10歳ある日
1人で上野に行ったら
歩行者天国が行われていた。
当時の歩行者天国は
車道に車が入れなくなり
歩行者専用道路になるだけだった。
今みたいに
特にイベントなんて行われず
ただ人が自由に車道を歩けるのみ。
この歩行者天国が行われる道路は
中央通りと言う場所。
この中央通りの歩行者天国を
永遠に歩いて行くと
銀座まで行く事が出来た。
俺は
この遥か彼方まで続く歩行者天国を
しばらく歩いていく事にした。
((o(*´∀`*)o))わくわく♪
この時の俺は
歩行者天国なんて生まれて初めてで
まるで遊園地の歩道みたいな感じがし
まるで自由に何でもできる無法地帯に見えた。
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俺は
上野に自転車で来ていたけど
歩行者天国は
自転車の通行も禁止だった。
この歩行者天国は
ちょうど寿楽のある所から始まっていたので
寿楽の歩道脇に自転屋を止めて行く事にした。
そして
一直線に伸びた中央通りの遥か先を見たら
秋葉原に走っている国鉄の橋が
上野の寿楽からも見えた。
このとき俺は
大きな勘違いをしていた。
その勘違いとは
「国鉄の橋が目視できるんだから
あそこまでそんなに遠くないだろう」
そう思ってしまう。
そして俺は
秋葉原にある国鉄の橋に向かって歩いて行った。
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しばらく歩いていると途中に
似顔絵をその場で描かいてくれる人がいた。
でも
その似顔絵を描く人は
明らかに格好が異常だった。
髪がボサボサで
どっからどう見ても乞食そのものだ。
しかも
そんな人が10人位いて
その場だけ雰囲気が異常だった。
でもサンプルの絵を見ると
絵の上手さが明らかに異常なほど上手い。
俺は
こんな神めいた上手い絵が描けるのに
なんで儲ける事が出来ないのか
不思議で仕方なかった。
この時の俺は
「絵が上手ければ自然にお金が入ってくる」
そう思っていた。
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この頃の俺は
経済の事が全く解らず
儲かる仕組みなんて知らない。
しかもその絵描き達は
あえて今の生き方を選んでいる人だなんて
全く知る由もなかった。
俺は
その怪しい場所を不思議に感じながら
誰にも話しかけず通り過ぎていった。
そしてまた
秋葉原の国鉄の橋を目指し歩いて行く。
しかし
歩いても歩いても全然近づいてこない。
上野から秋葉原までは
当時の俺にとって物凄く遠い距離だった。
俺は
目視できる場所に国鉄の橋があるのに
全然近づけない事に対し唖然としてしまう。
( ゚Д゚)アゼン
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俺は
松坂屋あたりを過ぎた時
秋葉原の国鉄の橋に到着する目標に対し
心が折れてしまった。
\( *ω*)┓ウワァア
「だって想像以上に遠いんだもん(;д;)グスン」
そう自分の気持ちに言い聞かせ
名誉の撤退をする事にした!
そして俺は
中央通りから松坂屋方面を見たら
高速道路があるのが見えた。
このとき俺は
「国鉄の橋に行けなかったけど
あの橋に行く事なら出来るかもしれない」
そう感じて向かってみる事にした。
しかし
実際に歩いてみると意外に遠い。
でも
また諦めるのが何か嫌で
気持ちが折れそうになりながら
あの橋に向かって歩いて行った。
そしたらなんと!
とうとう高速1号線にたどり着く事が出来た!
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俺は
自分て立てた目標を達成できて
感無量になった。
ワァ─o(´・∀・`)o─ィ♪
そして
その場所を見渡してみたら
な~んにもない!
ただ車が走っているだけで
お店も何もなく
オフィスビルだけが立ち並んでいる。
でも右方向を見たら
凄く目立つオフィスビルを発見した。
(:″*゜;)おや?
そのオフィスビルは
全身紫色に染まっていて俺は
「どう考えても社会不適合ビルだ!」
そう感じてしまう。
しかし凄く興味が湧き
フラフラその建物に向かって行ってしまう。
距離も近く
その全身紫の建物にすぐに到着した。
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俺は
この完全に反社会的な全身紫ビルに到着し
店の中に入って見た。
そうして
ここの案内板を見たら
おもちゃも売ってる雑貨だった!
(ノ≧∀)ノわぁ~い♪
俺は
この何もない所で
オモチャを売っている店があるなんて
感動してしまった!
そして
店内を探索しておもちゃ売り場を探した。
しばらくおもちゃ屋を探して
やっとの思いでおもちゃ売り場を発見した!
ワーイ♪ヽ(*゚ェ゚*)ノ
そこには
ガンプラやファミコンのカセットが売っている。
しかも
結構大きなスペースを使っていたので
かなりたくさんおもちゃが売っていた!
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このおもちゃ屋を回ってみると
凄く大きなスペースを使っているのに
種類が少ない事に気が付いた。
販売している物は
ガンプラや鉄道模型やファミコンソフト等
人気のある物だけ大量に置いてある。
普通は
得体のしれない不思議な物もあるのだけど
そんなもの全然なかった。
この光景を見て俺は
「売れる物だけを何でも売る店なんだ~」
そう感じてしまった。
ほほぅ(*゚д゚))
そして
しばらくおもちゃ屋と回っていると
レジの方で店員が何かを叫んでいる。
俺は
おもむろにそのレジに向かってみた。
( ゚Д゚)ナニカナ?
そしたら店員が
「今からファミコンソフトの
ポートピア連続殺人事件を販売します!」
そう言っている!
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このポートピア連続殺人事件は
この頃のファミコンソフトの中でも
人気No1のソフトだった。
しかも
どのお店に行っても
すぐ売り切れて買う事が出来ないもの。
俺は
このソフトがいきなりゲリラ販売をするなんて
正直信じられなかった。
工工工エエェェ(*゚д゚*)ェェエエ工工工
でも
この大人気ソフトが今なら手に入ると思い
財布の中に入っているお金を確かめた!
そうしたら
全財産5000円入っていて買える金額だった!
ヤタ───ヽ(・∀・)ノ───!!
俺は
迷う事無くレジに並び買う事にした!
並ぶと順番が10人目位に並べて
後ろを見るとウジャウジャ人が集まってきた。
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そしてあっという間に
このフロアーに入りきらない位
どこからともなく人が来る!
( ゚Д゚( ゚Д゚( ゚Д゚( ゚Д゚)ウジャウジャ
この光景を見て俺は
「まるでゴキブリホイホイに向かってくる
ゴキブリみたいだな」
そう思ってしまった。
どうやら他人の話を盗見聞きして
販売する情報が
外まで飛び交っているらしい。
(❁´ω`❁) ✧٩(ˊωˋ*)و✧ワイワイ
そして
ソフトの販売が開始され俺は
余裕で手に入れる事が出来た!
買った後わざとカバンにしまわず
袋からソフトの箱を出して見せびらかしながら
出口に向かって行った。
(*`∀´*)ケケケッ
俺は
今日こんな感動的な事があるなんて
全く思っていなかった。
そして俺は
この全身紫のお店「多慶屋」を
今後一生忘れる事がないだろう。