3歳の、とある1月の土曜日
弟が生まれて親戚一同、お祖母ちゃんの家にお祝いに来てくれた。
この時、お寿司や、お酒のおつまみや、お赤飯が出ていた。
でも俺は、この時全部初めての物ばかりで、食べるのに戸惑っていた。
俺は、誰かの膝の上に乗り、何でも良いから食べさせてもらいたかった。
でも、みんな弟を交代で抱っこしていて、誰もかまってくれない。
なんだか寂しくなって、お祖母ちゃんの膝の上に強引に座ってしまった。
そして「何か食べたい!」と頼み、マグロの握りを食べさせてもらった。
俺は、そのマグロの握りを思いきって、1口で口に入れてしまう。
その味は、もの凄く美味しく感じた。
特に酢飯が、感動するほど美味しかった。
しかし次の瞬間、気を失う程の辛さを感じ、大声で「辛い!」と叫んだ。
わさびが入っていたのだ。
俺は、思わず全部一気に飲み込んでしまった。
でも、その辛さは全然なくならない。
水を飲ませてもらったけど、更に辛くなり、あまりの辛さで意識が遠のく。
それを見ていた親戚のおばちゃんが、急いで牛乳を持って来てくれた。
その牛乳を飲むと、一気に辛さが引いてくれて、正気が戻ってきた。
あの時の辛さは、マジで死ぬかと思った。
しばらくして、辛さが完全に引いた俺は、また何かを食べたくなってきた。
今度は、わさびが無いのが良いと、強くお願いした。
そして食べたのが、かんぴょう巻き。
これは、わさびが入ってなく、甘くて凄く美味しい。
俺は、このかんぴょう巻きが猛烈に好きになってしまった。
この時、かんぴょう巻きだけを、とにかく食べまくってしまった。
もう美味しくて手が止まらない。
そして、おなか一杯になり、ご満悦になった。
その後、みんな弟ばかりかまっていて、全然相手をしてくれない。
俺は、また寂しくなって、テレビを見る事にした。
見た番組は、昔の実写映画の「雪の女王」
外国の映画だったが、日本語の吹き替えがされていた。
しばらく見ていると、だんだん内容が怖くなってくる。
特に後半の、雪の女王が正体を現した時、猛烈に怖かった。
でも俺は、そのまま泣かずに頑張って雪の女王を見続けた。
しかし、とうとう怖さに耐えられなくて泣き出してしまう。
そしたら母親が「番組変えればいいじゃん」と言って、変えてくれた。
見た番組は、雪の女王が凄く怖すぎて忘れられず、全く覚えてない。
俺は、そのまま泣き疲れて寝てしまった。
この後、家のざわめきで目が覚めてしまった。
夜1時を過ぎた頃、親族一同べろべろに酔っぱらっていた。
親族の子達もいたけど、みんな眠っていた。
この日は、お祖母ちゃんの家に、全員泊まっていくらしい。
今日は土曜日で、明日休みだから気が済むまで騒げた。
我々親族は、全員集まると13人になる。
当時のおばちゃんの家は大きく、全員泊まっていける広さがあった。
布団も、きちんと13人分揃っている。
俺が目を覚めた時、大きな広間に布団を敷き詰め、寝る準備をしていた。
俺は、このざわめきで、すっかり目が覚めてしまった。
お祖母ちゃんにもう全然眠たくないと伝えたら、散歩に行こうと言う。
でも外に出てみると、雪が降り始めていた。
その状況を見て、寒いから散歩は、やめようと言う事になった。
でも俺は、散歩に行きたいと駄々をこねてしまう。
そうたら明日、雪だるまが作れると言うので、楽しみになり寝る事にした。
そして家に戻り、お祖母ちゃんと一緒に布団に入ったが、全然寝れない。
その事をお祖母ちゃんに伝えたら、親戚の子達に内緒で、バナナをくれた。
俺は、そのバナナを1本食べたらお腹いっぱいになり、すぐに眠くなった。
おかげでこの日は、再度寝る事が出来た。
翌日。
朝目覚めたら、みんなまだ寝ている。
でも親戚の子達は、2人起きていた。
俺は、雪だるまを作れることが楽しみで、外に出てみた。
そうしたら、予想通り、雪が足首くらいまで積もっている。
俺が外に出たら、起きてた2人の子達も外に出てきた。
そして我々は、早速雪だるまを作る始めた。
俺は、とにかく大きな雪だるまを作りたくて、必死に雪を転がした。
でも、雪を転がして大きくしていくと、重たくて転がらない。
仕方ないので、納得いく大きさじゃないけど、転がせる限界ので諦めた。
親戚の子達は、3歳年上の子達だったので、俺より大きな雪玉を作った。
うらやましく思ったが、俺ではこれ以上大きくできず、諦めた。
そして上部は、自分で持ち上げられる限界の大きさまで雪を丸めて乗せた。
完成した雪だるまに、土で目と鼻を付けて、落ちてた木の枝で手を付けた。
完成した雪だるまは、なかなか満足いく出来栄えだ。
親戚の子達は、さらに大きな雪だるまを作っていた。
でも、もう大きな雪だるまは、諦めていたのでうらやましくない。
俺は、自分で作った雪だるまが、超芸術的に見えた。
そして、ご満悦になり、しばらく眺めてしまった。
この後、親戚の子達と、雪合戦みたいな雪の掛け合いをして遊んだ。
そして、飽きたら家に入り、みんなでアニメを見ていた。
そうしていると、大人達もみんな起き始めて、慌ただしくなる。
やっと朝ごはんの時間だ。
俺は、お腹が空いていたので、ごはんが楽しみだった。
でも朝ご飯をみたら、全部昨日の夜の残りが出揃っている。
わさび付きの、お寿司まで出てる。
かといって、卵握りや、かんぴょう巻きは、全部みんなで食べて無い。
残りは、みそ汁と、漬物と、わさび付き握りのみ。
大ピンチだ。
でも、なんと!お祖母ちゃんがワサビだけ取っくれた。
おかげで、なんとか残りのお寿司を食べる事が出来た。
もし、わさびが付いていたら、朝食を食べられない所だった。
朝食が済んだら、みんな帰宅準備を始めた。
そして我々は、今年2度目のお正月を満喫し、疲れきって帰っていった。
帰りの電車の中、俺は弟を抱っこさせて貰った。
やっぱり体全体が、ゴムみたいに柔らかくて、すぐに壊れそうで怖い。