



20歳時に自動車スピード狂である友達の
葛西君と言う人がいて自分の車を改造し
高速道路を暇さえあれば走りに行ってて
凄く車に入れ込んでた
彼の愛車は「GTS-T typeM」と言う一見
GT-Rっぽいけど性能はGTRより低いけど
一応エンジンはGT-Rと同じRB-26と言う
潜在能力が高いレース用エンジンだった
本家GTRのRB-26は排気量が2,568ccで
葛西君のGTS-T typeMは1998ccと少し
性能を落としその分安値で高級なGTRが
手に入らない層向けのジェネリックGTR
でもいくら頑張って改造してもGTRには
絶対かなわいから無理やりGTRより良い
軽い車体の事を自慢し山道の峠では絶対
負けないと豪語してた
そんな葛西君とたまに首都高速に走りに
深夜に呼び出され付き合う事がよくあり
その日の夜は地元のジョナサンに集合し
ジュース飲みながら走るコースを決めた
葛西君の車はマフラーの取り付けが悪く
走行中少し揺れて中古車という事もあり
電気系統が車体の揺れで一瞬切れるから
もう根本的な部分から修理が必要な車
行く場所決めても毎回同じ道を周回して
最後はレインボーブリッジを走りその後
近所の高速道路から降りて帰宅しそんな
暇つぶしみたいな事がとても楽しかった
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葛西君はエンジンを全く改造して無くて
直線がとても長い湾岸高速で最高速度に
チャレンジするけど毎回180㎞しか出ず
特に速いと言う訳じゃなかった
しかしその180㎞まで加速が凄く一気に
アクセル踏むと背もたれに押し付けれる
強い加速Gがかかりこの車の潜在能力が
とても高い事を感じさせてくれた
でも葛西君は納得しない様でどうしても
GTRに近づけたいらしく「もっと改造し
絶対速い車を作る!」と言ってたが俺は
だったらGTR買った方が良い気がしてる
こんな安物の車でしかも中古だしいくら
背伸びしてもたかが知れてるのになんで
負け確定な事までしGTRをライバル視し
頑張るのかよく解らなかった
多分憧れの高級なGTRを購入できなくて
その悔しさでひがんでると感じてしまい
かといってGTRを買い改造にハマったら
湯水の様にお金をつぎ込む事になる
きっとそれでも改造に終わりは無いから
我を忘れてキチガイの様に改造していき
借金までして返せなくて破産し人生終了
してしまうんじゃないかと心配になった
この頃俺はバイクに乗ってたけど改造は
見た目のドレスアップしかやってなくて
終わりが見えないエンジンの改造は絶対
やらないと決めてた

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ある雨の日に今日雨天なので高速道路に
走りに行けず暇だしとりあえずいつもの
ファミレスに行き雑談して楽しい時間を
過ごそうという事になった
このファミレスは俺の家からだと徒歩で
30秒位の所にあり待ち合わせ場所として
とても近いしドリンクバーもあるし凄く
都合が良い待ち合わせ場所だった
ここで俺が待ってると葛西君が来てすぐ
車の雑誌を出し改造パーツの性能評価の
データーを見せてどのパーツを付けると
車が早くなるのか語り始める
この時の葛西君の目はギンギンに輝いて
鼻息荒くし雑誌に載ってる改造パーツを
付ければまるでF1カーより速くなる様な
凄い勢いで語り続け凄く楽しそうだった
でも俺は「まず電装系を直しマフラーの
揺れを無くしせめてリミッターを切る位
やった方が良い気が」と言うと葛西君は
とても渋い顔をした
その訳は電装系とマフラーは原因不明で
手上げ状態だから現状どうしょうもなく
かといって車屋に出すと大金がかかって
直らなかったら意味ないと言ってた
しかし俺は「今の状態で改造を進めると
絶対どこかで走ってる最中事故を起こし
大変な事になる」と強く説得し葛西君に
電装系とマフラーを直す事を優先させた












