TomoChainの開発は非常に順調であり、日本コミュニティもTwitterは1500フォロワーを突破し、堅調な拡大を見せています。
開発に関しては、トークンによる取引手数料の支払いを実現する『TomoZ』、分散型取引プロトコル『TomoX』などのTomoChain独自機能が発表されて記憶に新しいですが、今回、新たな機能が発表されました!
その名も
で
です。
PはPrivacyのPで、その名の通り、プライバシー保護に特化したプロトコルとなっています。
プライバシー保護といえば、モネロ(XMR)、ZEC、DASH、BEAM、GRINといったプライバシー保護に特化したいわゆる『匿名通貨』がありますね。
TomoChainのネイティブコインTOMOには、通常はプライバシー機能はなく、トランザクションが透明になっていて、誰でもすべてのトランザクションを見ることができます。
しかし、このTomoPにより、プライバシー保護機能が追加されます。
この記事では、プライバシー機能がなぜ必要なのか、TomoPの特徴・強みなど、ロードマップについて説明していきたいと思います。
TomoPとは、TomoChain上で匿名トランザクションを実現するためのプライバシー保護プロトコルです。
TomoChainブロックチェーンのネイティブコインであるTOMOには、通常、プライバシー機能がついておらず、全世界のありとあらゆる人がTOMOのトランザクションが公開されており、これを追跡することができてしまいます。
しかし、TomoPプロトコルを使用すれば、TOMOのトランザクションを匿名で行うことができるようになるのです。
ただ、TOMOのトランザクションがすべて匿名になるわけではなくて、ワンクリックでパブリックモード(公開トランザクション)/プライベートモードを切り替えることができるようになるのです。
この切替機能は、用途に応じた柔軟な利用を可能にします。
『匿名トランザクション』とはいっても、本当にそんなものが必要なのか?マネロンを増長するから政府によって規制されてしまうのではないか?といった疑問を持つ方が少なくないかと思います。
実際、匿名通貨の代表例であるモネロは、マネロン懸念でポーランドの取引所から上場廃止されたりしています。
また、日本の有名取引所であるコインチェックからモネロ、DASH、ZECが上場廃止されたのは記憶に新しいと思います。
となると、やはり上記のような疑問が生まれるかと思います。
しかし、匿名トランザクションは、暗号通貨・ブロックチェーンの発展において、欠かせない要素だとTomoChainは考えています。
実際、MasterCard社は、2016年12月に匿名トランザクションの特許申請をしています。超有名決済企業であるMasterCard社も匿名性が必要と考えているのです。
通常のパブリックチェーンは、トランザクション(「ウォレット間のトークン/コインの移動」をイメージしてください)が完全に透明で、すべてのトランザクションをあらゆる人がみることができます。
そのため、あるウォレットアドレスが誰のものであるか判明してさえいれば、その人の取引がすべて筒抜けになってしまうのです。
このようなトランザクションの透明性は、一面では、パブリックチェーンの公正・公平さの確保に寄与し、スマートコントラクトによる投票機能やギャンブルDappにおける不正防止などでは非常に有意義でしょう。
しかし、重大なデメリットがあるのです。
トランザクションが完全に透明で、誰しもに筒抜けでは、誰もブロックチェーンによる決済・送金機能を使いたがらないでしょう。
例えばあなたが誰かにバレると恥ずかしいようなものをブロックチェーンを利用して購入したとします(アダルトサイトへの登録など...笑)。
通常のパブリックチェーンでは、これが全世界全人類にあらわになってしまうのです(厳密にいえば受信側のウォレットアドレスが誰のものであるか判明している場合に限りますが)。そんな恥ずかしいことはないでしょう。誰も使いません。
先程例に挙げたアダルトサイトでいえば、某大手アダルトサイトは、某匿名通貨による支払いを受け入れたことがありましたね。
このように、ブロックチェーンの透明性は、個人の取引を萎縮させてしまうおそれがあるのです。
また、トランザクションが透明で公開されてしまうのでは、企業は絶対にブロックチェーンを使用しないでしょう。
自社の取引やスマートコントラクトを利用した企業の経済活動が競合他社などの第三者に知られるのであっては、むしろブロックチェーンの利用が不利益につながってしまうからです。
企業間でいわゆる『プライベートチェーン』の実証実験が盛んであることも、このことを裏付けるものであるといえるでしょう。
このようなデメリットがあっては、ブロックチェーンはなかなか普及しないでしょう。
特に、ブロックチェーンの一般大衆による使用(いわゆる”マスアダプション”)には、名のある大企業がブロックチェーンを採用し始めることが肝要だと思われますが、デメリット2のような不安要素があっては、企業がブロックチェーンを採用するなんて夢のまた夢でしょう。
このように、匿名トランザクションは、ブロックチェーンの一般採用において不可欠な要素なのです。
*『トランザクションの匿名性はマネロン懸念で政府に規制されるのでは?』という点については、TomoChainは、後述するデュアルキーシステムによりクリアします。
ここまででTomoPの概要と、匿名トランザクションの必要性を見てきました。
ここからは、TomoPがどのようにしてブロックチェーンの一般採用を促進するような匿名トランザクションを実現するか、その特徴・強みを他の匿名通貨との比較を織り交ぜつつ見ていきます。
多くの匿名通貨はトランザクション速度が低速です。
いくら匿名性があるとはいえ、これでは実利用に耐えません。
しかし、TomoPによる匿名性は、TomoPがあくまでTomoChainのプロトコルとして機能するものであることから、通常のTomoChain上のトランザクション同様超高速であり、2-4秒でトランザクションが完了します。
これは他の匿名通貨との比較においてかなりの優位性でしょう。
暗号通貨の匿名性は、ブロックチェーンの実利用に資する一方で、マネロンや犯罪組織による利用のおそれがあるため、政府の規制対象となることが多いです。
しかし、TomoPによる匿名トランザクションは、この点を、デュアルキーシステムにより解決します。
TomoPでは、自身のウォレットやトランザクションを管理するために使ういわゆる『秘密鍵(プライベートキー)』を、『支出キー(Private Spend Key)』と『閲覧キー(Private View Key)』に区別します。
<支出キー>
支出キーは、いわゆる秘密鍵と同等の機能をもち、ウォレットやトランザクション管理は前者の支出キーを通じて行われ、ユーザーはこの支出キーを使用することになります。
<閲覧キー>
閲覧キーは、主に規制遵守のために使用されるもので、ウォレットの残高やトランザクションを閲覧する機能のみを持ち、トランザクションの作成はできません。
ユーザーは、この閲覧キーを税務・法務機関や銀行といったマネロン・犯罪防止のために活動する機関に登録することで、自身のトランザクションを公開し、自分が適法なトランザクションを行っていることを証明しつつ、それ以外の者からトランザクションを秘匿できるのです。
これにより、匿名通貨の規制遵守という悲願が果たされることが期待されます。
TomoPにより匿名性を持たせるために複雑な操作は必要ありません。
ウォレット上でワンクリックするだけでパブリックモード(トランザクションを公開)とプライベートモード(トランザクションを秘匿)を切り替えることができます。
このようなユーザービリティの高さも優位性といえるでしょう。
TomoPは、TomoChainネイティブコインであるTOMOだけでなく、TomoChainで発行されるトークンにも匿名性をもたせることができます。
これにより、TomoChainを利用したトークンエコノミーの形成が促進されることが期待されますね。
TomoPによる匿名性は、TomoChainブロックチェーン上のTOMOとトークンだけでなく、BTC、ETHやUSDTといった他のチェーン上のコイン・トークンにも対応予定です。
このような対応範囲の幅広さは”TomoChainを使おう”というインセンティブとなるでしょう。
ロードマップは上記のようになっています。
テストネットが2月中に公開される予定です。
○ ウェブサイト
○ 開発進行中のGithub レポジトリ
○ ホワイトペーパー
*技術的事項などの詳細を知りたい方は下記ホワイトペーパー(英文)をご参照ください。