時代は20世紀初頭。
精神科医を目指す主人公エドワード・ニューゲートの回想から始まります。
ーーー回想ーーー
彼が学んでいたと思われるオックスフォード大学での講義では、とある精神病の患者の反応を観察し、講義を聞いている生徒に分析させていました。
患者とみられる女性は「私は正常だ」と訴えますが、そんな言葉にはお構いなしに講義は進み、ついに彼女は自身の発作で倒れてしまいます。
最後には彼女が重度のヒステリーを患う患者であることが分かり、精神病が何たるかを知らしめる講義でした。
ーーー回想終わりーーー
回想が終わり、とある病院にたどり着くエドワード。
案内の男から“殺人の館”と揶揄され、ストーンハースト病院を訪ねます。
彼は病院長であるサイラス・ラムの下で、精神科医になるために学ぶべく病院の門を叩いたのです。
病院の患者は皆貴族などの良家出身。
中には自分を馬だと思い込んでいるような患者もいたりと、言わば身内を世間から隔離するための施設でした。
ラム院長の治療スタイルは、必要以上の薬は使わず患者のありのままを尊重することでした。
例えば先ほどの馬を信じている患者であれば、馬であることを信じそれが彼の幸せならばそれ以上を求めないという方針のもと治療を続けています。
回診の中で、イライザという女性に出会います。
イライザは夫と結婚したことによってヒステリーが悪化。
夫の耳を噛みちぎり、目をくり抜いたことからこの病院に入院させられました。
彼女の父親からは「治して帰らせろ」と命じられましたが、ラム院長は彼女を守るために入院を続けさせているとのこと…。
そんな彼女に惹かれたエドワードは紳士的に彼女に近づこうとします。
しかしイライザは、男性恐怖症からくるヒステリーを自覚していることから、彼を遠ざけようとします。
その日の夕食会にて事件は起こります。
宴もたけなわになってきた頃、ミッキー・フィンという人物が友情の証としてエドワードと酒を酌み交わそうとします。
ラム院長は「いい加減にしろ」とフィンの行動を静止しようとしますが、彼はお構いなしで酒を飲ませようとします。
また奇妙なことに、エドワードがフィンからもらった酒を飲むその時だけは、会場の皆は自分の食事も忘れ彼に注目しているのです。
エドワードが酒を飲む瞬間、イライザが机の下で彼の足を蹴り飛ばし、酒を飲むのを強引にやめさせます。
服を着替えに食堂を立ったエドワード。
それに同行したイライザがこう言います。
「すぐにここを出ていって。ここはあなたの居場所じゃない。」
部屋に戻りどうしたものかと考えていると、ドンドンという物音が何度も聞こえることに気が付きます。
物音を辿っていくと、地下に続く隠し通路を発見。
その先で見たものは、鉄格子に囚われた幾人もの人でした。
…というのがこの映画の冒頭になります。
一体この病院と院長は何者なのか…?
エドガー・アラン・ポーの推理小説"タール博士とフェザー教授の療法”を原題としているだけあり、端々に織り込まれるミステリー要素が頭を悩ませる面白い映画です。