コーヒーと紅茶は世界中で最も人気のある飲料です。
カフェインによる覚醒や副作用などもありますが、抗酸化作用やリラックス効果もあり、多くの人が毎日のように摂取しています。
コーヒーや紅茶を煮出した後、ポイと捨てる人もいれば、それを活用して消臭剤や掃除の道具として活用する人もいます。
最近では、加工してセメントに混ぜることで強度を高める研究も進んでいます。
そんな出涸らしですが、使い方によっては美味しいデザートの材料として使うことも可能になるそうです。
今回はそんな出涸らしの活用法についての研究を紹介します。
参考記事)
・Something Fascinating Happens When You Put Tea And Coffee Waste in Cakes(2023/09/27)
参考研究)
サウジアラビアのキング・ファイサル大学の研究によると、使用済みのコーヒーかすや茶葉をケーキなどの焼き菓子の材料にすると、栄養価が高まり賞味期限も延びる可能性があることが分かりました。
これは粉末に含まれる抗酸化作用が要因とされ、微生物の増殖を遅らせることなどによって雑菌などの活性を抑えるためと考えられています。
2020年の研究では、クッキーに使用済みのコーヒーかすを加え、栄養価を高める研究も行われました。
2023年の研究では、緑茶をカップケーキに加え、オーブンに入れても葉に含まれるフラボノイド(抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用が期待されている植物性化合物)が持続するかどうかを調べた研究も存在します。
今回研究では、これらの先行研究を基に、使用済みのお茶やコーヒーを煮沸し粉砕された後も抗酸化物質や作用を保持するかどうかを調査しました。
研究では、紅茶とアラビックコーヒーを沸騰した蒸留水に10分間浸したところ、乾燥した茶殻にはフラボノイドを含むフェノール化合物がかなりの割合で残っていることが分かりました。
例として、紅茶の粉は、テアフラビン・トリガレートと呼ばれるフェノールを73%も保持することが分かりました。
(テアフラビン=高コレステロール、肥満、心臓病の人に推奨される強力な抗酸化物質)
また、使用済みのコーヒーかすには、1-カフェオイルキナ酸と呼ばれる抗酸化物質が64%近く含まれていたことが分かりました。
オーブンなど熱した状態でもこれらの抗酸化物質は多く残ることも確認できました。
これらの出涸らしを使って作られたケーキは、フェノール、カルシウム、リン、カリウム、マグネシウムの濃度が高く、2週間の保存後、作成したケーキは通常のケーキよりも微生物の繁殖が少ないという結果が得られました。
コーヒーや紅茶を使用することで焼き菓子の保存性を向上させ、栄養素を添加することができることが示唆され、自然で持続可能な方法である点も評価されると考えられます。
今後、廃棄するはずのコーヒーや紅茶の残りかすの活用によって、より健康的でロスの少ない食品作りに期待が持たれます。
詳しい研究内容はThe ACS Publicationにて確認することができます。