コロナの脅威が治まった今、リモートワークだった仕事が少しずつオフィスに戻るよう求める企業が増えています。
かつてのように、通勤電車に乗って会社に向かう方もいると思います。
こういった通勤の仕方が、健康には深く関わっていることが最近の研究では分かってきました。
今回はそんなライフスタイルと健康に関する研究のお話です。
参考記事)
・Your Commute May Be Bad For You. Here's Why.(2023.5.8)
参考研究)
・Home and workplace – do their locations matter for health behaviours?
2022年後半にストックホルム大学で行われた研究では、長時間の通勤が、身体活動の低下、太りすぎ、睡眠障害と関連していることが分かりました。
2012年から2018年の間に取得されたスウェーデンの健康調査からデータを取得し、16歳から64歳までの約13,000人の参加者を分析しました。
分析では、参加者のライフスタイル(運動の頻度、飲酒、喫煙の有無、体重など)の回答をもとに、職業、仕事についてどの程度ストレスを感じているかなど、様々なトピックについて調べました。
また、参加者の自宅から職場までの距離と地域の社会経済状況を調べ、これらの要因が生活習慣にどのように影響したかについても確認しました。
繰り返しの調査を使用し、二つの異なる時点での参加者の回答を比較することができました。
その結果、通勤距離が3kmを超えると運動不足や太り過ぎ、睡眠不足になる可能性が高くなることが分かりました。
これは、通勤距離が長いことによって、車や電車で座っている時間も多くなることが原因と考えられます。
週に40時間以上働き、通勤時間が5時間以上に達する人は、週に1時間から5時間しか通勤しない人に比べて、身体的な活動ではなく、睡眠障害を経験する可能性が高くなることが分かりました。
これは、運動する時間がほとんどないか、ストレスによって睡眠が困難になっていることが原因である可能性が挙げられます。
その他の分析では、職場がバーの近くにある場合などは、有害な飲酒習慣を持っている可能性が高いことも分かりました。
これらの結果は、年齢、慢性疾患の病歴、精神的健康状態、職業など影響があると考えられる様々な要因を考慮した上で分析されました。
これらの結果から、働く場所が健康に多くの影響を与える可能性があることが明らかになりましたが、理想的な通勤距離はオフィスの場所を特定することはできませんでした。
しかし、データから、通勤距離が3km以下の参加者は身体活動的である傾向が見られました。
これは距離によって、自転車や徒歩での通勤が容易になったためだったり、通勤時間が短くなったことで、参加者が仕事も前後に運動する時間が得られたためであると考えられます。
しかし、体重の増加、睡眠、飲酒習慣に関しては結果はそれほど明確ではありませんでした。
研究プロジェクトは人の職場と特定の健康習慣との関連性を明らかにしましたが、これらの関係を説明する全ての理由を解明した訳ではありません。
これらの間にどのような因果関係があるのかを調査することは、今後の研究にとって重要です。
ここまでを踏まえると、職場の場所がライフスタイルと健康にどれほど大きな影響を与えるかを浮き彫りにしています。
これらは次に転職や引越しを考えている時に心にとどめておくと良いかもしれません。
例えば、公共交通機関を利用できたり、自転車や徒歩で簡単に通勤できる場合、身体的に活動的になり、健康的な体重を維持しやすくなる可能性があります。
自宅と職場の両方でバーなどへのアクセスを制限することで、アルコールによる有害な影響を防止することも可能です。
自宅と職場の距離や通勤の仕方をコントロールすることは、健康を維持する大きな要因になる可能性を秘めています。
・通勤距離が長いほど、運動不足や睡眠不足の傾向が見られる
・通勤の時間や仕方をコントロールすることで、1日の中に身体活動をする時間を得ることができる
・通勤中の過ごし方を工夫すること、健康的に生活するきっかけになるかもしれない
以上、通勤と健康に関するまとめでした!
これから職場を探そうと考えている人は、自宅との距離が3km以内の職場を探したりしてみるのも良いかもしれませんね。
また、1日11分の早歩きが、死亡リスクを大幅に軽減してくれるという研究結果もあります。
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電車に乗っている時間が長い場合は、一駅分だけ歩いてみるのも効果的ですね。