第百九十四段
達人の、人を見る眼は、少しも誤る所あるべからず。
達人の人を見る目には、間違いがあるはずがない。
例へば、或人の、世に虚言(そらごと)を構へ出して、人を謀る事あらんに、素直に、実と思ひて、言ふまゝに諮らるゝ人あり。
例えば、ある人が嘘をでっち上げ誰かを騙そうとしたときに、素直に信じて騙されてしまう人がいる。