有能将軍アンティパトロスに続き紹介していくのは、とある漫画の主人公にもなったエウメネスです。
出生不明の流れ者、文官でありながらも後に指揮官として活躍。
最終的にアレクサンドロス大王の後継者争いに参加するという彼が、ディアドコス(大王の後継者を争う人物)になるまでをまとめていきます。
出生不明の流れ者
ローマの文化人プルタルコスが著した"対比列伝”において、"祖国を追われた者”としてカルディアからマケドニアに流れ着いた者として書かれている。
それ以前の彼の出生などが分かる記述などははっきりしていない。
フィリッポス2世に仕えた書記官
フィリッポス2世とは親しい仲であったと考えられ、王の書記官として活躍した。
当時、マケドニア王国の国事の多くはフィリッポス2世を始めとする王が取り仕切っていた。
王の書記官を務めるということは、様々な外交文書や軍への辞令などに関わるため、国全体の動きを把握できる役職であった。
アレクサンドロス大王の元では…
フィリッポス2世の死後、アレクサンドロスがマケドニア王となったときも書記官として起用される。
大王の東方遠征ではペルシャ制圧後の広大な領土を管理すべく、ペルシャ式の書記法を取り入れたりと奔走する。
東方遠征において彼が矢面に立って戦う記述はないが、インドの一部を制圧した際にアレクサンドロス大王の騎兵300騎の指揮を任されたり、英雄ペルディッカスの騎兵隊の指揮官を努めたとされている。
ただの文官がこれ程の地位につくとは考えにくく、遠征の途中からは戦いにおいて活躍をしたことが考えられる。
ディアドコスとなる
アレクサンドロス大王の死後、彼の領土の支配権と王位継承を巡って対立が起こる。
エウメネスはマケドニア出身ではないことを理由に中立の立場を取っていた。
領地の分配を決めるバビロン会議において、エウメネスは未だ制圧しきれていないカッパドキア太守に任命される。
このときカッパドキアにはマケドニアの支配が及んでいない地域があったが、ペルディッカスの支援を得てこの地を制圧した。
こういった経緯もあり、中立を保ってきたエウメネスも結果的にペルディッカス派として後継者争い(ディアドコイ戦争)へと参加していくのである。
豆知識
この書記官という立場から、マケドニアの人物たちの生き様を描いた漫画が“ヒストリエ”です。
中学生の頃に古本屋で立ち読みしたことがあるくらいの縁でしたが、まさかここでこの本に繋がるとは思いませんでした。
ディアドコイ戦争まで描かれているのかは分かりませんが、機会があれば読んでみます。