現在、TikTokなどショート動画で話題となっているレモンコーヒー。
手軽に健康的な効果を得られる食べ合わせ(飲み合わせ)として注目を浴びています。
今回は、この2つの食材の組み合わせが、実際にどのような効果が期待できるかについです。
2023年4月25日付けでhealth.comに掲載された記事からまとめていきます。
参考記事)
・TikTok Is Praising Lemon Coffee for Weight Loss—Experts Caution Side Effects(2023.4.25)
参考研究)
・The effect of caffeine on energy balance(2016.11.8)
ティックトックは、セロリ、ジュースからアップルサイダービネガーの調合まで健康のトレンドが多く紹介されています。
ショート動画のインフルエンサーは、“体重の減少をはじめ、下痢や頭痛の緩和”などに効果があると謳っています。
実際にコーヒーにレモンを入れると、どのような効果が考えられるのでしょうか。
それぞれに、健康上の利点があることは確かですが、混ぜ合わせること原料の特効薬になるという証拠はありません。
コーヒーにはカフェインによる覚醒作用やポリフェノールによる抗酸化作用だけでなく、二型糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、パーキンソン病のリスク低下に関連していることがこれまでの研究で分かっています。
レモンはビタミンCとフラボノイドの優れた供給源であり、抗酸化作用やガンのリスク低下に関連しています。
では、これら二つの混ぜるとどのような健康効果が考えられるのでしょう。
「レモンコーヒーは体から有害な毒素や余分な水分を排出する」と主張されています。
確かにカフェインを飲むと尿の生成が促進される可能性がありますが、レモンとコーヒーを一緒に摂取することによって身体(肝臓など)が持つ自然な毒素排出システムが普段以上に機能するという証拠はありません。
レモンコーヒーが新陳代謝を促し、体重減少につながるという声に対しては、確かにコーヒーに含まれるカフェインには安静時の代謝の促進や安静時の消費カロリーを増加させるという研究結果が多く見られます。
また、一部の人は、カフェインを摂取することで食事の摂取量が減少することもあります。
コーヒーによる減量は、この食事の摂取量が大きな要因と考えられています。
一方、レモンとコーヒーを一緒に口にすることで、体重減少にどのように関係するのかは不明です。
レモンコーヒーの利点として、ビタミンC、マグネシウム、カルシウムおよび抗酸化物質の摂取によって、砂糖やお菓子など甘いものへの渇望を減らすことが主張されています。
特定の栄養素が不足すると体が砂糖を切望するのは事実ですが、レモンコーヒーを飲むことで砂糖の摂取量が減少するという証拠はありません。
体がいくつかの必須要素を不足している可能性がある場合に、迅速なエネルギー源を求めて里親あまり食べ物を必要とする場合があります。
より多くの栄養素を取り入れることは、渇望とエネルギーレベルに役立つかもしれませんが、コーヒーにレモンを追加することで、全体的な健康に大きな違いをもたらすことはないとされています。
頭痛の緩和策として、コーヒーを飲む人もいます。
これはカフェインに血管収縮作用があるためです。
血管を引き締めて頭への血流を減らし、痛みを和らげるといったプロセスが考えられていますが、逆にカフェインが頭痛や偏頭痛の引き金になる人もいます。
したがって、個人によってはコーヒーによって頭痛の改善を考えられますが、これはレモンとコーヒーを組み合わせたことによる効果ではありません。
また、下痢の症状の緩和を主張されていますが、これについても、カフェインと組み合わされた余分な酸味は消化に敏感な人には悪影響とされています。
レモンとコーヒーにはそれぞれ健康上の利点がありますが、2つを組み合わせることによって、代謝が早くなったり脂肪が溶けたりするわけではありません。
実際この新しい組み合わせは健康に負の影響を与える可能性があります。
減量のために何かを飲んだり食べたりすることは、摂食障害などより大きな健康問題につながる可能性があります。
食事の摂取量を制限し十分なカロリーと栄養素を摂取していないことは、健康的な習慣を構築していない可能性があるからです。
十分な知識があるまたは十分な管理の下での食事の制限は、健康に大きなメリットをもたらすかもしれませんが、単に減量目的やトレンドだからといって取り組むのは少し待った方がいいかもしれません。
レモンとコーヒーの組み合わせは、歯のエナメル質に強い影響があると指摘されています。
レモンの酸によってエナメル質が侵食され、コーヒーによって歯に色素が沈着してしまう可能性があります。
また、コーヒーとレモンは、空腹時に摂取すると胸焼けを伴う不快な灼熱感を引き起こす、食べ合わせでもあります。
また、カフェインとレモン汁をブレンドすることは、利尿剤の二重調合となり、水分補給ではなく脱水気味になることも指摘されています。
・TikTokでは、朝のコーヒーにレモンを追加して、下痢や頭痛の緩和、減量の手段として紹介されている
・コーヒーとレモンの両方に健康上の利点はあるが、この 2 つを組み合わせる研究は不足している
・専門家は、実際には健康に良いことよりも害を及ぼす可能性があることを懸念している
・2つ同時に組み合わせるより、それぞれで食べた方が健康的(少なくとも現時点では)
レモンコーヒーを飲んだこで体重が減ったという声があったりするのは事実ですが、それが実際にその組み合わせが原因かは分かっていません。
「レモンコーヒーを飲んで痩せるぞ!」と思うことで食生活が改善されたり、いつも飲むハイカロリーの飲み物がノンカロリーのレモンコーヒーに置き換わるなど、副次的な効果によって痩せることは考えられます。
なので、消費カロリーが摂取カロリーを上回れば必然的に痩せていくため、そういった生活改善のためのきっかけとしてはとても良いツールになると思います。
それまでの生活を何も変えず、ただレモンコーヒーを飲むだけで結果を出すというのは難しそうです。