「私のいとこが50セントの家を買ったの。めっちゃバカでやな奴だけど、今度遊びに行来たいって言っといたわ。」
アッパーイーストの父親の自宅の広すぎるキッチンでパスタをコネながらダニエラはいった。
Naottaは思った。50セントって1ドルの半額やんけ?
宝クジにでも当たったのかな?
「ハンプトンにあってまだ市場に出してないんだよね。」
ん?ハンプトンとはニューヨーク郊外にある超高級別荘地だ。
おもわずGoogle先生に頼るNaotta。
あ、50セントって有名ラッパーのあれか!ハンプトンの家、5億円ドルで売りに出してるってニュースある。ダニエラのいとこが買ったんだぁ。しかしこの家、買った時は20億円だったらしい。50セント、かなり大損ぶっこいだんじゃ?
てか、相変わらずスケールが違いすぎて面白い。
Naottaはダニエラの弟とクラスメートだった。彼女が旅行中に東京を案内し、銀座にあるお気に入りの焼き鳥屋鳥よしに連れて行った。私たちは最初からとても気があって自然と親友になった。そう、二人とも美味しいものが大好きだったのた。
ぽっちゃり体系でボサボサヘア、GパンとTシャツの彼女はあの時は全然お嬢に見えなかった。常にタクシー移動と親のクレジットカード以外は。
その後ダニエラの父親はモロッコ系ユダヤ人で不動産業を営んでいて、セントラルパーク周りにアパートも何軒か所有していると知ってNaottaは仰け反った。
まぁ華麗なる一族というよりは父親は偽装結婚によってグリーンカードを得てアメリカンドリームを体現した叩き上げである。初めは錠前屋とか色々やったらしい。
Naotta、最初はダニエラの話の金額の桁が違いすぎて、一般家庭出身の私は、??あれ?金額聞き取れてないんかな?と思ったり、格差を感じてどんよりとして気分になったこともあった。ニューヨークの洗礼の一つだ。
そんなダニエラはお料理が大好きで、お料理学校を卒業しシェフになった。今は独立して友人と一緒にフード関係のマーケティング会社を細々とやっている。
彼女曰くシェフの仕事は大変だそうだ。
「朝から晩までオイスターの殻を開けてたわ、新人の時はね。」
「有名な日本食レストランのHashimotoでも働いてたわ。Hashimotoってクレイジーなのよ。夜中にキッチンで共同経営者を包丁で追いかけて殺そうとしたのよ。本当に怖かったわ!」
「あのオーガニックレストランは偽物よ。ああいうことするのは許せないわ。」
いろいろニューヨークのレストラン業界の裏側も知っていた。
そんなダニエラは料理に対して深い愛を持っている。彼女のレシピはいつもセンスとこだわりが凄いのでNaottaは楽しい。
今日はグリーンマーケットに買い出しに行って、食用花とオーガニックセモリナ粉、鴨のベーコン、そして農家自家製のリコッタチーズとトリュフを使ってラビオリを作った。
もちろんパスタはセモリナ粉から手作りだ。餃子作りみたいで楽しい。(Naottaは小さい頃よく餃子を作るのを手伝っていた。中国人並みに早いぞ。)
ひとしきり仕事の終わったダニエラはマリファナを吸いに行く。
女子トークタイムの始まりだ。
ちなみにしつこいようだがNaottaはまだマリファナはやってない。(笑)
ダニエラには7年ぐらい同棲しているアレックスという彼氏がいる。学生ローンを証券化してウォール・ストリートに販売するフィンテックでマネージャーをしている。
アレックスはアリゾナ州の一般家庭出身。ダニエラとは家庭環境が全く違う。
彼女の目下の悩みは今後のビジネスの展開とアレックスとの結婚なのだがNaottaには一筋縄では行かなさそうな匂いがした。
次回に続く
この話はフィクションです。
初めてストーリーを書いてみました。感想いただけたら嬉しいです!