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クリスぺキャンプ【2回目】行ってきた!~後編~

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  • Zucky
  • 2023/11/15 08:45

 

「それでは、今から皆さんにきりちんぽを作ってもらいます!!」

 

深い藍色に染まる静けさの中、疎らに灯る揺らめきが、木霊する"きりちんぽ"と踊り出す…

 

男達は今、己が魂と向き合い始める…

 

さあ、祭りの時間だ…!!

 

〜前編〜

 

実は、きりたんぽを作ることは事前にアナウンスしていたが"きりちんぽ"を作ることは説明していなかった…。

前日にTwitterでちらっとそんな内容を呟いたが、正式にはまだ誰にも言ってなかった。

だからこの抜き打ちきりちんぽコンテストの案が通るかどうかはまだわからなかった…。

だが、わしは確信していた。このメンバーならば、必ずや己のきりちんぽを作ってくれると…!!

 

「ただし!その形状は、それぞれ己の斬魄刀を模したものとする!!今からゴム手袋を配るので、各自己の斬魄刀を造ること!!

 

そう告げると、即座にメンバーから質問が入る。

 

「米はどれぐらい炊いたんですか?」

「五合!」

「あー、足りねぇ!」

「全ッ然!足りねぇ!!」

「俵で持ってこぉい!!!」

などとイキリ始める男達(主にクロサワとバローロ)…

 

それは卍解した状態の再現ってことでいいですか?」

冷静にルールの確認をしてくるゆらD…

 

黒ゴマあります?ホクロがあるんです。

早くも己のきりちんぽの造形をイメージし、必要な材料と工程を求め始めるんぺ…

 

なんて…なんて頼もしいんだ…!!!!

 

このメンバーなら、最高のきりちんぽが作れる…!!

わしはそう確信した。

 

「えー、ちなみにこの後に予定している温泉で、それぞれの斬魄刀の実物と乖離がないか相互にチェックが入りますので!せいぜい見栄を張り過ぎないように!!1番実物に近い卍解を表現できた者が優勝!以上!!」

 

そう告げると、男たちの目に炎が灯るのがわかった…。

ざわつく会場が、熱を帯びていく…!!

 

「全員ゴムはつけたか?」

 

ナマは衛生面でよくない、感染症のリスクも高まる...。

故に、全員分のゴム手袋を配布する。

 

ゴム手袋を付けた変態達に、アツイ夜の始まりの如き緊張が走るッ!!

デュエル開始の合図をしろ!磯野ォ!!

 

それでは、はじめっ!!!」

 

こうして、男7人によるきりちんぽ製作コンテストが開始された…!!

 

割り箸と米を持ちながら真剣な面持ちとなる一同。

それぞれ首を傾げながら

「左手か…?いやだけど右利きだしなぁ…」

「うーん、この位置で造るのが、やはりしっくりくる…」

なんて言いながら股間の高さに添えて前後にストロークを始める者…

「俺は、仰向けにならないとわかんねぇわ。」

と天を仰ぐ者…

「黒ゴマさえあればなぁ…」

と精巧さを突き詰める者…

「え?マジで!?マジで!?マジかッ!?」

順番にみんなの斬魄刀を覗き込んでは興奮して騒ぎ立てる者…

全員が次第に完成に近づき始める…

ソワソワと他人のきりちんぽを盗み見ては、

「これぐらい…いや、ちょっと長いか…う〜んでも…」

なんて具合に、見栄と勝利の狭間で揺らぎ始める男達…

しかし、それでも全員がひたむきに己の斬魄刀と向き合い、誇らしげに、そして愛おしげにそのきりちんぽを眺めシゴいていたのだ。

 

 

素晴らしい光景だった。

今日ここに来て本当によかったと思った。

 

団長はそんなわし達をインスタックス?とかいうチェキみたいなカメラでエモいフィルムに収めてくれていた。とてもいい写真が撮れていた。

Content image

 

 

 

 

 

そして、ここに7本の雄々しき斬魄刀が完成した…!!!

 

 

「うおー!ゆらDカリ上手くない!?え、めっちゃリアル!!」

「これは見事な流線形だなぁ~」

「あーはいはい、そういうタイプね」

「裏筋のこだわりパネェ…」

「これは…何??」

「なんか真珠入ってる人いない!!??」

 

それぞれが完成した互いの斬魄刀を称え合った。

中でもわしの雄々しき卍解『金剛硬豪大凸ビンビン丸•極』は一際輝いて見えた。

 

ふっふっふ、どれが誰の斬魄刀かわかるかな???

 

 

そしてこの後温泉へ行く前にどの斬魄刀が誰のモノかわかるように自分のモノを掲げて記念写真を撮ることとなった。

どうせならマグショット(刑務所に収監される前に捕るアレ)みたいに撮ろうぜという事になって、それぞれ悪人になり切って写真を撮った。

「囚人番号0721!前へ!!」

うっす…。」

パシャッ!

 

「囚人番号4545!前へ!!」

チっ…」

パシャッ!

 

「囚人番号1919!前へ!!」

fuck☆you」

パシャッ!

 

そんな感じに、わしとギャルとんぺさんが囚人になりきっていたら、みんなから「もう行くぞ~」と呼ばれた。

あれ??

割と時間が押していたようだ。

きりちんぽは温泉の後に湯冷めしないようにゆっくりいただくことに。

全員分のマグマショットが撮れなかったこと少し残念に思いながらも、まだ酒を飲んでいないわしとゆらDが運転していざ温泉へ!!

次第に目的地が近づくにつれて、これから始まる斬魄刀の品評会にびびりはじめたのか、助手席に乗ったギャルが

「すげぇかんな!!?マジで!マジで!すげぇかんな!!」

といきり立っていた。

ふん…弱い犬ほどよく吠えるものだ。

この時点でギャルの卍解が大したものではないことは察しがついていた…。

戦う前から負けるとは…まさにこのこと。

見苦しいぞ!!

 

そして迎えた大浴場!!

 

わしは少々出遅れてしまって洗い場から出るのが最後となってしまった。

つまり、わし以外は皆既に浴槽で待機しているというわけだ。

なるほど…

いいだろう…目にモノ見せてやるッ!!

 

…、…。

 

…くそっ!緊張で縮こまってやがる…ッ!!

恥じるな、堂々と立ち振る舞うのだ!

滾れ!ビンビン丸!!

気迫で押し切るのだ!!呑まれては負け!!ちんちんではない、立ち振る舞いなのだ!!さァ…

 

ーーー選手入場ッッ!!ーーー

 

わしはこの温泉の中で1番ちんちんがでかい男になったつもりで、ややガニ股で歩きながら一同が浸かっている内風呂の一角に辿り着くと、そこで腰に手を当て仁王立ちした!

一段高い湯船の縁の上に立ち、若干腰を突き出して不動の体勢をとった。さぁ…アピールタイムだ!!

 

「…へぇ?」

「ほぉ…」

「んー…?」

 

わしに気づいた一同。

湯煙の中、男たちが眉間に皺を寄せながらわしの股間を凝視し、中腰でじりじりと覗き込むように集まって来た。

 

どうだ、まいったか!?

これがわしのビンビン丸だ!!

 

くっ…、まるでアマゾン川でワニに囲まれたかのような緊張感…しかし!

わしのビンビン丸が恐ろしくて噛みつけまいッッ!!?

 

この状況…

客観的に見るならば、湯船で寛いでいた男6人が突如立ち上がり、後から来た男の股間を目掛けて円形ににじり寄っていくカタチとなった…周りの客からしたら異様な光景に映ったことだろう…。

多少、周りは訝し気に思っていたかもしれない。

え、ここはそういう温泉なのか…?と。

ここはそういう集団がたむろしている区画なのか…?と。

今思えば、変なやつが無断エントリーしてこなくて良かった。腕に覚えのあるならず者が"道場"ならぬ"ちんちん"破りに現れて、わしらの斬魄刀が片っ端から折られてしまうような事態にならなくてよかった…。

 

 

「おぉ…」

「なるほどォ〜…」

「ふぅん…」

「フッ…」

 

わしのちんちんを評価する一同…。

全員の目から(勝ったな…。)という雰囲気を確認した…。

 

うむ…

わかっていた...

はじめから…わかっていたのだ…。

 

これでも温泉には数多く入ってきた…。

その中で己のちんちんがどの程度のサイズかは自然と把握できるものである…。

だからこそ…だからこそなのである!!

恥じるな!ちんちんが何だ!!肉体に囚われるな!!大事なのは心!心のちんちんで敗けなければよい!

ちんちんで卑屈になるな!そんなものよりも、気構え!そして立ち振る舞い…!!

…だが、今日のところは勝ちを譲ってやろうではないか…そういうルールだ。正々堂々、わしのちんちんは戦った。それでいいのだ!

チン評会が終了したが、決してわしは縮こまることなく、最後まで腰にタオルは巻かなかった…、誇れ!堂々としろ!下を向くな!ビンビン丸!お前は強く、美しい!!

 

その後、皆でだらだら温泉に浸かりながらゆったりトークタイムやサウナ我慢大会とか始まるのかと思いきや、あっという間にバラバラになってしまった…やはり7人もいるとまとまって動けないものなのか…。

とりあえず、バロさんと育児や家庭について話したりした。バロさんめっちゃ頑張ってた。わしも頑張ろうと思えた。その後団長とゆらDを見つけ、団長の地元や子育てについてお話を伺ってたりした。ゆらDは相変わらず欲しいタイミングで欲しい言葉を言語化して持ってきてくれる一級相槌士だった。そしていっこうに姿が見えない組長んペギャル組を探しにバロさんが消える。

帰ってこないので今度はわしらが探しにいくと、ヘロヘロになって歩いていくギャルを発見する。

 

「あぁ〜なんなもうヤバい…あっあっ、なんかだるいィ…」

 

とか言いながら組長と消えていった。

確かにどこか顔色は悪く、萎びた野菜みたいになってた…。

まったく、情けないギャルだ…もうのぼせたのか?酒ばかり飲んでいるからそうなるんだ…

 

サウナー故、温泉に強い団長とわしはさらに内風呂に浸かることにした。ゆらDとははぐれてしまった。

 

そして、ここでわかった。

団長はザビエルであり越後の坂本龍馬であるのだと!!!!

団長の魂と生き様に胸を打たれた…!!

わしの魂の幾許かでも団長と同じレイヤーで活動できたらいいなと思わせてもらった。素晴らしき漢!!

わしが団長に感服しているとバローロさんが「もう全員風呂上がってます!」と呼びに来てくれた。

 

もう!?

まったく軟弱者共が!!椰子姐とえいちゃんがいたら水風呂に沈められるぞ!?話にならん。

しかし、皆が風呂上がりの倦怠感に伸びているであろうタイミングに、わしと団長を呼びに来てくれるバロさんはやはり軽くて強靭なフットワークを持っている。この男…強い!!やはりアーミー…戦場を渡り歩いてきた男の背中をしている…!!

 

風呂から出るとギャルがマッサージ機で爆睡していた…なんでコイツはここまで疲れているのかよく分からなかったがそのままにしておいた。

組長が、「どうして我々は日本国民であるにもかかわらず、日本国内で立ち入ることができない場所があるのか!!」と、女湯に入れないことについてキレていた…。

「そうだ!そうだ!人権侵害だ!!この体制は江戸時代まで続いた我々の伝統文化を破壊している!!暖簾を分けるな!LGBTQだろが!!」

と、調子を合わせながら人の少ない方へ誘導していく。

そのまま、温泉をチェックアウト…と、いきたかったが問題が発生する…。

ギャルがロッカーの鍵を無くしたらしい…。

酔っ払ってたせいで結局、鍵の場所は分からず、受付のおばさんに泣きついていた。

横でバロさんが面倒を見ている。

なんとバロさんはここでも先程のシャツとは別に、自身のアイコンがプリントされたバローロパーカーを着ていた…!(2着目ッ!?)

隣には同じブランド?っぽいテイストのキャラクターがプリントされたシャツを着た髭面のギャルがいる…。

このめんどくせえペアルックのおっさん達はなんなんだ!?と受付のおばさんも、混乱していたと思う。

うん。

 

しばらく待っていると、受け付けの向こう側で拘留されたいたギャルが釈放をされた。組長はまだ混浴じゃないことにキレていた...。やはり真の変態は我々とは本気度が違う。

帰りの車内で、ギャルがマティーニに入れるオリーブについて、「中にアンチョビが入っているオリーブだとなお良い。」などと団長や組長と通っぽい会話をしていた。

ここでわしはあのオリーブがただのお洒落ポイント稼ぐためだけの飾りではないという事を知った。なんか見た目がオシャレになるし、日本酒のカップの飲み口に塩が振りかけられてる的なノリでマティーニに浸かったオリーブから程よい塩味が供給される的なノリの、装飾兼だし昆布的な意味で入ってると思ってたオリーブだったけど、どうやらあれもしっかり食べるらしい...。

「なんでわざわざ酒に浸けて食べるんですか?」

「美味くなるから」

「え?ふ、ふーん…あー!あれね!カステラに日本酒吸わせて食べるみたいな???」

「全然違ぇけど..?」

「あっ、ふーん、そっかそっか...そういう感じなんだ。なるほどなるほど。」

 

必死に知ったかぶってみたけど全然違った。

酒の世界の奥深さに恐怖した。

 

キャンプ場へ戻るといよいよ鍋パーティーが始まる。

具材は、白菜、大根、人参、ネギ、里芋、えのき、舞茸、白滝、豆腐、エビつみれ、水餃子...きりちんぽ!!!

とりあえずそれぞれのきりちんぽをいったん炭焼きにする。

こんがり黒光りするきりちんぽを目指して…!!

誰かが誤って網からちんぽを落とせば「てめぇッーー!わしのチンポに土つけやがってェーーー!!!!」などと怒号が飛び交っていた。

そしていよいよ鍋投入である!!

「誰のからいく?誰のからいっちゃう??」とファーストチンポの選別に盛り上がるが、ここで思い出したかのようにバロ・んぺ。ゆらD・ギャルから指摘が入る。

「そういえば、ズッキーさん…。」

「へ?」

わしが手に持つ雄々しき卍解、『金剛硬豪大凸ビンビン丸•極』とわしの股間を交互にのぞき込むバローロ…。

「ズッキー…なんか持ってる奴と全然違ったけど…??」

 

えぇっ???そう?そうだっけぇ?」

 

「そうだよ!やっぱり俺のが一番デカかった!!」

 

ここぞとばかりにギャルが負け惜しみをねじ込んでくる。くそ!今が好機と見たか!?ちなみにギャルのブツはわし以上その他以下といったところだった...。わしの立ち回りとしては、わしのビンビン丸をなんとかギャルとドロー判定まで持っていき、勝敗を有耶無耶にすることを落とし所として目指していただけに、ここでギャルにマウントを取られるのはマズイ!!くそ!!こじれてきた!!うるせぇ!温泉で死にかけてたくせに!この死にぞこないがァ!!

 

「クロサワのポーン♟は置いといて、ズッキーの卍解、そんなんじゃなかったよ…ね?」

 

くそっ!ここまでか!!

少々デカく造り過ぎちまった!!

だって…しょうがないだろ!?男はみんな、ちんちんに夢を乗せたがるもんだろ!!?

わしの夢のデカさを笑うのか!?

 

くそっ!くそっ!くそぉぉおおおおおお!!!

 

 

「ああ!そうだよ!!わしのちんちんはこんなイカれたディルドみたいな形はしてないよ!!!!もっとかわいくて奥ゆかしい詫び寂びのあるちんちんだよ!!だけどな!卍解したらあんなもんじゃないんだぞ!?いいか?卍解さえすればお前らのちんぽなんて!そうだ!卍解さえできれば!ばんk…??あッ!!!

 

このゲームには穴がある!!!

 

おそらく、はじめからそれを認識していたゆらDが、(気付かれたか…)といった具合に苦虫を噛み潰したような顔をする…

 

そう、わし達はたしかにそれぞれの卍解を模して造った!『金剛硬豪大凸ビンビン丸•極』を!!

しかし!わし達は温泉で"卍解をしていない"のである!

よく考えればそうだった!温泉は公衆浴場、他の利用客の前で卍解できるはずもない!あの場で男が七人も卍解をして刀を並べていれば、その先ナニが起こるかわからない!非常に危険な事態となっただろう…!

だからはわし達は無意識に卍解を抑え、"始解"に留めていたのだ!!

だからまだ、我々はそれぞれの卍解を知らない!!

 

判断ができないのだ!!!

 

声高らかにわしがそう宣言をすると

「お、俺は始めから始解のつもりで作ってたし!!君たち卍解造ってたの?よく米足りたね。」

とかギャルが喚きだした。

 

しかし、残念ながら場の雰囲気は変わることなかった、確かに、卍解は確認できていないが、始解は確認できた…

その状態から導き出される限界膨張率で、ある程度卍解も想像できてしまうのだ...。

 

「わ、わしのは砕蜂タイプだから!!雀蜂並みの膨張率だから!!」

 

そう言い張るも、わしの罪が覆ることはなく、『金剛硬豪大凸ビンビン丸•極』は無惨にも切り刻まれた…。

 

「きりたんぽは鍋で食べる時は串から抜いて煮るんだよ~」

 

バロさんがなんか詳しかった。煮込む時間はもうバローロタイマーにお任せした。

やはり頼りになる、流石だぜ!!

 

きりちんぽが仕上がるまでの間、団長が差し入れしてくださったムール貝を食べていた。

わしの足元に貝の入ったダッチオーブンが置いてあって、暗闇の中で焚き火に照らされる貝たちはどこか赤チャバネめいて見えて少しぞっとした。でも美味かった。

すると組長がするするとやってきて

「ズッキーさん、貝の殻ください。」

とい言うので

「はい、ゴキブリの羽♡」

ってわしが食べた後の殻をたくさんお皿によそってあげた。

組長はやはり闇の世界の住人だからゴキブリの羽みたいなモノが好きなんだろうか?

一体あれをどうするんだろう?紐でつなげて鎖帷子みたいにするのかな?

それで全身をゴキブリの羽で包んで人間ゴキブリになりたいんだろうか?

組長の方を見ると、渡した貝殻を一心にひっくり返したりつまんだりしてゴキブリの羽を観賞していた…。

いやはや恐ろしいお方だ…!

 

そしてここらで再び酒に挑戦することにした。

もう今日の運転はない!好きなだけヒャッハーできるわけだ。

わしが挑むのはもちろん『マティーニ!!』

Re:マティーニ!

ほろよいに逃げかけた自分にチョマティーニ!!漢は黙ってリマティーニ!!

今回はギャルが講釈を垂れていたオリーブも食してみる。

そうか、さっきはきっとオリーブ齧ってなかったから飲めなかったんだ。

あれね、きっと寿司でいうショウガみたいな感じね。わかったわかった。

ショウガがあるからいっぱい食べれる的なね?うん、イケるわ。勝ったわ。

塩振ったらスイカ倍美味いみたいなね?わかったわかった。これ完全に攻略したわマティーニ。なんだよ簡単じゃねえかもっと早く言ってくれよ。もうこれ「がぶ飲みメロンソーダ」じゃん。がぶ飲みメロンソーダ並みにがぶ飲みできr

 

しょおっパァ!!!!

 

ショッ!!ショッパァァ゛ア゛ッ!!??

 

思わず「エ゛ンッッ!!」ならぬ「塩ッッ!!」て叫んで鼻血出すかと思った!

なにこれしょっぱァ!!しかもしょっぱいから思わず水が欲しくなってマティーニ飲んだらクっさァ!!え?地獄??シょっパぁ!!いしクッサぁ!!いんだけど??

自分の息がアルコール臭すぎてスーハスーハーしてるけど舌ベロずっとしょっぱくて唾液ダラダラでてくるしやばい。臭さとしょっぱさのダブルアタック!しかも持続ダメージの状態異常。やばい!味覚と嗅覚奪われたんだけど!?しかもしょっぱいからはやく何か液体で口の中流して洗浄したい、だけど持ってる液体はアルコール臭ッせぇマティーニしかない。ナニコレ?そして酒臭ッせぇのを紛らわすためにツマミにオリーブ食べてもしょっぱ過ぎて舌ベロイカれる。なにこれ?自分で自分を追い込むデススパイラル!!塩ォッ!!腹カァーッ!!臭ァッッ!!をゲロ吐くまで続けさせられる!なにこれ?毒を毒で中和させる拷問では??どちらを選んでも苦しみしかない!イカれてんだろマティーニ!あクッサオア!!

 

わしがヒーヒー言いながらオリーブとマティーニと戦っていると、それを見かねたバロさんが「ズッキー大変だったら俺が飲んであげるよ。」って助けてくれた。まじイケメン。秒で渡した。なにがアンチョビだよ。ここにアンチョビ入ってたら一体どんだけしょっぱくなっちまうんだよ。しかも魚臭さもプラスされてさらに狂ったフレーバーになりそうじゃん??どうなってんの?え?まじで頭マティーニじゃん!こわァッ!!

 

悔しかった...

これほどまでにわしとマティーニの距離は離れているのか...

わしがマティーニを飲める日は来るのだろうか...

悔しかった...

酒を嗜むことができぬまま、ただ老いていくことが...

血を巡る心地よさに身を任せられないことが...

 

わしがReマティーニの敗北を噛み締めていると、なにやら哀しい目をした組長がやってきた...。

 

「"身"が…なんにもありませんでした…」

 

わしがあげたゴキブリの羽を悔しそうに返却する組長...

 

えぇっ!!?

食べたかったのォ!!?

 

「えっ、、組長、、、ごめんなさい、、、"殻"くださいって言ってませんでした???」

「言ってたwww言ってたwww僕もそうきこえた!!」

ゆらDがフォローしてくれた!

 

ひぇー!組長すみませんんんん!!!

 

あわてて身の入ったゴキブリを組長の皿に山盛りにして返す。

満足げに立ち去りゴキブリを貪る組長...。

 

組長って、もしかしたら結構大食いなのかもしれない...。

今回のキャンプで、謎多き組長の生態がまた一つ分かった気がする。

 

そして突然鳴りだすギャルのスマホ…

奥さんからの電話らしい。

心なしか、先程まで威勢の良かったギャルがスンッ…と静まるのを感じる。

 

しかもなんとテレビ通話だ!

 

クロ嫁「いつもクロサワがお世話になってます~」

一同「あ、ど~も~」

 

ギャルが画面をこちらに向けると、キレイな奥さんが朗らかに挨拶してくれた。

なんて社交的なんだ!流石ギャルの妻。

 

ギャルめ…ラブラブじゃねーか!!

さっきコイツ米で自分のちんちん造ってましたよ!とかバラしてやろうかと思った。

コレがそのちんちんなんですけど奥さん的にどうですか?合ってますか??って聞いてやろうかと思った。

でもなんやギャルの覇気が急に無くなってたからやめてあげた。

しかし自称17歳女子高生の髭面に、本当にキレイな奥さんがいた事実に戸惑った。

この世は不思議で一杯だ…

 

ギャル「はい…こんな感じだから…なんか電波悪いし、じゃあ、忙しいから…またね。」

クロ嫁「バイバーイ」

 

こんなネットで知り合ったどこの馬の骨とも知れぬ変態6人にまでわざわざ挨拶をしてくれるなんて、なんてできた奥さんなんだ。いやはやまったく…

 

 …ッ!!?

まてよ…これは…牽制!!?

あくまでも「ギャルは"私のモノ"」だと。「お前ら手を出したらわかってるな?」と。

これは…愛!!!

ギャルがネカマをしているからか、はたまた我々が変態だから、ギャルのケツ穴を心配しての安否確認兼ケダモノ達への威嚇…!!

豪胆!そして深き愛!!流石ギャルの妻!!なんてぇ肝っタマだ!

 

そうこうしていると、きりちんぽが出来上がった。

ぐつぐつと煮える鍋の中美味しそうな野菜の中に、切り刻まれたわしのちんぽが浮いていた...。

あぁ、ビンビン丸…お前はよく戦ったよ...。

ねぎらいの言葉をかけながらアツアツのちんぽを口に運ぶ...。

 

う、美味い…!!

 美味すぎる!!!

 美味すぎるぞきりちんぽ!!!

 

どうだ!?みんなァ!?わしのチンポの味はァッ!!??

 

めっちゃ染みる!

炭焼きの香ばしさ!!

ホクホクもちもちの触感の中にお米の絶妙な粒感!!

 

腹ペコ組長もバクバクとわしのチンポにむしゃぶりついていた。

 

そして、第二、第三のちんぽを煮るためにお鍋のクールタイムが挟まる。

きりちんぽを焼いている炭の中では焼き芋がイイ感じに育っていた。

甘党のゆらDのためにわしが仕込んでおいたのだが、それはなんか学校から帰ってきた小学生みたいなテンションのんぺとギャルに発見されてそのまま食べられていた。調子に乗ってまるまる1個食べようとしたギャルは途中で「ちょ、無理…これ食べきれないから誰か食べて…」とか泣き入れてた。気持ちは小学生でも胃袋はおっさんの哀しき少女(17歳)だった…。矛盾の固まり過ぎてもはや存在がよくわからない。

しかし、ここで先程、温泉でギャルがダウンしていた理由に合点がいった。

 おそらくギャルはこの世の理を無視し過ぎているが故に、常に相反する属性に引っ張られ続けているのだ…そこへ、ギャルの身でありながら己のちんちんをさらけ出したことにより、矛と盾、"ちん"と"まん"による矛盾の均衡が崩れてしまい、心と体が引き千切られてぶっ倒れてしまったのではないか…?

おそらく熱せられたことでギャルを構成する各属性の分子の動きが活発になり、分裂と衝突を繰り返すうちに臨界点を迎え"ニュークリア・おっさん"になりかけてしまったのだと思う。危うくギャルの体はバラバラに崩壊してしまうところだった…。まるで爆弾。危うくも儚げなおっさん。彼を安定化させるにはもはや酒を飲ませるしかない…。

マルチな変態であるが故の不安定さの中、バランスをとるためには酩酊しているぐらいが丁度良いのかもしれない…。

ちなみに、ギャルの残した焼き芋は、蛇のように現れた組長がしゅるりと貰っていった。

 

次のきりちんぽが出来上がる。

今。口にしているものがだれのちんぽなのかはもう分からない。ただ、その温かさを噛み締め、皆で分かち合うだけである。

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焚き火を囲み、輪になって鍋をつつく我々に、ギャルがある議題を投げかける。

それは、

 

「ちんちんは飼えるのか?」

 

という内容だった。

 

にぶにぶ會のディスコードでは、おそらく餌はキャベツだろう。というところまでは見解が一致していたが、ギャルは改めてこの場にいる変態達の意を問おうというらしい…

 

「鳴き声は?」

「ぴゅるるるる?」

「じゃあ1回しか鳴けないじゃんwww」

「え?まさかおまえのちんちん1日1回しか鳴けないの??」

「バカ言え!!本気出せば…3回は鳴けるわッ!」

 

「私のはこの前4回鳴きましたね…」

 

「「「「おぉ~~~~…...!!」」」」

 

「4回…、4回かぁ...(ゴクリ)」

「4はちょっとぉ…」

「んー…さん…3回かなぁ~…」

 

「そういえばちんちんの値段っていくらぐらいなんでしたっけ?」

「ぉう、その辺は確か団長が詳しいんだよぉ!」

「たしか"タマツキ"と"タマナシ"で値段が違うんですよね?」

「種類があるんだwwww」

「ええ。えっと、"タマツキ"の方が…すこし高級ですね。800円くらいです。」

「おぉ~」

「それで"タマナシ"の方は600円ぐらいですね。確か」

「お祭りで売ってそうwwww」

「"タマツキ"の方が闘争心が強く、"おちんぽ相撲"などで良い成績を残すのがこの品種ですね。反対に"タマナシ"の方は、やや引っ込み思案で争いを好まない個体がおおいですね。」

「…もっと詳しく説明すると、そこからさらに"ズルムケ"と"カワカムリ"に分類されます。我が国の在来種はほとんどが"カワカムリ"です。"ズルムケ"はほぼ外来種ですが、稀に国産の"ズルムケ"が確認されており、それらは非常に高値で取引されています。」

「どの辺に生息してるんですか?」

「でっかい石の裏とかに結構いますね。」

「それは幼体ですか?」

「えぇ。まだ"稚ん稚ん"ですね。」

「個人で飼って繁殖とかできるんですか?」

 

「それがちんちんだけでは生殖できないんですよねぇ…」

 

「「「「あぁー…」」」」

 

「あ、きりちんぽできた。」

 

結果、ちんちんは飼えるし、なんならお祭りで買えるというところに我々の議論は落ち着いたのだった。

 

 

ひと段落したところで、クーラーボックスから何かを取り出すバローロ。

見ると嬉しそうにパックの牛乳を掲げている。

 

バロ 「牛乳買ってきたよ!!」

 

ギャル「え、牛乳いるぅ…?」

バロ 「あ?」

 

ギャル「?」

バロ 「朝は牛乳だろうがァッッ!!!」

 

突然キレだした…!

牛乳が地雷の人初めて見た。

その形相たるや般若の如し、もはや舌打ちで人殺せそうだった…。

これにはギャルもたじたじ、返す言葉も見つからないらしく俯いてヒクヒクしている。

 

バロ 「じゃあお前絶対明日牛乳飲むなよ!??」

わし 「そうだ!そうだ!」

ギャル「・・・・・」

 

バロ 「絶対だかんな!!」

わし 「マジ信じらんない!!」

ギャル「・・・・・」

 

バロ 「っざけんなよ...!」

わし 「二度とそんなこと言わないで!二度と!!」

ギャル「・・・・・」

 

バロ 「返事はァッ!??」

わし 「聞いてんのかタコォッ!!?」

ギャル「・・・・悪かったっす・・・」

 

怖かった…怖すぎて思わずわしも便乗してギャルをボコボコにしてしまった。超気持ちよかった。

マジでわしが何言っても許されるぐらいバロさんがギャルを制してた。超気持ちよかった。

朝は牛乳な男バローロ!気をつけよ…!危なく「わし牛乳嫌い」とか言うところだった…「大人になって牛乳飲むことある??」とか言いそうになってた。「え?牛乳って加工食品の原料であって、飲み物じゃないよね???」とか言そうになってた。やばかった。舌打ちで鼓膜割られて首の骨折られるところだった...。

わしは小学校の給食で出る牛乳も嫌いだった…キンキンに冷えていないと乳臭くて飲めなかった…。うんこまみれの汚い牛のケツや涎まみれ口元、ブンブンハエが飛び回る中、産毛の生えた水風船みたいな乳袋からビシャァッーーッ!!って出てきて泡立ってる牛乳が生理的に受け付けなかった。牛乳の動物っぽい乳臭さが、それらを否応なく連想させるのだ。キメェ!!大体なんで平然と異種族の乳が飲めるんだ??おかしいだろ!!なんで生き物から出てきた液体をそのままダイレクトにゴクゴクできる?!せめて加工してから口に入れさせろや!キメェ!!サービスエリアで食べるソフトクリームが乳臭い時とかまじで最悪だった。わしの旅を台無しにするんじゃねぇ!と怒鳴りつけたくなった。牛乳じゃなくてソフトクリームを食いに来てんだよ。最近のソフトクリームはなんでわざわざ牛乳に寄せてくるんだ?いい加減にしろよマジで、じゃあもう牛乳飲んでろよお前ら...。わざわざ氷菓にまでしゃしゃり出てくんなよ…チーズとかバターとかクリームとかシチューとかいろいろあんだろがそっちいけやマジで。"濃厚"とか書くな気持ちりぃ!存在を消せ!慎め!原料の分際でいちいち主張してくるんじゃねぇ!ケチャップがいちいちトマト押してくるか??マックのポテト食ってるときにジャガイモの話されるぐらいどーでもいいわ!それぐらいどうでもよくあれ!このクソ動物性タンパク質が!!お前はもうこのお菓子の着色料の原材料は実はアマゾンに棲んでるキッショイ虫でしたぁ~ぐらいのレベルで存在感を消せ!あ、でもカフェラテの時は許す!カフェラテはまじでありがとう!牛乳さん頑張って!!マジ感謝!そこだけは許す!まじ感謝!

 

そうこうしているうちにクリスペのギルドリーグが始まっていた。

あわてて潜り出すギャル。

団長も潜り始めた。

わしはパンの準備を始めた。

組長は...なんと寝ていた…。椅子に座ったまま微動だにしない組長。

無理もない…限界などとうに超えていたのだ...!!

丸二日睡眠をとっていない中で、ギリギリのところで睡魔と戦いながらパンチラを凝視することに全エネルギーを捧げ、そこで目に焼き付けたパンチラを糧にいままで動いていたのだ!!むしろよくここまで活動できていたものだと称えるしかない!

風邪を引いてはいけないという事で速やかにテントの中へ誘導される。

漢の中の漢!シオン!ここに眠る!!!

 

 

 

夜も深まってきたので(まだ21時)満を持してパンの材料を並べ始めると

 

んぺ「パン...やります?」

わし「え?もちろんやりますけど?」

んぺ「できます?」

わし「笑止。インターネットに不可能は無い!」

んぺ「いや今日気温低いし、パンが発酵できるのかなって…」

ゆらD「確かにwww」

わし「発酵?そんなもん掌から伝わる愛の力で自ずと促されるもんよ!これだから素人は…」

んぺ・ゆらD「いや無理でしょ。」

わし「」

 

 

なんとここに来て、んぺが日和りだした…!

 

 

なんかいい感じにくつろいでて動きたくない感が溢れ出てる。

えーっ無理っしょぉ…みたいな感じにマックでだべってるJKみたいに気だるそうな反応…

これだから唯我独尊系の裸歯インテリは…!

 

そしてなによりも予想外なのはゆらDだ…!

この土壇場で裏切り!ブルータスお前もか…!!わしの心の中のカエサルがそう叫んでる。わしのローマが燃えている。わしの心がもうポンペイ。

前回、オロカの執拗な襲撃に耐えながらも共に愛を捏ね回した旧友の裏切りはあまりにも衝撃的だった…

臆したかッ!?

ゆらD!!

くそッ…どうしてだよ!?ゆらD!!

くそッ…なにが"D"だよ!?Dの一族の風上にも置けねぇ。お前もう船降りろ。海賊王にはわしがなる!!

 

今の変態海賊団の戦力をざっと分析するとこうだ…

 

 

 組長は就寝!

 ギャル、バロ、団長はギルドリーグ!

 残されたインテリ共は否定的!

 

え?わし…1人??

 

 か、関係ねぇッ!!

 既にラフテルへのログポースはわしの手の中だ!!インターネッツで黙らせる!!

 

オラァッ!!

 

スマホを取り出し「パン 作り方」と検索!そしてわしは声高にラフテルへの航路を確認し読み上げた…!!

 

 「えーと、混ぜて、捏ねて、発酵させて、焼くと…。簡単だなァ!!…ん?イースト菌を発酵させるには30℃〜40℃の環境が必要となります??」

 

30℃〜40℃…?

 

現在の気温は10℃を下回る位だろうか…?

 

んぺ「今日の気温これから1℃まで下がりますよwww」

ゆらD「負け確じゃん!!wwww」

 

うるせぇ!!だからどうした!?

温度?なんだそれ?関係ねぇ!パンに重要なの愛!そこに愛があるかどうか!!

一生懸命愛を注げば、パンだってきっと温まる!あったけぇ気持ちになるんだよ!!

負け確だと?わしは勝つ!!そんな言葉はこのわしの"愛"を見てから言え!!

いや、見たよな?お前は前回その目でこのわしの愛を目にしていたよなあァ!!?その上で今回のパンも「負け確」と申すか!!?

ゆらDィィイ!!!!?

この裏切り者がァ!!

 

ユダめ!お前なんてもう"ゆらD"じゃない!"ゆD"だ!!このユD!!

"裏切りのユD"!!

懸賞金30,000,000ベリー!!

 

そうか、わかったぞ!!

 察するに、んぺはおそらくアンブレラ社で働く化学に魂を売った非人道的合理主義者…!!

ゆらDもまた超論理的思考の合理主義者…!!

 

このインテリ共は"温度"とやらが足りないせいでイースト菌の発酵は成し得ないとハナから諦めているのである!!

成功の見込めない事に労を費やすのは"無駄"であると…!!はじめから決めつけ、チャレンジを放棄している!!クソが!この合理主義の犬どもめ!つまらぬ!この最適化マシーンめ!これだから理系は!!!

雪が溶けたら何になる?って聞かれたら、こいつらは必ず「水」って答える。は?つまんな!!雪が解けたら「春」だろうが!!

雷が起きる理由を聞くと、「電荷」のせいだと答える。はぁ?まじ異教徒!どう考えても「神の怒り」だろうが!!万物の声を聞け、生に根ざした感覚をもて!!

人が歩いた後にできるモノを問えば「足跡」とか言う。はぁー、まじド近眼!!人の後にできるのは「道」だろうが!!いまからわしがその"道"を作る!だからしっかり見ておけモヤシ共!貴様らが臆して進むことの出来なかった「道」をなァ!!

きっとこいつらは誕生日にはプレゼントではなく現金を渡し、アダルトビデオの冒頭部分はスキップしている!!小銭の支払いはいちいち数えずに財布ひっくり返して支払機に全小銭ぶち込むし、そもそも電子決済がない店には立ち寄らない習性がある。

もういい、もうお前らはずっとそうやって小便の飛び散りにくいちんちんの角度やら音の聞こえにくい屁のこき方やらの計算と研究をしていろ!そして電車の乗り換え手順や電子マネーのポイント決済の最適化をただ繰り返していろ!!

 

わし「もういい!わし1人でも決行する!!愛の力をとくと知れ!!化学に魂を売り渡した化け者…このバケモノめ!」

 

ゆD「いやぁ…できるかなぁ…??」

 

わし「意味がわからん。何一つわしが負ける理由にはならん…!なに?30℃〜40℃?その温度じゃないと発酵しない?なんだそれ??そんなん一体誰が決めたんだよ!?言ってみろォッ!!」

 

んぺ「イースト菌だよォッ!!!!」

 

わし「」

 

んぺ「そもそも料理って化学なんですわ、分量とか温度とか時間とか…」

 

わし「そもそもその"温度"ってやつがよくわかんないんですわ…なに?それ?アツいとかサムいとかそういう感じのアレ?」

 

んぺ(なんだこいつ…)

 

わし「つまり"愛"があるかないかって話だよね?愛がたくさんあれば温かいもんね?ね?そういうことよね?つまり愛を」

 

 ギャル「ねぇ、なんかいろいろ言ってるけどさ、よくわかんないけど、なんか聞いてる感じじじいが勝つのめっちゃ難そうなんだけどお前何と戦ってんの?」

 

わし「"化学"とだよォッ!!!!」

 

ギャル(なんだこいつ…)

 

わし「とにかく、やめてくれるかなぁ?その"温度"とかいう非気持的概念持ち込むの…そうやってなんでも数値化して、窮屈でしかたないよ。こっちはね?愛と気合いで生きてんのよ?」

 

ゆD(なんだこいつ…)

 

わし「だからね?その…なんて言ったっけ?"温…度"?そのよくわかんない奴のせいでね?パンが膨らまないとかありえな」

 

バローロ「だァああッ!!ックショー!!あーつまんね!つまんね!クリスペつまんねぇ!!もうやんねぇ!!!もう引退!ハイ引退!!!!」

 

一同(なんだこいつ…)

 

バローロ「おっ、パン始めるの??やる?やる?」

 

わし(なんだこいつ…)

 

わしらが口論をしている最中に、丁度コロシアムでボコボコにされ終わったバローロさんが手伝ってくれるみたいだった。

ありがてぇ!!

愛を知らない哀しき土人共にラブを注入してやりましょう!!!!

 

わしはインターネットから神の言葉を読み上げながらボウルの中に材料を入れていく…この時のために前回の失敗を活かして強力粉対応型計量カップを用意していた!万全の状態!!もはや一分の隙もなし!!勝った!!

しかし…ここで予想外の問題に直面する…!

 

 砂糖…15g?

 

15g…?

 

わしは、計量スプーンを忘れていた…。

そして、計量カップで計れるのは50g〜だ…。

 

くっ、またフィーリングか!?

 

天を仰いでいたらなんとここで思わぬ助っ人が現れる!

 

 「15g?任せて任せて!」

 

自信満々に砂糖を計り出すバローロ!

計量カップに入れた砂糖をファサァッっと何度も振ることで、その重さから量を割り出しているようだった。

 

 「え?バロさんわかるんですか15g!?」

 

 「毎日子供のミルクで計ってますから余裕です!!」

 

 オォーゥ!!ダァディ!!クール!!!!

 

流石バロさん!イクメン!イケメン!抱いて!!その逞しい腕で赤ちゃんだけじゃなくわしも抱いて!!

 

 この土壇場でファンプレー!!

 歩く15g測定器!バローロ!!

 

日々の育児でその手に染み付いた15gの超感覚!!は疑うべくもない!誉高き15g!!

 

もはやこのパンはわしとバロさんとバロベビィの集大成!!!

 

わしを救ったバロさんは、今度は皆の寝具をテントに用意してきますね!と言って寝袋を持たぬ初心者キャンパー達を救いに行った…眩しい…あなたは光だ。バロさん。

 

 すると次の工程でまたもや難題にぶち当たる…

 

 無塩バター…15g…

 

わしの買ったバターは5gごとに切れ目が入っているタイプではなかった…

 

やんぬるかな…

 

神はどうしてこうもわしに試練を与え続けるのだッ!?

 

バターの15gが全くイメージできないわしは、ダメ元で再びあの男に助けを求める…

15gの男。バローロに!!

 

 「バロさん困ったァ!!また15gだァ!!」

 

 「え?バター?オッケ任せて!」

 

!??

え、まさかバターも行けるクチなの!?

 

さすがバローロ!頼もしすぎる!!

さすが歩く15g測定器!!バローロ!!

ナンバーワン15グラマー!!バローロ!!

 

 「えっと、5gがたぶんこれくらいだから〜…」

 

 入念にイメージを繰り返し15g相当のバターを割り出すバローロ…

 

 「え?マジでわかんの?適当じゃなくて???」

 

 ギャルが信じられないと言う様子で突っ込む。

 

 「わかるよ、俺、管理栄養士の資格もってるし」

 

 ッ!!?!

 

ちょ、管理栄養士ィ!??

 

何者だバローロォ!?

軍人だと思ってたらシェフだった!?

いや待て、するとこの状況…

 

勝ち確では???

愛に溢れるわしと管理栄養士の資格を持つバロさんがいる…!!

 

勝ち確では!???

 

フハハハ!!天は我に味方した!!

これでもうパンができないわけが無い!!

 

はっはァー!見たか!化学至上主義のインテリ共め!!わしの愛を食らえ!!

こっちにほ調理師免許がついとるんじゃあ!もはやパンは焼けたも同然!!さぁ、わかったらジャムの種類でも選んでおけ。そしてわしのために勝利のコーヒーを入れる準備をしておくんだな!!

 

 

そして次の工程…

 

 塩…4g…

 

 4…?

 

やばい、15gじゃないぞ…?

しかもちょっと中途半端な数字だ…

 

 「バロさん…これ…行けたりする…?」

 

 「イける♡」

 

まぁっじっでぇ!!?

 

即答するバローロ!

手のひらの上に塩を広げて4gを割り出すバローロ!!

 

もはや15gの男ではない!

歩く計量スプーン!バローロ!!

1g単位で計れる超感覚!!もう完全に栄養管理してる!!マーベラス!!グラムの魔術師!もうこれは2023年グラミー賞受賞!!バローロ!!!スゲェ!!

 

すげぇよ!バロさん!!

わしは勝利を確信した。あとは捏ねて焼くだけだ!!

 

しかし、ここでどうしても胸に引っかかる疑問が生まれた…。

 頭の中をその疑問が埋め尽くす…。

 

 "無塩"バターを入れておきながら、どうしてあとからわざわざ塩を入れる…?

 

それってもはや"有塩"バターなのでは??

 

何だこの回りくどい工程は?なんの意味がある?しかも読み進めるとこの後"有塩"バターを使うことにもなっている…!

 

 は?

 

 じゃあ結局有塩バターじゃねえか!!!

 

なんのためにわざわざバターを2種類も用意させるんだ?おかしいだろ!?

 

 「ちょっとこの説明おかしいって!!」

 

この理不尽で意味不明な矛盾を声高に訴えたが、なんとここにいる変態達の中で誰1人わしに賛同する者はいなかった…

 

 (なにいってんだこいつ…?)みたいな目でわしを見るだけで、場は静寂に包まれている…

 

 頭がどうにかなりそうだった…

 

おかしい、どうして皆黙ってこの不条理を見過ごすことが出来る!?絶対におかしいだろ!?こいつら全員既にバター星人にアブダクションされて洗脳を受けてるのか??

その後もどんなにわしが有塩バターと無塩バターに対する異常さを説いても、耳を傾ける者はいなかった…

 

怖かった…あまりの恐怖に、わしはバターの話をやめてパン作りに戻ることにした…

あのまま続けていたら、奴らに監禁されて頭バターにされる気配を感じたからだ…。

引き際を誤ればバター…。ここらが潮時だと判断する。

 

バロさんの完璧な計量の結果、今回の生地は全くネチャッてなかった…!感動した!

前回パン生地に手を突っ込んだ時一一まるで深淵に飲み込まれていくかのようなあの絶望感は微塵も感じられなかった…!!

初めからパンなのだ!!

わしは意気揚々とパン生地を捏ね愛を注ぎ込んだ…。

捏ねて捏ねて、捏ね倒すッッ!!

 

んぺ「そういえば、パンってなんのために捏ねるんですかね?」

 

わし「愚問ですね。」

 

んぺ「?」

 

わし「愛を込めるために決まってるじゃないですか!!(ドヤァ...)

 

んぺ「ちょっと黙っててください」

 

わし「わかんないんですか??これが本当の"ケミステリー"つってね!!(ドヤァ...)

 

んぺ「いいから黙れ」

 

ゆD「グルテンの結びつきを強化することでパンが膨らみやすくなるみたいですね」

 

んぺ「へーなるほど~!!」

 

わし「な?せやから言うたやん。愛で強く結ばれるってことy」

 

んぺ「うるせぇ!!!」

 

なんかインテリ教徒どもがわけのわからぬ講釈を垂れていたが関係ねぇ...。

要は、「愛」!!

万物は全て愛で動き、愛で成っている。

これが世の理だ。

とにかくわしはこのままひたすらにパンを捏ね、愛を注ぐだけだ。

 

それを見ていたギャルが泥酔しながら唐突にワケ知り顔でアドバイスをしてくる。

 

「こう、引っ張ってな、薄い膜ができたらOKなんだよォ。」

 

何だコイツ…

実はパンに詳しいのか?

生半可な覚悟でわしに意見するようならその髭ぶち抜くぞ?

 

とりあえずわしは言われたとおりに、パンを顔前に掲げ、ギャルの方を向いて、いないいないばぁの如く両の手でパンを広げてみた。

 

ミチィミチィ…

 

ブツリブツリと切れ始めるパン。

無残にも千切れゆくパンの向こう側に、真剣なギャルの髭面が現れる...。

 

「あーダメダメ!全然ダメ!こォ…向こうが見えるくらい薄い膜がよォ…できたらオッケー何だよォ。」

 

なるほど、言いたいことは分かった。途中で千切れず、膜ができるぐらいの弾力と粘性が必要なわけだ。そこに至るまでひたすらパンを捏ね続けろと...。

至極真っ当なアドバイスに聞こえた。

しかし、なぜギャルがこのような知識を持っているのか不思議だ。ギャルの癖に。

この知識の出所はどこだ?本当に信ずるに値するアドバイスなのだろうか?

眼前に佇む『自分をギャルと偽る自称17歳の髭面の酔っ払ったおっさん』の言う事を素直に信じられるだろうか?

 

否。

 

全て鵜吞みにするのは危険だ…。

さもなくばわしのパンが奴のようなキメラと化してしまう恐れがある...。

信用に値する情報か、確かめる必要がある。ここはひとつ、探りを入れるべきだ…。

 

「ほ〜ん?…やけに詳しいじゃん。お前、高校は何部だった…?」

 

「パン部」

 

ッ!!?

 

「ふ、ふーん…実績はあんのか?」

 

「県大会優勝ォ」

 

ッッ!!!???

 

 

け、結構な実力者じゃねぇか…

しかもフランスパンの形したトロフィーを貰ったとか言ってる...。

う、疑って悪かったよ…ギャル。

 

「す、すげぇじゃんか…わかったよ、あんたの言うことに従うよ…。」

「おう、しっかり捏ねろや。」

 

そこからわしはギャルの教えに愚直に従い、ひたすらにパンを捏ねた。

ギャルの前で顔前にパンを掲げては、いないいないばぁ☆を繰り返した。ギャルの髭面が直視できてしまったらアウト…パンを通さずに目を合わせたら最後、自分も見た目や年齢を偽るインターネットモンスターへと化してしまいかねない危険な工程だった...。幾度となく魔に墜ちかけながらも、いないいないばぁ☆を繰り返すうち、次第にパンは柔らかく変化していった…。

 

「おっけ!いんじゃね??」

 

ついに、ギャルのお許しが出た...!!

 

よし!やっと捏ねる作業も終えることができた!

しかもここまでは県大会優勝経験を持つギャルのお墨付きだ!!いける!!!

 

次の工程は…

 

インターネッツ「ボウルにラップをした状態でパンを寝かせて、イースト菌を醗酵させます。」

 

きたか!醗酵タイム!!

しかし、わしはここで大きなミスに気付く...。

 

 

ラップを忘れた...。

 

どうしよう?

 

醗酵の温度?

...温度?

 

なにそれ?

 

ラップ。

とにかくラップだ。

ラップを何とかせねばならない。

 

わしは何かラップの代わりとなるものを探してふらふらとテーブルの周りをうろつき始めた。

 

無い…。

 

アルミホイルで挑戦してみたが、ボウルに張り付かない上に引っ張るとどんどん裂けてしまった…。

 

まさか...こんな所でわし達の冒険は終わらないはずだ…!!

 

絶望的状況に半ば放心気味のわしを見て笑いだす化学者と論理思考者のインテリ共…

 

「ここまで来て詰んだwww」

「どうあがいても絶望www」

 

パンの入ったボウルを抱えたまま立ち尽くすわしをみてギャルが声をかける。

 

「どしたん?」

「ラップが…ないの!!!」

 

「…Yo?」

 

おもむろに、ハンドサインをしながら腕を伸ばしだしたギャル…

場の空気が変わるのを感じた…。流石は元パン部...この鬱屈とした空気を打開できるナニかが…これから起きようとしている。そんな気迫をギャルから感じた…。

ギャルの意図に確信が持てぬまま、わしはギャルが見せた微かな光に縋るようにこう返した…。

 

「...、…チェケ…?」

 

「Uh-hu…ッ♪」

 

間髪入れずに返してくるギャル…

完全に理解した。

 

「カモッ♪」

「ウォゥオイッ♪」

「ヒェアー♪」

 

「「チェケラァッッォゥ!!♪♪」」

 

「ラップは無いけどラップはできるぜ!!」

「イエァッ♪思わぬトラップ!インテリシャラップ!!」

「ここで魅せるかギャルの栄光!?体力2以下に出す"眼光"!!」

「イエァッ♪パン部で重ねたこの年数!お邪魔虫には即"エンスウ"!ユーザー黙らすのは工数ッ!!」

「捏ねて伸ばしてひねもす!」(ひねもすッ♪)

「ここで決め手の"ベヒモス"!」「ベヒモスッ♪)

「「お前のソウルに火を灯すッ!!」」

 

キュキュッ♪キュキュワキュワッ♪♪キュキュッッ♪♪

 

「やることパァンパァン!!」「魂バァンバァン!!」

「「今夜も"オセ"オセ"!!パーンリナイトッッ!!」」

 

 

「「ヒェーーー~~~~~ッッアッッ!!!!」」

 

カモッ!イェア!!ッッシェケダーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

事態は何も変わらなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

当然だがギャルのラップがサランラップの代わりとなることはなかった...。

 

わしとギャルのキレキレのライムもノリノリのリリックもパンをボウルの中を密閉状態にすることはできない…

 

 ダメだ…

 何がパン部だよ…

 

わしは再びさまよい始める…

ボウルを抱えたま痴呆症の如く徘徊するわしを見て爆笑するんぺとゆらD…

 

 

なにか…なにか遮蔽物を…パンを外気から隔絶し、密閉できる膜…壁…板…

 

わしは丁度目に入ったバロさんの丸型の木製まな板をおもむろにボウルの上にのせてみる…

 

 ッッ!!!ッこれd

 

ゆD「それひっくり返せばい」

わし「いまわしも同じこと思ってた!!!!」

 

んぺ「なんだこいつ」

 

 

閃いたわしはバロさんの丸型ピザ受けまな板をパンの入ったボウルを上に乗せるとそのまま

 

秘技ッ!!『天地ガエシ!!!』

 

ここしかないというタイミングで魅せる奥義!

オムライスをフライパンからお皿に移すために日々研鑽を重ねてきたわしの奥義が今輝く!

といっても今回はただひっくり返すだけだからなんの技術もいらなかった…正直小学生でもできるだろう…だが、この柔軟な発想こそがもはや奥義であるといっても過言ではない。まさに天地が返るが如く逆転の発想!!斬新な解決策!!日ごろから技を磨き、たゆまぬ努力を続けてきたからこそ至ることができたアンサー!!

 

完璧だ!!ここにきてまた難所をクリアした!!

わしの持てる知識・技術・運、その全てを注ぎ込んで今に至る。

まさにこれまでの全てを賭けたパン、もはやわしの人生の集大成と言っても過言ではない!!

イケる!イケるって!!

 

 (正直、あとから思い返せばこのひっくり返す行為に果たしてなんの意味があったのか甚だ疑問ではあるが、少なくとも当時の場の雰囲気的には、行き詰まった現状を切り開く打開策としてかなり説得力のある行為だった。)

 

準備は整った!!

あとはイースト菌を無事醗酵させるだけだ!!

 

わしは愛を込める…ただひたすらに愛を念じた…。

するとわしの愛が届いたのか、なんとパンの声が聴こえるようになったのだ!!

 

イースト菌達「なんか、寒いよ…寒いよォ」

 

 聴こえる…。そして、わかる…!

パンの気持ちがわかる…!気がする…!!

 

寒い?それはいけない。風邪をひいては大変だ!!すぐに暖かくしてやらねば…!!

 

わかるッ!わかるぞッ!!パンの気持ちが!!

わしの愛も 遂にここまでまきたか!

数式の中にしか解を見出すことが出来ない理系共には到底及ぶことの出来ぬ境地…

作者の気持ちも考えられぬ奴らに、パンの気持ちなど分かろうはずもない…!!

 

"温度"とやらが何かはわからぬ…

だが、イースト菌たちがなんか寒そうにしてるのはわかるッッ!!

わしは『天地ガエシ』したまな板を焚き火台の下へ置いた。

そしてアルミホイルを何枚か切り取ると、パンの入ったボウルを囲むように敷き詰め、その上に炭を置いてやった。

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団長「ズッキーさん、それはなにをやってるんですか?」

わし「これは、えっと、アレ集積装置ですよ。そう、愛!なんかパンがわしの手を離れて寂しそうにしてたので、こうして愛を反射させ続けることで適正な愛度を保つことができるのです!!」

 

これには温度教のインテリ共も唸っていた。

奴らの反応から、この愛集積装置がイースト菌を醗酵させるために効果的だという事はわかった。

 

イケる!!これならイケる!!!完璧だ!!

あとはこのまま明日の朝まで放置でよかろう!やった!やったぞ!!

わしがパンの下準備を終えた喜びに打ち震えている横で、ギャルは寝落ちしていた。

組長と同じように椅子に座ったまま動かなくなっていた…

時刻は23時前...

正直、今日は道中助手席に座り酒を飲み、温泉でロッカーのカギを無くしていただけのギャルが、なぜこんなに疲れていたのかわからないが、そこはせめぎ合うギャルとおっさんの自我のバランスをとることでギャルも消耗しているのだろうということで納得し、そのまま寝かせてやることにした。

 

ギルドリーグもパンの仕込みも終わって、ギャルと組長は寝落ち、キリがいいので今日はここらで皆寝ることにした。

各々寝自宅を済ませた者からテントに入って眠りに付いて行く。

テントの中で「三姉妹の中で付き合うなら誰がいい?」とか「RIA様とデート行くならどこがいい??」とかそんな話で盛り上がるかと思ってたりもしたけど、みんな直ぐに眠ってしまったので、わしは一人優雅に夜空の星を眺めては烏龍茶を飲み、大人の時間を楽しんだ後、トイレに向かったら迷子になって真っ暗なキャンプ場を小一時間彷徨った後。明日のパンの成功を祈って眠りについた…。

 

 

 

———翌朝———

 

むくり、むくりと起床していく変態達…。

特に起床時間は決めていなかったが、前回のドタバタした経験を活かしてバロさんとわしは早めに起床した。

すると気配を察知してか、他の変態達も順々に起きてくる。

 

とりあえず火を起こす。

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気になるパンの発酵具合を確認してみると

 

 

なんか良さそうな雰囲気だった。

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うん、ちょっと大きくなってると思う。うん。

なんか重力で丸が楕円形に伸びただけに感じなくもないけど、

とりあえず"イイ感じ"だと判断した。

大丈夫、わしの愛に狂いはない。

 

前回は黒焦げにしてしまったので、火加減に気を配りながら火にかける。

コーヒーを飲んだり、昨晩のきりちんぽの残りを食べたりしながら体をあたためては、ちょろちょろと使わない道具を片付けたり、湖へ散歩に行ったりしていた。

 

皆が起きてからわりと時間が経ったころに、バロさんが異変に気付く…。

 

「ねぇ…んぺさんが起きてこない。」

 

「ッ!!そういえば!」

「さっきテントの中覗いたんだけど、ピクリとも動いてなかった...。」

「え…?それって...」

「まさか…」

「もう冷たくなってるかも...」

「ちょっと誰か見てきてよ!」

「ヤダ!アタシこわいもん!!」

「んぺさん…(涙)」

 

怖がってだれも死亡確認に行きたがらないので、とりあえずみんなでんぺさんのご冥福をお祈りしてから、忘れることにした。

 

「んぺさん…どうか安らかに…」

「棺には、フリッカ入れるね…」

「あ、データだから無理か…」

「バーンすればいいじゃん。」

「たしかに、NFTってすげぇ~…」

 

そんな風にコーヒータイムを済ませると、パンの焼き加減を確認する。

今回ばかりは失敗は許されない!!

丹精込めて練り切ったわしのパン!どうか上手くいってくれ!!

 

ゆらDから、中を確認する前に一言欲しい。とカメラを向けられたのでこう宣言する。

 

「いいか土人ども!パンはは、温度じゃない。"愛"だ。愛で焼けるんだ!!いまからわしがそれを証明する!!!」

 

わしは成功の確信を持って「ドヤァ~ッ」と言いながらダッチオーブンの蓋を開けた。

そこには

 

 

パンがいた!!!

 

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若干焦げ始めぐらいのいい色をしていた!!!

湧き上がる歓声!!

どうだ!みたか!!これがパンだ!愛の力だ!!!

まいったか!インテリ共ォ!!

いますぐんぺさんに見せつけてわからせてやりたかったが、残念ながら彼はもう死んでいた…。

今この瞬間、彼の死を一番悔やんでいるのはきっとわしだ。

くそ!でもいいんだ。わしのパンの香りはきっと天国まで届く!んぺさん!空の向こうから見てるかい?

わし!パンが焼けたよ!ほら!あとでお墓に持ってくから!食べてみてよ!!

 

感激しながら愛しいパンをつついてみる。

 

ゴッッ!!

 

ゴ??

 

あれ?なんか…なんかちょっと固いかも??

何回か指で強めにつついてみるとゴッ!ゴッ!と鈍い音を立てて指がはじかれてしまい、パンはビクともしなかった...。

んん…?いやまて、きっと「外カリ中ふわ」的な仕上がりなんだろう。そうだ、そうに違いない。

とりあえず完成だ!!!

 

わし「えっと、ちょっと固いけど、とりあえず、なんか串刺してみてよかったらイイらしい。」

ゆらD「"よかった"らイイ!??wwww」

ギャル「いや、俺達その"よさ"がわかんねぇんだよなぁ…」

 

とりあえず串を刺してみる。

 

 

固すぎて刺さらなった…。

 

 

わし「と、とりあえず切ってみよっか?」

 

 

まな板の上にパンを乗せてナイフで切ってみる。

 

ザクッ!

 

感触は悪くない。

 

みると外側が5mmくらい固まっていて、中はしっかりパンだった!!

 

「「「おぉ~~!!」」」

 

でも、最深部が若干しっとりし過ぎてた。若干...。

 

「これは…」

「ちょっとレア目…?」

「若干、ウェッティ…」

 

というわけでもう一回熱を加えることに。

今回も火加減が強すぎたらしい。

ダッチオーブンで加熱するのマジムズイ!!!

 

 

そうこうしてると、バロさんが青ざめた形相で走ってきた。

「ねぇ!ねぇ!ねぇ!ねぇ!」

「え、どうしたん??」

 

「んぺさんの死体が消えてる…!!」

 

「「「「ええッ!!??」」」」

 

「誰かんぺさん見た?」

 

首を振る一同...。

 

もし、んぺさんが目を覚まし、テントから出てきたなら必ず誰かが気付く位置関係となっている。

裏側の出入り口を使っても、トイレや水道に行くなら、皆が活動しているスペースの前が最短ルートとなっているし、誰かしらに挨拶するはずだろう...不可解。なにか常ならむ事が起きている…不穏な空気が流れ出した…。わし達はとんでもない事件や超常現象に巻き込まれているのかもしれない…

 

「え…成仏した?」

「悪魔転生したのかも…」

「んぺゾンビとなって彷徨ってるのかもしれない…」

「エイリアンに攫われたのかも...」

「彼自身が幻だったのかもしれない、イマジナリーんぺ…」

 

ありえない事態に驚愕し顔を見合わせる一同。

すると突然バロさんが大きく眼を開き道を指さして震え始めた。

 

バロ「あ…あ…あぁッ…あ…!!」

 

そこには水色のジャージ上下に身を包む生徒会長風の男の姿が!それは、紛れもない"んぺ"だった。

歩きながらまっすぐとこちらへ向かってくる…!

 

一同に緊張が走る…ッッ!!

んぺさんは...さっき死んだはず…!!

そしてわし達に気づかれずに姿を消した…!!

 

では、今目の前にいる"アレ"は一体何なんだ!!??

 

誰も身動き一つ取らない。声を上げる者もいない。

それぞれが「あれは本当に"んぺ"さんなのか!?」という疑惑と恐怖に縛られて停止していた。

んぺの姿をしたものが徐々にわし達に近づいてくる…

 

今すぐに逃げ出したいのに、足が動かない...!!

高まる緊張!膨らむ恐怖…!

 

ついに、"んぺの姿をしたモノ"が我々の前まで来て足を止めた。

全員が固まったまま"ソレ"を凝視する。

立ち止まり黙ってこちらを見返す"恐怖"。

1秒が永遠に感じられるほどの沈黙が流れる...!!

 

わし「だ、誰だお前はァ!!名を名乗れ!!!!」

 

んぺのようなモノ「うるせぇっ!!!!」

 

「「「「「んぺさんだぁ~!!!」」」」」

 

 

そこにいたのは紛れもないんぺさんだった。

よかった、宇宙語で返事された後触手で貫かれて血ィ吸われるかと思った…。

んぺさん、生きててよかった!

 

どうやら、わしらが気付かないうちに目を覚まし、わしらの目に入らないルートを通って歯磨きと洗顔をしに行っていたらしい…あぁよかった。んぺさんが生きてて本当によかった!!!

 

というわけで、んぺさんの生存を祝してすぐさまわしのパンを見せつけてわからせてやりたかったんだけど、なんかんぺさんがコーヒーにお湯を注ぐのをミスってて盛り上がっていたせいで、なかなか切り込むタイミングがない。くそ!!んぺ!こっちを見ろ!!

はやくんぺさんにパンを見せつけたかった。

パンを見て悔しがる異教徒のインテリ共に「ほらみたことか!」と勝ち誇って、映画サイレントヒルの教祖(クリスタベラ)になり切って「魔女め!!」と狐みたいなハンドサインを突きつけた後火あぶりにしてやりたくて仕方がなかった。

 

「んぺさん!んぺさん!パン!ほら!焼けた!」

 

わちゃわちゃしていて一向にこっちを見ようとしないんぺ...

 

「んぺさんパンできた!ほら見て!!パン!」

 

あからさまにそっぽを向いて聞こえてない振りをするんぺ...

 

わし「んぺェエエエエ!!おい!んぺェエッ!!パンできたって!」

 

んぺ「あー、どっかにコーヒーに合うパン…パンみたいなモノ無いかなぁ~...」

 

わし「んぺェーーー!!!こっちを見ろォーーー!!」

 

五条悟に花御が押し潰される直前の漏斗の如き剣幕でんぺに叫ぶわし。

 

流石にこちらに注目するんぺ。

すかさず2度焼きしたダッチオーブンの蓋を開けるわし!!

 

「ドヤァ~~~~~ッッ!!!」

 

「おー……」

 

「反応薄ッ!!」

 

 

とりあえず温かいうちに切り分けで食べる!

7等分…わしは"ケーキの切れない非行少年たち"なのでゆらDに任せたかった…が、わしが育てたパンなのでここはインテリの手は借りずに最後まで自分でやり切ることにした。

でも、思えばこのパンもわしだけの力で作れたものではなかった…

 

管理栄養士資格持の"バローロ"さんの正確無比な計量技術…

自称パン部である"ギャル"の知恵袋…

温度がどうたらと能書きを垂れる化学信者の"んぺ"の煽り…

インテリ教へと宗旨替えしたロジカルシンカー"ゆD"の裏切り…

"組長"の寝息…

チェキを撮りつつ楽しそうに見守ってくださった"団長"の暖かい目…

 

これら無くして作り上げることはできなかった…

おそらくこの中のどれか1つでも欠けてしまっていたら、きっとここまでたどり着けなかっただろう…。

言うなれば、このパンはわし達変態が混ざり合った結果のケミストリー!

このキャンプの集大成ともいえる七人七色が織り重なった『奇跡のパン』が、見事に焼きあがったのだ!!

 

いざ実食!!!

 

 

美味いッッ!!

 

前回の炭みたいなパンとは比べようもないパン感!!

これは紛れもないパンだ!!

 

成功だ!!!!

 

 

 

ゆらD「ズッキーさん!今んぺさんがなんかすごいイイこと言ってた!!」

 

パンの成功に感動して猿のようにテーブルの周りを跳ねまわっていたわしはんぺさんの貴重な感想を聞き逃していたらしい。

 

わし「え?」

 

んぺ「もう、二度と言いません。」

 

わし「え?何?え?なんて言ったの???」

 

んぺ「もう絶対言わないもーん!!」

 

 

 

本当に言ってくれなかった…!!

 

でもまぁ、聞き逃したんぺさんの言葉は、だいたい想像がつく。

わしが脳内補完した感じだと

 

1.「思ってたよりパンだった。」

2.「まじで温度とか存在してませんでした。ナマ言ってすいませんでした!」

3.「ズッキーさんマジカッケェ、抱いて欲しい!」

 

このどれかしかないと思う。

個人的には95%で3番だと思う。いや98%ぐらいあるかも。

まぁ、2番もかなり有力だと思うけど、ああ見えてんぺさんツンデレだから、心で思っててもきっと直接敗北宣言は口にしないだろうから、照れ隠しの照れ隠しで3番!!間違いないね。確定。

わしはそう思ってる。

パンだけじゃなくてんぺさんにもわしの愛が届いた。間違いない。

 

うん、実に意義のあるパン作りだった!!

 

 

その後は、やきそばを作って無事に計画通りメニューを完遂した。

わしがインターネッツで麺の蒸し時間を調べているとギャルと組長に

「やきそばなんて麺焼いてソースかければ終わりじゃんwww」と茶々を入れられた。

うるせぇ!焼きそば舐めんな!!

 

焼きそばを食べて、鍋に入れることのできなかった予備のきりちんぽを炭火であぶっていると、ちんぽが落ちて灰だらけになってしまったため、残念だがそのまま火にくべて供養することにした。

棒に差した餅を火であぶる…まるでどんど焼きだ。

しかしこのチンポは食べるのではく燃やし尽くされる。そう、どんど焼きで燃やされる達磨や書初めのように...。

 

己が魂ともいえる斬魄刀を火にくべることに対し不満を漏らしていた変態達にわしはこう弁明した。

 

「これはあれだから、ほら、書初めと一緒!」

 

古から続く慣習!誇るべき文化!

願いを込めて文字を書き、その成就や、もっと字が上手になるように祈って作品を燃やす。

わしのつくった、きりちんぽも同じだ。

"雄々しくあれ"そう願いを込めて、多少不格好な形でも、今年はもっと雄々しく、いろいろ上手になってほしい!そう祈りながらきりちんぽを火にくべたのだ。

Content image

 

 

しかし、どうもわしの『カキゾメ』のイントネーションが違った。

わしが「カキゾメ」を「システム」と同じイントネーションで発音するのに対し、皆は「ハキダメ」と同じイントネーションだったのだ!!

 

「え?なにそれ?それじゃあ『〇〇染め』に聞こえるじゃん!染物みたいになっちゃうじゃん!!"染め”じゃなくて"初め"だから!!」

 

と、言い返しても全員が(何いってんだコイツ…)みたいな目をしていて全く響いている様子がない。

 

びっくりした。

頭がどうにかなりそうだった…。

 

世界はこんなにも歪んでいるのかと...!!

「システム」はまさかのわし一人だけ!!

他全員が「掃き溜め」で一致している!!

嘘だろ?

わしがこれまでやってきたカキゾメは一体何だったんだ!?

 

あまりのカルチャーショックに頭がバグってしまい、「わしのきりちんぽを燃やす行為は"書初め"から"どんど焼き"のプロセスになぞらえた行為」だという事を弁明する余地はなく、ただ単純に、己が作りあげた自身のちんちんを燃やす信念無き最低の玉無し野郎で、あげく素っ頓狂なイントネーションで「書初め」と喚き出して話題を逸らす、その内容も意味が分からなければ筋も通っていない、見苦しいことこの上ない耄碌じじいとなってしまった。

(あーはいはい…ごはんはもう食べましたからねー?)そんな空気が一同にに流れているのが分かる。くそ!

しかしカキゾメショックがあまりにも強すぎてわしの頭はもうパニックになっていてどうすることもできなかった…!!

 

するとバロさんがじじいの介護に付き合うつもりはないと言わんばかりに話題を変えた。

 

「あのー、今回ここに来るまでの道中、バロ組内で、『団長さんってもはやいい人過ぎて"花とか愛でてそう"』だよね。ってことで意見が一致したんですけど、どうですか?」

「???」

「こう、団長が歩いてると次々に花が咲き乱れていくんです。そして雌しべが露わになる」

「シシガミ様じゃんwwww」

「そう!そして雄しべは垂れ下がって平伏するのwww」

「歩くだけで植物が受粉していく…」

「団長のフェロモンで春になるwww」

「霧状の精子を散布できるってことですか!?」

「鬼道タイプの斬魄刀じゃんwwww」

 

これにはわしも100%アグリーだった。

 

そもそも団長クラスになれば生殖器という概念すら必要ない気がする。それぐらい高次の魂をお持ちだからだ。もう目を合わせただけで女性が孕んでもおかしくない。だから歩く先々で花が咲き乱れようとも何ら不思議ではない、いや、むしろしっくりくるぐらいだ。

思い返せば、温泉では誰も団長の斬魄刀を目にすることはなかった。だが、つまり"そういう事"なのだ。

形状など不問。おそらく常時開放型の鬼道系斬魄刀の最高峰、意識や概念へ干渉するタイプに違いない。

"そこ"に団長のちんちんがなくとも、世界は既に団長の"ちんちん"で満たされている。この空間、世界が、既に団長の愛に包まれているからだ!なるほど!これが溢れ出るエロスの正体!!!団長の存在をひとたび認知した瞬間から、我々は団長の術へと、団長の世界へと落ちるのだ!!もはや性交など不要!団長が歩けば花が開き、念じれば子を孕む。おそるべし!おそるべし団長!!!

 

このバロさんの投げかけに対し全員の意見が一致した。

おそるべき異能!!

見た目や大きさなど関係ない、大事なのはその"在り方"なのだ!!

団長はそれを示してくれた!!地位や権力、容姿や資本などで争わねば心を満たせない我々醜き人間達に、そういった争いこそが不要だと示してくれたのだ!!

これには脱帽である!!わしのビンビン丸も一皮むけた気がする。そして一回り大きくもなった。これは見た目ではなく、"ココロ"の話だ。

あぁ、素晴らしい…。

 

団長がシシガミクラス、つまり神レベルの愛の持ち主であることに全員が感動していると、いつの間にか日もだいぶ上ってきたので、撤収作業へと移った。

ギャルは「俺なにしたらいい?」と聞いていたのでバロさんが「じゃあ洗い物してきて!」と頼むと「……言わなきゃよかった…」とか言いながらしぶしぶ洗い物しに行ってた。えらい。一緒に付いて行ってあげたバロさんはもっとえらいと思った。

 

なんだかんだ皆で協力し合ったので撤収はすぐに終わった。

それぞれが率先して自分に出来ることをこなしていくので、やはりやんごとなき変態達だと思った。

動きがわからないギャルもテントを畳む時なんかは体を張って、ゴツゴツした地面の上をローリングギャルエア抜きをしてくたので、ギャルが全身打撲する代わりにスムーズにテントをたたむことができた。

「帰りたくね~!」なんて言いながらキャンプ場をチェックアウト。

 

この後はどこか文明のあるところに行きましょう。という流れになり、時間もお昼だったので、ギャルのホームであるサイゼリヤへ行くことになった。

そこでいつしかTwitterでギャルが開催していた「僕が考えた最強のサイゼリヤデッキ」なる大会の優勝メニューを再現してくれるというので、それをテイスティングすることとなった。

 

 

行きと同じく、わしは組長を助手席に乗せていざ出発。

どうやらサイゼリヤも数年振り、それも人生でまだ1回しか行ったことがないという組長。

なんでも、初めて行った時に電子決済が使えずに、文無しだった組長はひどい目にあったらしい。

「それは災難でしたね。チェーン店で現金しか使えないなんてナンセンス!!そんな店はオダギリジョーしか許されませんね!!」

なんて感じに組長の思い出話と下ネタの話をしていたら到着。

 

席に着き、料理を注文し終えると、対面に座っていたんぺさんがおもむろにスマホを取り出して机に置き始めた。

 

3台

 

 

 

え、なんで?

 

まさかッ!!これがWEB3ってこと!?

そうか!そういうことか!!!

くそ!じゃあわしは未だにWEB1.0!?

 

「んぺさんそれ全部んぺさんのスマホですか!?」

「ええ、全部私のです。」

「どうして3台も持ってるんですか!?」

「だって、1台だけだったら、クリスペやりながらTwitterもマイクリもできないじゃないですか!!」

 

ッ!!?

 

き、生粋のゲーマー…!!

これはマルチタスクの"ながら人間"…!!

「時間足りねー」族にしてニュータイプ!!

どれだけ貪欲に世界を楽しもうというのだ!!?

恐るべし!!んぺさんのカレンダーは多分、1日ごとじゃなくて分刻みでできてる。

秒単位でイベントとスケジュール入ってる。やばい。

オルウェイズ電子の世界のどこかの何かに接続されている系のデジタルネイチャー!!

 

さ、さすがWEB3!!もはや新人類!!

おそるべし!おそるべしんぺ!!

 

わしがんぺさんのスマホ3台プレイに小便漏らしてると料理が届いた。

ギャルお勧めのメニューは普通に美味かった。

 

だが青豆だけはいただけなかった。

 

水っぽいグリーンピースの存在価値がわからない。臭いも、歯ごたえも、食感も、全てがBAD!!

どこに需要があるのかわからない…。噛んだ瞬間口の中に芋虫みてぇな臭いが広がりやがる…。

そしてここはなんとわしとんぺさんの意見が一致した!!

やはりパン作りを経て我々はより深き"友"となれたのだ!!青豆の不評に納得のいっていないギャルを尻目にんぺさんとグータッチする。もう、宗派の違いで争うことはない…WEB3とWEB1、インテリと蛮族、主義思想は違えど、わし達はともにちんちんを造り合い、笑い合える仲なのだ…!!

 

その後は、世の中のシュウマイは全てエビシュウマイだと信じて疑っていなかったゆらDの常識を修正した。正直わしの「カキゾメ」並みに意味わからんこと言ってる空気感だったが、みんなゆらDには優しかった。

 

そうこうしているうちにいい時間になったのでお開きに。

みんなでサイゼの看板をバックに記念撮影を取って解散。

Content image

 

「また会いましょう。」とお互いに言い残し、それぞれが来た道を戻り帰路についた。

団長が別れ際に今回のキャンプで撮ったチェキをくれた。家宝にしようと思う。部屋に飾ります!団長ォ!!

 

こうして7人の変態達による記念すべきキャンプは名残惜しくも幕を閉じた。

 

わしは組長を助手席に乗せて駅に送る。

いやー楽しかった!!サイゼも美味しかった!

別れの余韻に浸りながら、組長に人生2度目にして数年ぶりのサイゼの感想を聞いてみると

「トイレの前の洗面所の水圧が強かった。」

とお答えいただいた。

やっぱりこの人はすげぇな!と感服した。

 

帰り道ももちろん下ネタを話しながら帰った。

 

わし「この辺りの街は製紙工場が多いせいで常にちょっと臭いんですよね~。」

組長「精子工場!!?」

わし「違いま…いえ、流石組長。そう、精子工場です!!」

 

きっと大スクリーンにアダルトビデオが流されている工場内を、男たちがベルトコンベアで運ばれながら精子を生産しいくようなシステムに違いないだろう。働き盛りの村の男達は皆出稼ぎに行き、2次元か時間停止モノじゃないと抜けない身体になって帰ってくるんだろうとか仔細に語り合っていると駅に到着した。

 

「さようなら!組長!お気をつけて!」

「おじいちゃんも、またどこかで。」

 

こうして最後の変態に別れを告げ、わしのキャンプは終わった。

 

 

 

...楽しかった。

一泊二日じゃ足りないくらい楽しかった。

めちゃくちゃ楽しかったけど、なんだかんだでバタバタしてて、一人一人とじっくり話す時間がまだまだ欲しかった…。

2日一緒に過ごしたけれど、結局わしはみんなの名前も職業も詳しく知らないままだった。

年齢は聞いたけどすぐ忘れてしまった…。

でも、それがイイんだとも思えるから、面白い。

そんなものは特に重要ではない。打算もしがらみも見栄も肩書も無い。ただ純粋に、同じゲームやコミュニケーションを楽しいと思える友であり、それだけが接点だったからだ。

互いへの純粋な興味と楽しさの共有、それだけを理由にはるばる集まった仲だからだ。

前回のキャンプもそうだったけど、実際顔を合わせて一緒に話したり風呂に入ったりするけれど、終始、お互いハンドルネームで呼び合っていて、仲は深まれど、相手の名前は知らないままというこの不思議な関係や、独特な絆のようなものに、なんとなく尊さを感じた。

そろそろいろいろと肩に乗っかってくる年頃のおっさんたちが、そういう社会的な経歴や属性をとっぱらって少年に戻り、お互いの人間性だけを見て純粋にコミュニケーションを取り合うあの空間が、どこか懐かしくも新鮮で楽しかった。

年齢も職業も生活圏も異なるそれぞれが、直接会って声を交わして姿を見ようとも、それはどこの誰でもない。クリスペの〇〇さん、Twitterの〇〇さんという人間関係をそのままにコミュニケーションを取り、笑い合えていることが、痛快で心地よかった。

もちろん、そこからさらに発展してより深い仲になったり、インターネットの関係を超えて、クリスぺの○○さんからリアルの〇〇さんに変化することも、面白くて素敵なことだと思うし、今後の楽しみでもある。

けれども、少なくともあの日あの夜あの瞬間は、全員がこの距離感を共有していて、あの不思議で心地よい、他にはない時間と空間と感覚が、まだまだオフ会初心者のわしにはとても面白かった…。

わしは名前も知らない男達と共にちんちんを造り合ったし、この前クリスペで対戦した○○さんと一緒に風呂に入った。身元や素性の知れない男達と共に1つのテントで寝泊まりしたし、昨日Twitterで話した○○さんと一緒に飯を食った。この危うくも温かく、奇妙で健全な事実が共存して成立している感覚や、成立し得る関係性に感動した。

 

素晴しい体験だった。

 

田舎に籠って閉鎖的に同じ毎日を消化しているだけの生活では絶対に得ることのできない財産。

インターネッツ万歳。

WEB3万歳。

クリスペ万歳。

 

仕事も家族も居住地も定まった消極的中年にすら、刺激的な体験を、繋がりを、可能性をもたらしてくれるネットゲームに感謝。そしてそれを実現させてくれるクリスペに感謝。そしてなによりもこんなじじいと遊んでくれる変態達に感謝!!!!

まだまだ会ってみたい変態達がたくさんいるし、もっとたくさん話をしたい変態だらけのクリスペは本当に素晴らしい!あんまりプレイできてないけど、これからも頑張ってクリスペにしがみ付いて行こうと思う。

 

というわけで、

第2回クリスぺキャンプも最高だった!!!!

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