山風『忍法八犬伝』のコミカライズだが原作は未読。
時は慶長、所は南総、里見家に伝わる伏姫の珠が女芸人の一座に盗まれるところから話は始まる。
代わりに残された珠の文字が〈狂戯乱盗惑淫弄悦〉、いかにも山風である。
取り戻しに向かった我らが八犬士も失敗し、責任を取り敢えなく自害、珠の奪還は倅たちに託され……ここから新世代八犬士の集結という胸熱な展開を期待するところ、角太郎(大角)と小文吾以外の六人は参戦拒否という見事なうっちゃり。
小文吾が命を賭して設えた〈里見と服部の珠取り合戦〉、お代は見てのお帰りであります。
敵方の伊賀忍くノ一は船虫に玉梓と本家ゆかりの名前が並ぶが、対する八犬士は毛野の甲賀忍法〈摩羅蝋燭(なんつー名前だ)〉に道雪の〈身獣変戯〉とケレン味たっぷり。
曲亭馬琴と山風のがっぷり四つだ。
しかし一巻の終わりで既に小文吾・毛野・道雪の三名が斃れ、犬士側はかなり分が悪い。