「富岳」とは、凄いPCと思っていますか?
「Windows」や「Mac」の様な一般家庭にあるPCとは、次元が違います。
「富岳」は、世界一に選ばれた最強のスーパーコンピューターなのです。
「スーパーコンピューター富岳」は、日本の富士通が開発しました。
この「富岳」は、新型コロナウィルスの特効薬開発にも使われています。
では、この「富岳」ってどれ位の能力があるのでしょう。
「富岳」の頭脳の部分は「CPU」と言います。
この「CPU」は、1個の「CPU」で48種類の計算が同時にできます。
更に、アプリを動かす為の「CPU」が4個別についています。
そうなると1個の「CPU」で、52個同時に計算できる事になります。
「富岳」は、この1個当たり52個の計算できる「CPU」が沢山あります。
その数なんと「158,976個」
この数の「CPU」で、一瞬に神の領域の計算をしてしまいます。
でも「富岳」の凄い性能は、こんな物では無いのです。
「富岳の」LINPACK性能は「415.53PFLOPS(ペタフロップス)」
これはどういう事かというと、1秒間に何回計算できるか表した数字です。
この単位には「キロ」「メガ」「ギガ」「テラ」「ペタ」とあります。
「富岳」の性能は、この単位の中の「ペタ」に当たります。
この「ペタ」は、10の15乗「1,000,000,000,000,000」を表します。
つまり「富岳」は「1秒間に約4,200,000,000,000,000回」計算できます。
我々の脳みそとは、比べ物にならない位天才ですね。
「富岳」の凄いところは、まだあります。
「富岳」が記憶できる容量のメモリーは「4.85 ペタ」あります。
人の脳みその容量は「1125兆バイト」と言われています。
「富岳」のメモリーを「バイト」の単位に直すと「4850兆バイト」
もう、人間の脳を超えちゃってますね。
つまり、昨日の晩御飯も度忘れする我々よりは、頭が良いという事です。
では、こんなに凄いコンピュータって何に使うのでしょう?
「富岳」の使用用途は、普通のPCと次元が違う計算をします。
地球上全ての大気や、天候状態の情報を元に、気象予報をします。
この世の全ての物質の情報と、人を作る構造をを元に、製薬開発をします。
過去から今までの地球全土の地質情報を元に、地震や津波の予測をします。
最近では、ウィルスの飛沫シミュレーションもしています。
この様に人間では、何億年かかっても答が出ない計算を一瞬でします。
では「富岳」は、いったいどの分野で世界1になったのでしょう。
「富岳」が世界1になった分野は、4つの分野です。
1、「TOP 500」単純な計算速度を競うもの。
2、「HPCG」商用利用の時、使用するソフトの性能。
3、「HPL-AI」人工知能開発に使用される性能
4、「Graph 500」膨大なデーターを元に1番良い答えを出す能力。
「富岳」は、この4部門で世界1になりました。
そして4部門同時に世界1になったのは「富岳」が初めてらしい。
なら「富岳」は、前世代の「京」とどれくらい性能差があるのでしょう。
前の「京」は、1秒間に1京回の計算をするので「京」という名前でした。
そして「富岳」は、1秒間に41京回の計算を行いました。
でも「富岳」これでも100%の性能を発揮していません。
全体平均では「京」の41倍とされています。
でも「製薬開発」は「京」の125倍、「地球環境予測」は「京」の120倍。
これほどの性能を発揮している。
他の計算も、理論上「京」の100以上の計算が出来る事になっている。
この「富岳」実は、他のスーパーコンピューターとは構造が違っています。
「富岳」は「A64FX」という「CPU」だけで構成されている。
でも最近のスーパーコンピューターは、「GPU」という物を使う。
この「GPU」は「CPU」と違う計算の仕方をします。
その為「GPU」の方が計算速度を簡単に上げられて、性能が上がる。
でも「富岳」は「CPU」を使っている。
その訳は「GPU」を使うと汎用性が失われるから。
「CPU」は、全てに対応できるので「GPU」は使わなかった。
その上で「富岳」は、世界1になったのです。
でも「富岳」は、もしかしたら3日天下かもしれない。
最近アメリカと中国は「富岳」を超えるコンピューターを作り始めた。
それは、エククサスケールのスーパーコンピューター。
エクサスケールのエクサとは、ペタの次の単位。
でも「富岳」は、ペタスケールの計算までしかできない。
つまり米と中国は「富岳」より1桁上のコンピュータを作り始めた。
しかし「富岳」は、理論上エクサスケールまで計算できる。
でも予算の関係上それは、無理っぽいぞというのが専門家の予想だ。
そして来年には、米がエクサコンピューターを出してくる。
2021年米は、1,5エクサフロップスのコンピュータを運用開始する。
1,5エクサフロップスとは、1秒で150京回計算できるという事になる。
つまり、どうあがいても「富岳」では理論上勝てない。
更に米は、2023年「EL Capitan」という2エクサスパコンを運用開始する。
2エクサとは「1秒に200京回の計算」をする。
でもこのスパコンは「GPU」を使用している。
つまり「富岳」より汎用性が低いという事になる。
もうなりふり構わず、世界1を狙ってきている。
やはり「1番以外は全て負け」なのです。
でも朗報もあります。
この「富岳」は、一般でも安値で8月下旬から使えるようになる。
それは「富岳」の簡易版になるが、本物の「富岳」で動くか検証できる。
名前は「PRIMEHPC FX1000」
中身は「富岳」と同じ「A64FX CPU」を搭載したコンピューター。
利用料金は、1時間で「300円」
しかし2021年度までには、1時間「100円」にする方針。
この値段で「富岳」の性能を使えるのは、凄く良い事です。
実は、この裏に重要な戦略があります。
「富岳」を貸し出す事にした理由は、「富岳」を身近に感じてもらう為。
これは、神戸の商工会議所が行っている戦略の1つ。
富岳をもっと手軽に感じてもらい、たくさん利用し地元を活性化する試み。
その為に「富岳」のアプリ開発や、運用方法を学べる勉強会などもある。
世界1の「富岳」が、こんなにも安値で使用できるのはロマンがあります。
是非、この「富岳」でゲームを試してみたい気がします。
個人的に「富岳」は、凄く不安定なコンピューターだと思います。
どう考えても「158,976個」のCPUを同調させるなんて無理があります。
でも、その中でもきちんと同調させようとするOSは、素晴らしいです。
OSは「Red Hat Enterprise Linux 8」というのを使っているようです。
Linaxベースで出来た、完全専用OS。
このOSで、どうやって「158,976個」のCPUを同調させてるのでしょう?
中身のコードを見て見たいものです。
しかも言語は「C++14 & C++17サブセット & GNU拡張仕様」ですからね。
正直驚異的です。