2018年7月28日夕に、大阪のbillage OSAKAで行われた「トークンエコノミーmeet up 信用評価経済時代の独自通貨と経済圏」。
ALIS、TIME TICKET、VALU、PoliPoli、西粟倉コイン、あたらしい経済と、日本のトークンエコノミーを代表するようなプロジェクトの代表の方が登壇され、充実したトークセッションや交流会も行われました。
仮想通貨を巡る現状はとても厳しいですが、このイベントを拝聴していると未来に希望が見えてきたように思いました。
というのは、実際に仮想通貨を使った(あるいは使う予定の)ユースケースとしてのサービスの話を聞けるのですから、トンネルを抜けた先にはこのような世界が待っているという事例が垣間見れるのです。
イベントは内容が充実しすぎてまとめるのが難しいので、ポイントを絞ってレポートします。
今回のレポートは、トークンエコノミーでのコミュニティについて。
この会で登壇者の方が頻繁に言われていたのが、トークンエコノミーにおけるコミュニティの重要性でした。
特にコミュニティ形成で先駆者の一人であるALIS安さんが一番たくさんの話をされていましたし、ここはALISですので、安さんの話からALISにおけるコミュニティの立ち位置やトークンの考え方についてまとめて、再度考えてみたく思います。
合わせて、VALUの小川さんもコミュニティについての話されていたので掲載します。
なお、講演全文書き起こしが後日にログミーのサイトにて出るようですし、メディアの方も来られていましたので記事にもなると思いますので、そちらもご参照ください。
私のレポート、Part 2はこちらです。
ALIS 安 昌浩氏
・ユーザーはあなた(企業)のお金を作るためのものじゃない。一緒に何かを作る存在。
・運営は神でなくコミュニティの一員でフラットな存在だから、情報を開示して目線を一緒に共有することがとても良かった。
・ALISはコミュニティだけではなく、業界の中心的な人も応援してくれている。ディセントラライズドな世界を目指しているのがわかってくれているから助かっている。これによって僕たちは投機的なところを防いでいる。
・投機筋が入るとクソみたいな、お下品なwコミュニティになる。
(投機筋の)いつニュースを出すんだ?、なんで運営はトークンを買い上げないんだ?と言うことを徹底的に防がないと、トークンエコノミーなんて先のまた先のことになってしまう。これが大前提。
・そのうえで、どういうビジョンを目指していてどういうふうにやるのかということを徹底的にコミュニティと対話して作ってゆくことが大切。そこに共感していろんな方が集まってくださっている。
・コミュニティのみなさんがALISに関わることで自分のやりたいことをやれるということを担保しながら、自分たちのビジョンを実現してゆく。
・VALUはビットコインを使ってビットコインのコミュニティに加わる考えなのだが、どうしてALISは独自トークンを発行したのか?(VALU 小川さん)
安さん回答:自立経済圏を作るのにビットコインやイーサリアムでは、僕たち(ALIS運営)がコントロールできないから。
ALISトークンをユーザーを含めてコントロールできる状態にして、その価値を上げてゆくことで経済圏を作ってゆきたかったから。
・ただし、これは良し悪しがあって、悪い部分は投機がいくらでも作れて運営がお金をむしり取れること。
僕たちは良い部分に賭けて、そのかわりに透明性を出して、運営が売買しないことを担保しながら、ユーザーと一緒に価値を高めてゆく。
コミュニティと運営との関係についてよく分かるお話でした。
安さんは交流会でも言われていたのですが、既存の大企業(例としてR社)は、ユーザーをお金としか見ていない、それが嫌だったとことで、上のような発想でALISを運営しておられることがわかります。
運営の透明性を重視されている理由も、コミュニティの充実とつながるのですね。
それと投機筋についての見解も興味深いです。
立場上なかなか上のようなことは言えないようですが、運営としてトークン価格の操作はしないということを含めて、投機的な動きを排して長期的な価値上昇を図ってゆくとの方針が改めて確認できたように思いました。
もちろん仮想通貨に投機的な動きは必ずしも悪ではなく必要とされる部分もあるのですが、もっと本質的に仮想通貨をどう使って社会を発展させてゆくのかということを、安さん含め登壇者の方々は考えておられることが、今回のイベントでよくわかりました。
そして仮想通貨を売買する方々も、価格の上下だけで喜んだり悲しんだりするのではなく、やはりこういう本質を見ることが大切と改めて気付かされるお話でした。
VALU 小川 晃平氏
・VALUを使って結婚した人がいるということで、御本人がトークセッションに飛び入り参入!
フェイスブックやインスタのいいねはどうでもいいねだけど、VALUはそういった記事が上がってこない、こうやって頑張ってますという現実の動きが見えるのがVALUのいいところ。(VALUユーザー・アキラさん)
・VALUは当初は異常で、すごく儲かったのだが、投機性を抑えてコミュニティ運営ができるような機能を追加した。今は投機的なところを抑え過ぎて投資をしたいとか支援したい人も摘んでいるので、バランスを取ってゆくのが次の一年の勝負。
・ICOは短期的にお金が儲かるから人気になる。VALUはそうじゃなくて、エクイティファイナンスのように2,3年から10年20年の規模で個人を応援してくれる人をどうやって増やすかを今は考えている。
・NPO法人などでICOをすると、規模が小さいので簡単に価格をpumpできる。仮想通貨のそれ(価格操作)を無くしていって、健全にその人の価値を見つけてゆくことを1~5年でやってゆきたい。
そして、それについて来れるコミュニティとかユーザーを集めて調教w、いやリテラシーを上げてゆく。日本人の金融リテラシーを上げてゆく点で、コミュニティマネージメントを考えてゆく。
小川さんも投機的なことについて懸念を示しておられました。
リテラシーの調教はちょっと過激ですが、VALU当初に生じた投機的なことを考えると、健全に人の価値が評価されるコミュニティというのはとても大切なことと思いました。
あと、質疑応答で、ALISのコミュティマネージメントが素晴らしいのでこういった仕組みがVALUにあればいいのにと注文が付きました。小川さんはVALUはコミュニティマネージメントを放置していると言われてびっくりです。
ALISはICOをして自分たちのトークンの価値があるので、コミュニティマネージメントをやらざるを得ない。VALUはもっと社員が増えたらもっとやりたいとのことでした。
個人的にはVALUはVALU全体のコミュニティというより、参加しているVALUER(ユーザー)個々人がそれぞれ中心となるコミュニティを作るので、ちょっとALISとはコミュニティの方向性が違うように思っています。
このコミュニティにに関する発言は、今回のイベントのほんの一部分ですが、それでもこれだけの分量の記事になりました。
他のトピックでも考えさせられる話がいっぱいありましたので、とても充実した会であったことがわかっていただけると思います。
この続編、レポートPart 2はこちらです。
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