人知れず深夜の神社で藁(わら)人形に五寸釘で打ち込んで呪う、丑の刻参り。
この丑の刻参り、果たして現代でも行われているのでしょうか?
ふとそんな疑問を持ちました。
疑問を持ったきっかけは、一つの記事とコメント。
このコメントが恐怖への入口だったとは、その時は知る由もない。
以前に僕は、貴船神社を訪ねた記事を書きました。
この記事を書くときにいろいろ調べていたら気になったことがあったんです。
それが丑の刻参り。
というのは、京都・貴船神社は丑の刻参りで有名なのです。
貴船神社は「貴船明神が降臨した「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に参詣すると心願成就するという伝承があったので、そこから呪詛場に転じたのだろう(Wikipediaより)」とのことで、貴船神社、特にその奥宮は丑の刻参りの聖地?なのです。
でも、さすがに現代で丑の刻参りはしてないでしょう?
と思っていたら、どうやら貴船神社では今も丑の刻参りこっそり行われているのでは、との情報があったのです。
これは調査しないと!
と思いましたが、丑の刻に真っ暗な中、貴船神社を訪ねることなど怖くてできない。
それに、もし丑の刻参りに遭遇したら、見られた人に殺されてしまうじゃないですか。
日中に行って神社の神木に釘が刺された跡がないか確認するとしても、貴船神社の奥宮は薄暗く人も少なく霊気が満ちていてめちゃくちゃ怖い。
なので、行きません!
と思いましたが、この僕の記事のコメント欄にて怪談?部副部長より、貴船神社で丑の刻参りの調査をして怪談フェスで記事にせよとの司令が下されました。
いくら副部長の司令は絶対命令で、従わないと呪われるからといって、そんなの怖いですって。
その上、そもそも僕は怪談?部の部員ですらないはず? いや、怪談?部だけに幽霊部員?
しかし、怪談?部の名にかけて、ここは行かねばなりません(部員でもないのに)。
いや、単に暑いから貴船のような涼しいところへ行きたいだけなので、副部長さん気にしないでくださいねー。
それと、丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)ではなくて昼間に行くことで許してね。
ということで、こすもす探検隊は、恐る恐る貴船神社へ向かいます!
貴船神社は京都盆地の北の山間に位置します。
貴船は都を逃れた霊やら妖怪やらなんやかんやが集う、京都最恐、いや日本最恐かもしれない心霊スポットとして昔から非常に有名なのです。
貴船神社へ行くには、まず京阪電車の終点、出町柳駅から叡山電車に乗り貴船口駅で下車します。
しかし、叡山電車は沿線の土砂崩れのため、現在は貴船口駅の手前までしか運行していません。
早速、呪われているやろ…。
ということで、京都市営地下鉄烏丸線の終点、国際会館駅から京都バスで貴船口駅に向かいます。
貴船口駅近くには上の写真のようにバスが待機する広場があり、ここで貴船口駅から貴船へ向かうシャトルバスに乗り換えます。
貴船のバス停より少し歩いて、貴船神社本宮に到着!
かの有名な貴船神社の参道階段ですね。緑と朱色の対比が美しい。
パワースポットして有名なこの階段ですが、この時は誰も写り込まない貴重な写真が撮れました。
えっ、霊が写り込んでいるって?
貴船神社本宮の社殿。
ここにまずお参りをします。
社殿横の御神水は清らか。
ここに来ると、つい水占みくじをしてしまいます。
紙を先の御神水に浮かべているんですよ。この時は吉でした。やったね!
と、本来の目的を忘れてかけて楽しんでいましたw。
ここで時間を費やしている場合ではありません。
丑の刻参りの証拠を探さないと!
丑の刻参りは、貴船神社奥宮(おくみや)でされているとの噂です。
ということで、こすもす探検隊は本宮から奥宮へ歩いて進みます。
本宮のさらに奥が奥宮。
奥宮は文字通り貴船神社の最深部で、この先は深い山中で誰も住まない無人地帯です。
この京都の北の端のどん詰まり感が半端ないっす。
さすが、都を追われた霊が集う場所です。
奥宮に向けて歩いてゆくと、美しい貴船川が横を流れてゆきます。
そして、貴船名物の川床も設置されています。
ここで料理を食べたらどんなに爽快なことかー。
しかし今回、我々こすもす探検隊にはそんな余裕はありません(主に金銭的に)。
ヨダレを垂らしながらも先に進まないといけません。
しばらく上り坂を歩いて、貴船神社奥宮(おくみや)に到着!
奥宮は貴船神社発祥の地で、もっとも神聖なる場所です。
ちょっと待って、なにこの鬱蒼とした雰囲気は…。
この日は真夏の日差しが照りつける暑い暑い日だったんですよ。
しかしここは日の光が遮られ、気温も低い。何より霊気がむんむんして冷えてきます。
本宮には人がいっぱいいたのですが、奥宮まで来ると参拝する人もわずかで、鬱蒼とした雰囲気にさらに輪をかけます。
では、意を決して門をくぐって奥宮に入ります。
またまた、ちょっと待って。なにこの暗い雰囲気は…。
真夏の強い日差しなどまったく意に介さない薄暗さ。
完全に周りの木々に夏の陽気が吸い取られていて、陽気の代わりに妖気が立ち込めています。
怖いよー。もう帰りたいよー。
でも、ここまで来たら丑の刻参りの調査をしないと。
木々を一本ずつ確認して、五寸釘が打ち込まれた穴が開いていないか、ひょっとしたら五寸釘や藁人形が残されていないか確認してゆきます。
例えば、奥宮にあるこの御神木なんてどう? 釘を打ちやすそうな?
この木は「連理の杉」と名付けられています。杉の木と楓の木が下の方で一体化しているんです。
連理とは夫婦や恋人が仲睦まじいことを指すらしいですが、そんなほのぼのとした雰囲気じゃないでしょう。
この木の直近までは行けませんでしたが、見える範囲では五寸釘の刺された跡はありませんでした。
さすがに社まで設置されている御神木だしね。
ここが奥宮本殿。
この下には龍穴(龍神様の集う場所)があると信じられており、ここは日本三大龍穴の一つとして有名です。
しかし、龍穴は人目を忌むべき神聖なものなので誰も見ることが許されていないとのこと。
やっぱり貴船神社奥宮は忌むべき神聖な場所なんだ…。
ここでは熱心に祝詞(のりと)をあげられる信者さんもいて、実はこの本殿の写真を撮ることすらはばかられる神聖な雰囲気でした。
そしてこの横には絵馬がたくさん吊されていますが、書かれている内容がハンパない。
ある絵馬には具体的で切実な苦しみがみっちりと綴られ、「助けて下さい助けて下さい」と実名入りで書かれていました。その絵馬の写真も撮りましたが、とても載せられません。
切実な方々が貴船神社奥宮を訪ねていることがよくわかります。
怖いのですが、さらに奥宮を覆っている木々を調べてゆきます。
さらに奥宮の境内の外にある木々も、五寸釘の跡がないか調べます。
しかし、幸いなことに五寸釘の刺された跡や釘、藁人形は見つかりませんでした。
幸いというのは、ブログ的には五寸釘が見つかったりしたら読者の興味をそそるのでしょうが、現地にいるとほんと見つからないことが幸いに思えてきたんですよ。
とその時!
先ほどの連理の杉から一筋の陽の光がさしてきました。
これはそろそろ帰りなさいという貴船神社の龍神様のお告げかと感じたので、ここで調査を終了し奥宮を後にしました。
貴船神社本宮まで無事に戻ってきました。
ここまで戻れて、正直ホッとしたのです。
恐らくですが、今も貴船神社ではこっそり丑の刻参りが行われているのではないかと思っています。
今回はその痕跡は見つかりませんでしたが、見つからないほうが良かったと心から感じた、今回の貴船神社調査でした。
ただ、このあと、こすもす探検隊が下界に無事帰れたかどうかを知る者はいない。
くれぐれも、五寸釘で打ち付けられていないことを願うばかりである。
本記事は、2021年怪談?部 真夏の怪談フェス参加記事です。
Camera: LUMIX G8
Lens: LEICA 12-60mm F2.8-4, LUMIX 15mm F1.7
(Coming soon)
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