イギリスの渋滞税やデンマークの肉税金(案)など、世界にはユニークな税金があります。
肥満大国アメリカをはじめ、メキシコ、ニュージーランド、ハンガリーでは、近年“ファストフード税”なるものが導入されています。
2016年、PLOSメディスンに寄稿された論文では、清涼飲料水にかけられる砂糖税を10%にした場合、2万件以上の脳卒中や心臓発作、そして2型糖尿病を防ぐことができ、9億8300万ドル(約1300億円)の医療費を節約できるとしています。
今回はそんな食べ物と税金に関する記事についてのお話です。
参考記事)
・What Makes 'Junk Food' Junk?(2023.4.27)
参考研究)
・US Policies That Define Foods for Junk Food Taxes, 1991–2021(2023.4.26)
アメリカ マサチューセッツ タフツ大学では、ジャンクフード税の対象となる食品の定義についての研究を行っています。
ジャンクフード税に含まれる食べ物はどういった基準で選ばれているのかは、しばしば議論の対象となってきました。
研究では、1991年から2021年までの47の法律と法案を分析しました。
研究者は既存のポリシーが食品を定義するためにいくつかの基準を使用していることを発見しました。
基準としては、キャンディやチップスなどの製品カテゴリー、添加された防腐剤などの加工法、調理又は販売された場所、塩分や飽和脂肪酸、砂糖などの栄養素の量などが含まれていました。
データを追跡していくうちに2つのテーマが浮かび上がってきました。
1つ目は、主食と非主食を区別することができるようになったということです。
例えばパンは一般的に主食と見なされているため、ジャンクフードやスナックフードのカテゴリーから除外されることが多く、一方、スイーツやチップスは非主食に分類されます。
2つ目は、規制を免れるためにどのような加工や栄養素の組み合わせが考えられるかです。
これは、カテゴリー、加工方法、及び飽和脂肪、塩分、栄養素に基づいて、どの食品に課税するかを定義可能にするものと考えられます。
研究者たちは州の税法や法案が、公衆衛生局に課税対象の食品を定義するように指示していないことなど、十分に機能していないことに驚きました。
研究の第一人者であるフリードマン氏はこのように述べています。
「今後このメカニズムが機能するようになることで、食品会社が課税を回避するために、自社製品をより健康的なものにするよう動機づけられる可能性がある」
こういったきっかけで、スーパーマーケットに並ぶ食品が健康的になり、国の税収が上がるというのも、政策としては面白いものではないかと思います。
不健康なものに税金をかける反面、果物や野菜への課税は取りやめたりと、医療費削減と健康増進のために国ぐるみで行動していることが分かりますね。
肥満は心身的な原因も考えられるため、一概に砂糖やジャンクフードにかけられる税金が高くなれば、予測上の効果が得られるとは言えませんが、少なくとも不健康な食事から離れるきっかけにはなりますね。