お酒を飲むと異性が魅力的に見えるという“ビール・ゴーグル効果”。
“ビールを飲めば飲むほど性的な欲求に対する抑制力が低下する”という効果と言われることがあります。
「あなたが彼を選んだのは酔っていたからよ」なんてジョークにも使われるこの現象ですが、研究が進むにつれてこの効果の信憑性が疑われています。
今回はそんなアルコールと心理的な作用についての研究紹介です。
参考記事)
・Alcohol Doesn't Make People Seem More Attractive, Study Finds(2024/01/03)
参考研究)
・Beer Goggles or Liquid Courage? Alcohol, Attractiveness Perceptions, and Partner Selection Among Men(2024/01/03)
ピッツバーグ大学及びスタンフォード予防研究センターらの研究によると、アルコールを飲むことによって他人がより魅力的に見えることはないとしています。
しかし、魅力的だと思う人との接触するきっかけを与えることができることが報告されました。
研究では、男性の参加者36人を対象に、ある日はアルコールを別の日はノンアルコール(本人にはノンアルコールであることを知らせていない)を飲むという2通りの状態で、異性の魅力度を10段階で評価しました。
その結果、アルコールとノンアルコールで魅力度の評価に差異は見られませんでした。
その後、被験者に対し“実験後に会話をしたい異性”を4人選ぶよう求められました。
その分析によると、アルコールの影響下では魅力度が高い異性を選択する傾向が、素面の場合と比べて1.71倍高いことが分かりました。
心理学者のモリー・ボウドリング氏とマイケル・セイエット氏は、「ビール・ゴーグル効果に期待される効果の一つは、魅力的な異性と関わるチャンスを得られるかもしれないというだ」と、発表した論文に書いています。
著者らは、飲酒の社会的報酬が男性にとって十分に証明されているため、研究を1つの性別に制限したと指摘しています。
彼らは、これらの調査結果を基に、他の性別を対象として研究を行い、今回の成果の裏付けにしたいと考えています。
アルコールは身体の健康への影響は言うまでもなく、判断や意思決定の障害などの悪影響を及ぼす可能性があることは言うまでもありません。
しかし、アルコールを飲むことが他の人と交流する意欲を高めるという事実は、社会的にも大きな影響を与える可能性があります。
ボウドリング氏は、「飲酒によって得ることができるメリット認識することで利益を得ることができるかもしれない」と述べています。
ただし、「短期的には魅力的かもしれないが、長期的には有害である可能性がある」ということも付け加えているため、結局のところ、一時的なサポートとして考えることが良いでしょう。
この研究の詳細は、Journal of Studies on Alcohol and Drugsにて確認することができます。