ニッケルは銀白色で展性、延性のある金属元素です。
融点が1453℃と高く硬い上に腐食しにくい性質も持ち合わせています。
磁石やステンレス鉱、電池や硬貨など様々なところで活躍しています。
鉄、コバルト、ニッケルはどれも強い磁性を持っており化学的性質似ています。
この3つの元素はまとめて鉄族元素と呼ばれています。
また金属アレルギーの原因の多くはニッケルやコバルトによるものとされています。
これは汗に含まれる塩素イオン等によって塩素が溶け出すことが関係していると言われています。
金属を食べる植物
ある特定の植物には、成長や代謝の過程で重金属を体内に取り込む性質を持ったものもいます。
こういったを植物は“ハイパーアキュミレーター”と呼ばれ、環境の浄化に役立ったり、植物からの資源の回収(ファイトマイニング)に向けて研究が進められています。
中でもフィリピンのルソン島に生息するリノレア・ニコリフェラという草は、葉にニッケルを蓄える性質が卓越しています。
その量は18,000mg/L(18,000ppm)とされていて、これは従来のハイパーアキュミレーターの数百倍の量となっています。
これらの植物が金属類を溜め込むのは、体内の金属によって害虫から身を守る事に役立ったり、普通の植物が繁殖しにくい環境に適用して繁殖に有利になるためと考えられています。
近い将来、鉱脈ではなく植物から資源を得る未来が来るかもしれませんね。
ニッケルの由来
名前はドイツ語のkupfernickel(クッフェルニッケル)に由来します。
kupfernickelは悪魔の銅という意味です。
かつて紅砒ニッケル鉱(NiAs)が銅を含む鉱物とよく似ていたため、精錬することで銅を得られるはずだと勘違いした坑夫たちがいました。
もちろん紅砒ニッケル鉱(NiAS)に銅(Cu)は含まれていないため、銅を得ることはできませんでした。
坑夫たちはこれを悪魔の仕業だと考え、kupfernickel(悪魔の銅)と名付けたのです。
1751年、クルーンステットがコバルトの採掘鉱山から採掘した鉱石を研究していたところ、緑色の結晶から銅は違う銀白色の鉱物の単離に成功。
この鉱物が悪魔の銅と同じものであること、他の金属と性質が異なっていたことで、新元素であることが分かりました。
この新元素をクッフェルニッケルを短縮したニッケルと名付けました。