皆様こんにちは。
MALISことマリ、大学院卒業したはずが卒業証書まだ受け取ってません。いつになったら届くんでしょうか?
私、本当に卒業したんでしょうか?
さて、そんな不安症なあなたにも優しいデジタル時代がやってきました。経産省がブロックチェーンを使って学位証明発行をオンラインで可能にするとのこと。
日経によると、
"経済産業省は仮想通貨などに使われる安全技術「ブロックチェーン」を活用し、大学の学位証明書をオンラインで発行できるようにする。いまは卒業生が転職先などに提出するために直接大学に赴いたり郵送で手に入れたりしている。安全性が高い技術を使って海外でも手に入れられるようにし、利便性を高める。"
文科省と連携して2019年度以降に実用化とのこと。
"安全技術「ブロックチェーン」"という言葉はちょっと引っ掛かりますが、取り組み自体は興味深いですね。(安全技術って事故防止用の技術とかを指すと思っていたのですが。。。)
私はアメリカに来てから受験準備を始めたため、学位証明書と成績を海外発送してもらう必要がありました。また、不正を防ぐために、成績は受験生を介さずに大学に直接送ってもらう必要がありました。幸いにも私の通っていた日本の大学は、オンライン申請だけで海外発送まで対応してくれて本当に助かったのを覚えています。
母校愛高まった。
とはいえ、行き当たりばったりの受験だったため本当にちゃんと届くのかドキドキもしていました。ブロックチェーン技術を使えばより即時性が高まり、真正性が担保されそうですよね。
しかし、今回のニュースは日経がソースになっていて、文科省、経産省からは特にリリースが打たれてない様子。信憑性もよくわからない、というわけで私、
"海外では米マサチューセッツ工科大(MIT)がブロックチェーンを使って修了証書を授与するなどの取り組みを進めており、経産省はこうした動きも参考にしながら実用化を急ぐ。"
という部分から元ネタのMITの取り組みを調べてみました。
おそらく世界で最初にブロックチェーンを用いた学位証明書を発行したMIT。
ただ、一つ疑問が残るのは、すでにe-diploma(電子学位証明書)制度が世の中には存在している中、なぜブロックチェーンなのか?という点です。
例えば、私の卒業したアメリカの大学も電子学位証明書の発行が可能になっており、CeCredentialTrustというサービスを使っています。って、この記事のために調べて初めて知ったけど。
すでにこんな便利なサービスができているのに、ブロックチェーンを使う必然性はあるのでしょうか?
MITニュースのインタビューに"答え"がありました。
“From the beginning, one of our primary motivations has been to empower students to be the curators of their own credentials,” ... “This pilot makes it possible for them to have ownership of their records and be able to share them in a secure way, with whomever they choose.”
意訳:"当初より大きなモチベーションの1つは、学生自らが学位証明の管理者になるようにすることでした。(略)このパイロットプロジェクトは、学生たちが自分の資格情報の所有権を持ち、自分が選んだ相手に安全な方法で共有することを可能にします。"
、、、なんともブロックチェーン時代な思想。
たとえMITという組織が消えようとも学位証明は学生の手元に残る、という非中央集権な思想の下で実際のシステムも設計されているそうで、さすがはMIT、って言葉しか出てきません私。
ということで、日本の経産省×文科省の取り組みも同様の思想で動いてくれたら面白いだろうなぁと期待しています。
また、ここからは完全に私の願望ですが、これを機に他の部分でも日本の大学のIT化が進むことを大いに期待したいです。
日本の大学のIT化は、他の先進国に比べると十分ではないとの報告がされています。ブロックチェーン以前の問題です。
中でも特に遅れているのは大学講義自体のオンライン化ではないでしょうか。
日本では、大学に受かると基本的に大学の近くに引っ越すことになりますが、親に一人暮らしを反対されたり、生活費の不安から遠くの大学に行くのを断念せざるを得ない方もいるのでは?また、大学院にいきたくても会社を辞めないとなかなかトライできないしハードルが高いですよね。
海外では、ハーバード大学等の名だたる大学の単位がオンラインのみで取得できるコースがあります。(もちろん厳しい受験あり)
以前紹介したedXでもマイクロクレジットコースと呼ばれる大学の単位取得が可能なコースがあります、オンライン・オフラインを組み合わせたハイブリッド型のコースもあります。大学は全世界から生徒数を増やせるし、生徒は引っ越し代や住居費を浮かせられるし、Win-Winですよね。
日本ではグロービスやSBIが柔軟なカリキュラムを提供していますが、いわゆる伝統あるトップ校はまだまだの状況です。
今回は学位証明からのスタートとなりますが、省庁横断的な取り組みが進み、日本の高等教育のデジタル化が進んでいけばいいなと思います。
と、最後は少し脱線しましたが、ブロックチェーンの未来を考えても教育分野への投資は避けては通れないと思うんですよね。。。
今回の取り組みが直接的な利便性だけでなく、大学のデジタル化を加速させるきっかけとなり、利用する学生に対するよい刺激になり、技術者にとっては実用化の場となり、次につながっていくことを期待しています。
MALIS
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