さて忘年会のシーズンが迫ってきた今日この頃。
お酒を楽しむ人も多い時期でもありますね。
笑い上戸に泣き上戸…、アルコールを飲むと性格が変わってしまうなんて人もいるのではないでしょうか?
実はアルコールによって変化が起こるのは人間に限った話ではありません。
実はレタスもアルコールを摂取することで、特別な変化が起こるのです。
今回は理化学研究所の関原明氏らが行った植物とアルコールの関係についての実験です。
レタスにアルコールを与えると高温に強くなる!
参考)Ethanol induces heat tolerance in plants by stimulating unfolded protein response(2022年6月)
熱によるストレスは、農作物の収穫減のリスクを増大させます。
研究チームは、条件の悪い環境でも柔軟に対応できる植物を育てるためにある実験をしました。
実験は、シロイヌナズナに低濃度のアルコールを与えるというものです。
その結果、植物の成長を阻害することなく暑さに強くなることが明らかになりました。
また、高温下の条件で栽培したレタスにも同じようにアルコール処理を施しました。
方法は、アルコール水溶液が入った容器に3日間というものです。
高温下でのレタス葉は、成長が良くないなどの問題が生じやすいですが、低濃度のアルコールを与えることで、葉の成長が改善されることが実証されました。
実験では50℃という高温化でも植物の生存率が上昇したことが明らかになっています。
プトレンシンの増加によって葉の成長が改善
通常、高温や乾燥、病気などのストレスにさらされると、タンパク質の形成に異常が生じてしまいます。
しかし、このタンパク質の異常形成に対して、展開タンパク質応答 Unfolded Protein Response(UPR)という機能が働き、成長を改善してくれます。
このUPRを活性化させることで、熱などのストレスに強くすることができます。
UPR活性のひとつとして、シグナル伝達に必要なポリアミンを増やすことが挙げられます。
※ポリアミン→アミノ基(–NH2)が2つ以上結合した脂肪族炭化水素化合物の総称
実験解析の結果、取り込んだエタノールは、有機酸、核酸、アミン、およびその他の分子に代謝され、続いてプトレシン含有量が増加することが分かりました。
※プトレンシン→ポリアミンの一種
これにより、プトレンシンの増加によって、UPRシグナル伝達が促進され、高温に対して耐性ができたことが分かりました。
この研究は、シロイヌナズナやレタス以外にも応用できるとされており、これまで高い温度に対応できなかった植物を育てることができる可能性を示しています。
もしかしたら、秋や冬に収穫できる野菜や果物、花などが、春や夏に新鮮な状態で手に入ることができるかもしれませんね!