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分散型CMS HiÐΞ 利用を中断するきっかけとなった問題点と改善策

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  • Semapho
  • 2021/09/18 15:30

HiÐΞの機能性や経済の循環構造は最高だが、身内ノリと評価基準のズレが痛い

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 (2021年10月4日追記)

本稿公開後、HiÐΞではアップデートが実施されました。フォントなどの変更はありましたが、グローバルメニューはなぜかフッターの固定メニューになるなど、意図が不明なデザインになってしまいました。同一画面に「記事作成」ボタンが2つ表示されるなど、UI、UXに対してのモヤモヤは濃くなってしまったのが正直なところです。

この辺りの意見については私の個人ブログで述べておりますので、よろしければご覧ください(外部リンク)。

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HiÐΞを以前まで利用していましたが、現在はALISを中心にブログを投稿しています。HiÐΞは非常に優れた収益性があり、正直なところALISの数倍は稼ぐことができていました。また、ユーザーは非常に親切な人が多く、HiÐΞという場所を盛り上げるために献身的な姿勢が印象的です。

それでも、私がHiÐΞの利用を辞めたのはいくつか理由があります。本稿ではそれらを列挙し、一つ一つ解説していきます。また、その中で取り上げる問題が改善された場合には再びHiÐΞを利用したいとも考えていますが、現在の同サービスが私には合わないというだけで、楽しめる人もいるでしょう。

念の為述べておくと、HiÐΞは非常に素晴らしいサービスです。私はHiÐΞの理念に共感する部分が多く経済の循環構造は天才的だと感じており、現時点でHiÐΞの収益性を上回るブログサービスはないのではないかと考えます(特にフォロワー数が多くない一般の人間にとって)。

しかし、運営側のコミュニティマネージメントやSNS運用、サービス内の風潮づくりには重大な問題があると述べざるを得ません。その問題点を本稿では紹介し、改善策や取るべき方針を述べていきます。

HiÐΞの問題点と改善策

問題点1: 運営と一部のユーザーだけでサービス内の空気が出来上がりすぎており、新規ユーザーは疎外感を覚える

この問題は非常に深刻であると考えます。私は一ヶ月ほど前に初めてHiÐΞを利用しましたが、この疎外感というか出来上がった空気の中に飛び込んでしまった気まずさを感じていました。その結果、私はHiÐΞの利用を中断しました。

悪く言ってしまえば、これは身内ノリがサービス内で蔓延しているといった状態であり、本稿執筆時点(2021年9月18日)で2桁しかいないアクティブユーザーで共有する空気感としてはコンパクトに出来上がりすぎているという感想を持ちます。

例えば、新規参加者にとっては大学の仲の良いサークルに後期から入るみたいな状態になっています。それを楽しめる人にとっては、これは問題点と感じることはないでしょう。しかし、HiÐΞのプロダクトデータを覗いてみると、ユーザ数は増えているのにアクティブユーザーは伸びていません。それどころか、現時点で日々減少していることが確認できます。

こうした、私が感じる身内ノリの発生地点がどこなのかは定かではありませんが、原因の一つは運営者のSNSの使い方にあると考えます。

運営がユーザーと交流するのは賛成ですし、良い心がけだと考えます。しかし、運営の人間があまりに密接にユーザとコミュニケーションを取りすぎると、メリハリを失い、HiÐΞ内外でプライベートなやり取りが頻繁に発生します。これは外部の人々から見ると非常に入りづらい、出来上がった空気感ではないでしょうか。

実際に私は利用を中断する日までその疎外感を覚えていましたし、運営がSNSで拡散するのは仲の良いユーザの記事が中心といった不公平感も生まれます(実際に私の記事はほとんど紹介されていません)。

分散型(非中央集権)ということもあってか、あるいは運営に権力が集中していないという事情(自分たちも一人のユーザという考え)が理由のせいか、運営者が必要以上にユーザ、コミュニティとプライベートな交流を行なっているように見えます。しかし、分散型かどうかという理由はHiÐΞの新規参加者や外部ユーザからすればどうでもいい話で、運営とユーザというメリハリが付けられていない印象は変わらないでしょう。

これは実際に私のコミュニティマネージャとしての業務経験から語るもので、ユーザというのは不公平感を覚えると、運営者に対して不信感を覚えてしまいます。また、運営者やコミュニティマネージャが他のユーザとプライベートなやりとりをオープンな場で行なう必要はないと思われるので、公正公平な運営体制を掲げる分散型アプリケーションにとってはダメージかな、とも考えることもできます。

□改善策

・HiÐΞの公式SNSアカウントを作る(公平にユーザの記事を投稿・拡散・紹介する)

・身内ノリはHiÐΞ内のトピックで収めるような風潮づくり、あるいはそれらを新規参加者が感じくくなるようなフロントエンド設計・改修

・運営者が新規ユーザーが疎外感を覚えていることを自覚する

 

問題点2: 外部の人間とHiÐΞの間でブログ記事の評価基準が大きくズレてしまった

私が最も問題であると考えるのはHiÐΞでの記事の評価基準がコミュニティ経済(他のユーザと仲が良いか否か)に依存しすぎてしまったことです。記事を投稿することや、サポートすることがHiÐΞ内で上手に立ち回るための手段に置き換えられてしまっており、良質な記事を生み出す意欲や発想、環境を奪っていることです。

つまり、記事の品質や有益さよりも、HiÐΞ内の人気のあるユーザが公開する記事を評価したいという風潮が広がっており、たくさん収益を得るにはHiÐΞ内でウケることを目指す必要があります。実際にこの現象はすでに広まっており、外部(他のブログサービスやSNS)とHiÐΞとの間にはコンテンツの評価基準に大きなズレが生じてしまっています。

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これはHiÐΞ内の記事が低品質であるという意味ではなく、評価基準がズレてしまった結果、外部ユーザや新規参加者からするとHiÐΞで記事を公開しても正当な評価を受けられないという期待感の低下があり、それが問題になるということです。

「ここで記事を公開してもユーザ層的に読まれそうにないな」という感覚を持った時点でその人は記事を投稿しません。読者に読んでもらうために多くのブログを投稿してきた優秀な人ほど利用を避けるのではないでしょうか。だからこそ、記事をどのように表示させるのか、運営方針とも言えるトップページはそのサービスの命とも言えるのです。

実際に、私が公開した記事にも内容に言及するコメントは非常に少なく、アイキャッチの画像についてのコメントやタイトル・見出しだけでなんとなく理解したようなコメントばかりが付いてしまいました(終いには揚げ足取りも)。それでも少なくない額のサポートをもらえるのですが、次第にそれが気持ち悪くなってしまいました。それらしいことを記事に書けば、良くも悪くも内容なんて誰も正当に評価しないので、上手に立ち回れば収益には困らないということに気がついたからです。

これはどの程度、言葉やライティングという業務に情熱があるかという個人差があることなので、読者の皆さんが私と同じことを感じるかというとそれは分かりません。しかし、私がALISを利用しているのは良い意味でトップページがその他のブログサービスでも見かけるような普通なビジュアルであるためです。

HiÐΞの場合、とりあえずユーザの記事を(公平にすれば良いという理由で)トップページに表示してしまっている感が強く、見た目が非常に雑な印象があります。個人的にはフォントも野暮ったいと感じてしまっています。また、それによりUI的にも目線が散ってしまい、雑多としたイメージを持ちやすく、文章にこだわりを持つ人ほどHiÐΞを避けてしまう可能性があります。

個性を出そうとするのは悪いことではありませんが、出そうと出そうとすると少し辛く見えてしまいます。個性というのは実際に集まったユーザのコンテンツで出してもらえれば十分なのではないかと私は考える傾向があるため、その点も好みではありません。

実際に、新規ユーザは増えているのに、アクティブユーザーは減少しています。HiÐΞにおけるアクティブユーザーとは一週間以内に記事を投稿したユーザを指すのですが、本稿執筆時点では一週間の平均が74人(新規ユーザは1313人)です。また、本日(9/18)だけで述べると、37人しかいません。

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冒頭にも述べましたが、HiÐΞは大変素晴らしいサービスです。これだけ優秀な経済の循環構造を持っているHiÐΞからすると、週間平均アクティブユーザーが74人というのはいくらなんでも少なすぎます。なぜなら、書けば書くほど収益になりますし、クラファンなどの機能も素晴らしいからです(エディタは深刻なレベルで使いづらいですが)。

そのため、私が利用を中断した理由を他のユーザも感じているのだとすれば、上述の内容がHiÐΞの致命的な問題でしょう。

□改善策

・運営者とベテランメンバーの距離が近いので、いっそのこと過度な身内ノリ記事の公開は控えるよう相談する

・noteなどのプラットフォームからライターが移行(転載)してきやすいデザインの考案

・新規参加者が敬遠してしまうような散らかったUIの改善(特に各所、コンポーネントの比率を整えるだけで印象は変わるはず)

・とにかくトップページの早急な改修をする

HiÐΞはどのように運営した方がいい?

HiÐΞは非常に高い収益性がありますし、素晴らしいサービスです。しかし、SNSをはじめとするコミュニティマネージメントを見誤っている印象があります。そのため、非常に勿体なく感じてしまっています。

私ならば、まず運営者の言動からマネジメントします。コミュニティマネージメントと聞くと、ユーザをどのようにするかという発想を持ってしまうかもしれません。しかし、私はそれが誤りであると考えます。

コミュニティマネージメントのほとんどは、運営側のマネジメントに尽きます。ユーザが増えない、ユーザの離脱率の上昇が止まらない時は、大体運営側に問題があります。そのため、公平な目線で物事を判断できるコミュニティマネージャが必要なのです。

従って、発言権のないコミュニティマネージャは必要ないですし、運営側に寄りすぎたメリハリのない、または公平な判断のできないコミュニティマネージャがいるとプロジェクトは躓きがちです。そのため、時には自分たちの間違いを認める・認めさせることができるかどうかが重要です。そうした意味で私ならば、最初に運営側の言動をマネジメントします。

その上で、私は公式Twitterアカウントを積極的に運用します。それは全て外部ユーザに向けた運用です。私ならば、わざわざコミュニティ内で盛り上がるためだけの発言を公式ですることはありません。あったとしても、それはアワードのような特別感を出します。理由は身内ノリの排除と外部ユーザに利用してもらうためです。また、私は実際の業務でも非常に丁寧な言葉遣いでユーザと接します。

また、私は開発者とコミュニティとのプライベートなやり取りと業務を切り離すべきと考えます。業務や方針、プランニングなどを一部のユーザとTwitterなどのオープンな場所で話すのは外部ユーザからの印象がとにかく悪いので控えるようにアドバイスします(あるいは命令権があるのならば、そのように促す)。

SNSなどのオープンな場での発言は基本的には外部ユーザのために運用。コミュニティにはサービスの改善やアップデートで満足度を高めることが鉄則ではないかと考えます。逆にそうしたSNSで個性を出そうと、品位に欠ける運用をしていると身内ノリが激化し、気がついた時には手遅れになりがちです。

あくまで、私個人の感想・意見ですが、現役広報・コミュニティマネージャの業務経験から述べさせてもらいました。

今後のHiÐΞの発展を願います。そして、私が再び利用したくなるような雰囲気のサービスになっていれば幸いです。

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海外のゲーム開発スタジオと契約中のフリーランス広報。音楽にも精通しており、楽器ならなんでも弾く。20代半ばで指を切断する事故に遭い、音楽へ固執していたことに気づく。その後、言葉のプロになった。
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