前回の記事「4-ヒドロキシノネナールについて」の中に、「HSP(ヒートショックプロテイン)」という言葉が出てきました。
タイトルでは「HSPs」と複数形を表す“s”が付いていますが、HSP自体に種類がいくつかあります。(HSP10、HSP70、HSP90など…)
それらは互いに関係し合って機能している部分が多いため、まとめて“s”を付けて話していきます。
記事を書いた当初は、「あぁ、HSPsってものがあるんだなぁ」と思っている程度でしたが、気になって調べたところ面白いことを学んだので、まとめていきたいと思います。
ヒートショックプロテイン (HSPs) は、熱や虚血、化学物質などのストレスにさらされた際に発現(が上昇)するタンパク質です。
具体的に言うと、入浴や運動による体温の上昇やファスティング(断食)による飢餓状態などがあります。
変性して弛んだタンパク質や、機能不全の新生タンパク質などを引き締め、体内で機能させる役割があります。
修復不可能と判断した場合は、細胞死(アポトーシス)させます。
HSPsがヒドロキシノネナールなどによって機能不全に陥ると、不良品のタンパク質が細胞内に蓄積し、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因になると考えられています。
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動画なども探してみると、世界一受けたい授業にて既に取り上げられていました。
(TVの編集バイアスがあることも考え、参考になる部分だけ参考にする感じで…。)
動画内ではHSPsを手軽に発現させるために、42℃のお湯を使って洗顔をしていました。
顔の温度が上昇しHSPsが発現、コラーゲン(タンパク質)を修復し、肌にハリを与えている様子が収められています。
正確には40℃~42℃の間であれば、HSPsの発現は可能と言われています。
43℃以上ではいけない理由は簡単で、単純に細胞が温度に耐えることができないからです。
42℃という細胞が死んでしまうギリギリのストレス下にさらすことで、HSPsを発現させているんですね。
(ちなみに、癌の治療に使われる温熱療法の原理をこれを応用したものです。
癌の放熱機能不全をついて、癌細胞だけを43℃以上の温度で死滅させようという狙いがあります。)
例として、参考文献にある「ヒートショックプロテイン(HSP70)の魅力」の著者である「伊藤要子」医学博士の入浴法を紹介しておきます。
・体温の上昇
・激しすぎない運動
・ファスティング(飢餓状態)
など特定のストレス条件下で発現するHSPs。
やるにあたっての注意点があります。
それは…「やりすぎないこと」です。
やりすぎるとタンパク質が修復されることに慣れてしまい、徐々に効果が薄れていく可能性があるとのこと。
週に2~3回程度が細胞に耐性をつけにくい効果的な回数と言われています。
細胞の機能って調べるほど面白いですね!
身体の機能が如何に良くできているのかを、知ることができて驚いています。
そして知るたびに次に知りたいことも出てくる。
次の課題は「スルフォラファン」です。
ブロッコリーに微量に含まれる物質だそうで、HSPsとともに記憶欠損に関係がある旨も気になります。
参考)
Heat Shock Proteins in Alzheimer’s Disease: Role and Targeting 2018
ヒートショックプロテイン(HSP70)の魅力 2014(PDF)
Hsp70シャペロンの分子メカニズム 2002(理解不十分につき継続考察)
その他付随論文