中です。オープンβ版の公開が近づきましたら公式TwitterやDiscord内で告知しますので、ぜひお楽しみに。
ALISの成長に影響を与える出来事はこちらの都合とは関係なくやってくるので、準備が整うまで待っていたらチャンスをつかむことはできません。
私たちはこれからも前のめりに、失敗から学ぶスタンスを忘れずに着実な成長を目指していきます。将来ALISがWeb3時代のサービスを代表するサービスとなった暁には、この成長プロセスを歩んだメンバーの一人ひとりが最先端の知識・経験を得ていることを私たちは強く信じています。
一つひとつのプロセスをぜひ一緒に楽しみましょう。