7歳の時。
いつも、ベランダに御座を敷いて、おもちゃで遊んでいた。
そのおもちゃは「ジャンボマシンダー」という物だった。
これは、ロボットアニメに出てくるロボットのおもちゃ。
全長が、50㎝位あり結構大きかった。
俺は、このロボットをを2つ持っていて、戦わせて遊んでいた。
ロボットの名前は「ライディーン」と「グレンダイザー」
この「ジャンボマシンダー」は、肩が前後しか稼働しなかった。
当時のおもちゃは作りが単純で、形も良くなかった。
でも当時の俺にはそんな事は解らず、この玩具がカッコ良かった。
俺は、想像を大きく膨らませ、この2体のおもちゃで遊んでいた。
もう、現実が解らない程、想像の世界にどっぷり入っていた。
俺がベランダで遊んでいると、太鼓の音がしてきた。
その太鼓の音の方を見ると、移動式の駄菓子屋が来ていた。
その駄菓子屋は、バイクに、リヤカーを付けた駄菓子屋だった。
バイクの形が独特だったから駄菓子屋のおじさんに名前を聞いてみた。
そうしたら、このバイクの名前は「刀」だと言っていた。
その「刀改SP」に大きな屋台を乗せて、駄菓子満載で来ている。
当時この駄菓子屋は、よく来ていた。
その駄菓子屋が来ると、家のベランダから見える。
俺は、この駄菓子屋が来ると母親から100円貰い、駄菓子を買いに行った。
駄菓子を食べられる事に嬉しくて、猛ダッシュで走って行った。
この駄菓子屋は、駄菓子屋で売っている物ほぼ全部網羅している。
食べ物もある、おもちゃもある、メンコやビー玉まであった。
俺は、この駄菓子屋で必ず買う物があった。
それは「きなこ棒」。
これは、あずきの団子に、きなこ粉をまぶした物。
たまに、この中に紙が丸まった物が入っていて、それがくじになっていた。
この紙が出ると、きなこ棒がもう1本貰える。
俺は、必ず最初にこれを1個買っていた。
でも、1回しか当たった事が無かった。
これ以外にも、水飴や、スモモ酢や、梅ジャム、なども買いまくった。
駄菓子屋で、100円分お菓子を買うと結構お腹いっぱいになる。
当時の駄菓子屋のお菓子は、5円とか10円で、かなりの量が買えた。
この駄菓子屋が来ると、近所の知らない子供たちが集まる。
俺は、駄菓子をたらふく食べた後ここにいる知らない子たちと遊んでいた。
ここでは、メンコや、ベーゴマ遊びで夢中になれた。
この遊びが下手な俺は、ここにいる上級生にテクニックを教わっていた。
でも、結局下手でいつも負けて泣いていた。
それを見ていた上級生は、いつも俺に負けて取られた分のメンコをくれた。
それは、手作りのメンコだった。
ある時、くれたメンコの中にずっしりとしたメンコがあった。
そのメンコをよく見てみると、アルミの板の上下にに薄い紙が貼ってある。
このメンコを使えば、絶対に取られない程の重さだった。
俺は、神器を手に入れた気分になり嬉しくなった。
早速このメンコで、勝負をしてみる。
そうしたら、思惑通り誰も俺のメンコを取れない。
それどころか、このメンコを使えばみんなのメンコを取りまくれる。
この調子で遊んでいたら、そのメンコずるいと言われてしまった。
それを聞いた駄菓子屋のおじさんが、俺のメンコを手に取ってみた。
そうしたら「このメンコヒロシから貰った物だろう」と言われた。
ヒロシは、ズルをする事に対して相当頭が良かった人らしい。
駄菓子屋のおじさんに、ヒロシのメンコは駄目と言われてしまった。
そして、このメンコを取り上げられてしまった。
この後、俺はまた、負けっぱなしの人生を送る事となった。