TomoChainの創設者兼CEOであるロンさんがForbesのインタビューを受けました!
本記事はその日本語訳です。それでは以下、インタビュー記事となります。
暗号通貨・ブロックチェーンの仕組みは非常に複雑であり、一般人はこれらに関する知識を持たず、「なにか怪しいもの・難しいもの」といったイメージがつきまとっているのが現状です。
これが暗号通貨・ブロックチェーンのマスアダプション(大衆による理解・利用)への最も大きな障壁となっています。
Dapp(分散型アプリケーション)の可能性及び暗号通貨の取引媒体としての利用可能性についてはある程度前進がみられますが、エンドユーザーによるDapp・暗号通貨の一般利用には未だ様々な問題があります。
それは、高い取引手数料(ガス代)と使いにくいUI(ユーザーインターフェース)、トークンのマーケットが複雑であること、Dappのメリットが認識されていないことなどです。
Dappとパブリックブロックチェーンが現在中心的に取り組んでいる有望な分野の1つとして、金融セクターがあります。
いわゆる「DeFi」と呼ばれる分野です。
これには、
担保付貸付 / ステーブルコイン / デリバティブ商品
などが含まれます。
進捗が順調なブロックチェーン関連プラットフォーム・スタートアップは、金融アプリケーション(DeFi)がブロックチェーンのマスアダプションのフロンティアになると信じています。
ただし、メインストリームのユーザーを取り込むには、よりパフォーマンスの高いブロックチェーンインフラが必要で、従来のパブリックブロックチェーンでは足りません。
東南アジアのパブリックブロックチェーンプロジェクトであるTomoChainは、暗号通貨・ブロックチェーンのマスアダプション実現のために必要なインフラの構築に努めています。
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TomoChainの創設者兼CEOであるLong Vuong氏(通称「ロンさん」)に暗号通貨・ブロックチェーンのマスアダプション、今後の課題、Web 3.0におけるパブリックブロックチェーンの幅広い役割などについて、インタビューを行いました。
Q1:TomoZについて
TomoChainは最近、TomoZをローンチしましたが、その概要と、暗号通貨・ブロックチェーン業界におけるメリットについて詳しく説明していただけますか?
A1:
TomoZ は、チェーンのネイティブコインではなく送金したいトークンにより取引手数料を支払うことを可能にするオンチェーンプロトコルです。
これにより、暗号通貨・ブロックチェーンの複雑さを理由に参入できなかったメインストリームのユーザーが利用できるようになります。
従来のパブリックブロックチェーンでは、トークンを送金したり、Dappのコントラクトを書き込む際、取引手数料(ガス代)としてそのチェーンのネイティブコイン(ETHやEOS、TOMOなどのこと)が必要でした。
これはブロックチェーン・トークン利用に際し、大きな障壁となります。トークンだけでなく、ネイティブコインをも保有していなければトークンを自由にやり取りできないからです。
しかし、TomoZを用いれば解決できます。
「TomoZ」を用いて発行されるトークンは、「TRC-21(TomoChain Request for Comments)」という新しい規格に基づくものです。
TRC-21トークンは、送金する際、送金したいトークン自身により取引手数料を払うことができ、TomoChainのネイティブコインであるTOMOを保有している必要はありません。
さらにTRC-21トークン発行プロトコルである「TomoIssuer」を使えば、ユーザーは数回のクリック作業でトークンを発行できます。多額の資金を費やしてブロックチェーン技術者を雇う必要はなくなるのです。
このように「TomoZ」と「TomoIssuer」は、ブロックチェーンが抱える技術的困難さというマスアダプションに向けた大きな障壁を取り除くキーテクノロジーとなるでしょう。
Q2:本年のコンセンサスシンガポールについて
TomoChainは2019年のコンセンサスシンガポールのスピーカー・スポンサーでした。今年のコンセンサスシンガポールのメッセージはどのようなものだと思いますか?ブロックチェーン・暗号通貨業界のさらなる発展のための最も重要な目標は何ですか?
A2:
Web 3.0および分散アプリケーション(Dapp)のビジョンは、暗号通貨・ブロックチェーン業界の非常に重要な部分です。
しかし、現時点では、より多くのメインストリームユーザーにリーチできるようなアプリケーションが必要です。
そしてそのためには、UXの問題、資産管理の問題、ブロックチェーンのパフォーマンスの問題など、既存ブロックチェーンプラットフォームが抱える問題を解決することが必要となります。
1990年代におけるインターネットの発展・開発と同様に、Web 3.0の発展・開発はまだまだ初期段階にあると思います。
業界全体の潮流は、今後数年間を通じて、より多くのユーザーを引き付ける適切なインフラストラクチャ、モデル、プロダクトを確立する実験段階にあると考えます。
Q3:他のブロックチェーンプロジェクトとの共存関係について
TomoChainはEthereumのEVMと互換性があり、多数のプロジェクトがEthereumから市場シェアを獲得しようとしている時期にTomoZをローンチしました。
複数の異なるトークン規格標準(TRC-21、ERC-20、BEP-2など)のエコシステムがどのように展開するかについてお話しいただけますか?
相互運用可能なプラットフォームとして共存し、DeFiやブロックチェーンゲームの発展に寄与するのでしょうか?
それともネットワーク効果によりひとつのプラットフォームが覇権を握るのでしょうか?
A3:
Ethereumの「ERC-20」規格は、2017年と2018年にICOブームを引き起こし、一世を風靡しました。
また、ゲーム内アイテムやデジタルアートの所有権の移転に使用できるNon Fungible Token(NFT 代替可能性のないトークン)を実現する規格である「ERC-721」もEthereumの持つ革新的部分であるといえるでしょう。
しかし、Ethereumベースのトークンを転送するには、ガス代としてETHが必要です。
そのため、Ethereumブロックチェーンに不慣れな人々にとっては、Ethereumベースのトークンのやり取りに大きな不便さを感じるでしょう。
TomoChainにも、「TRC-20」や「TRC-721」といったERC-20、ERC-721に類似したトークン規格があります。
「TRC-21」規格は、TRC-20のような代替可能トークンですが、その特徴のひとつとして、取引手数料をネイティブコインではなくTRC-21トークン自体で支払うことができるというものがあります。
TomoZは、ステーブルコインにおいても活躍します。ERC-20規格によるステーブルコインでは、ステーブルコインの送金にETHが必要となります。
しかし、これは日本円を送金するのに米ドルが必要になるようなもので、非常に奇妙な仕組みであり、ステーブルコインの普及に大きな障害となるでしょう。
TomoZを使えば、このような難点を解消でき、TomoZに基づくデジタルウォレットと支払いシステムを非常に迅速かつ安価に構築できます。
Q4:TomoChainとDeFi(分散型金融 Decentralized Finance)について
Dapp.com Q2マーケットレポートでは、TomoChainのトランザクションの多くが金融Dappによるものであることを示しています。それはなぜですか?TomoChainがDeFiDappにどのような親和性があるのかを教えて下さい。
A4:
TomoChainを含むブロックチェーンは価値を移転するための優れた媒体です。
もっとも、TomoChainはビットコインやイーサリアムなどの現在のパブリックブロックチェーンよりも遥かに高いパフォーマンスを持つように設計されています。
そのため、TomoMasterやTomoSwapといったファイナンスアプリは、幅広い金融アプリのアーリーアダプターを自然と惹きつけています。
私たちは、メインストリームのユーザーの多くを惹き付けることができる最初のパブリックブロックチェーンの1つになることを目指しています。
金融は、プラットフォームへの関心を高める最も効果的な方法の1つです。
Q5:昨今のDeFiやレンディング事情について
最近、アジアを中心に、DeFiと取引所向け暗号通貨商品の流行がみられます(Huobiなどの取引所が提供するデリバティブ商品とレンディング商品など)。ビットコイン、TomoChain、ステーブルコイン(テザーなど)の規制事情、東南アジアの暗号通貨デリバティブ取引所などの機関投資家向け製品の発展についての考えを教えて下さい。
A5:
取引所とステーブルコインの需要・利用は急増しています。
ユーザーは、年利8〜9%でステーブルコインを貸し出すことができます。銀行預金の年利は0〜1%であるので、これは非常に魅力的です。
それに加えて、ビットコインやその他の暗号資産の法規制が見られるため、アジアの主要取引所が提供するデリバティブ商品をはじめとした投資商品が成熟しつつあり、これは非常によい傾向です。
取引所はエコシステムの根幹を支える重要な部分であり、Binance、KuCoinなどのローカルコミュニティで確立された取引所が、パブリックブロックチェーンとそのアプリケーション開発のサポートにさらなる貢献をみせてくれることを願っています。
取引所とパブリックブロックチェーンは分散型ウェブの構築という共通目標を有しているため、共存関係にあると考えます。
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