(承前)
赤黒ゲームと、その後のトレーナーによる「泣き語り。」
会場を包む号泣。
それでセミナー三日目は終了である。
大阪の江坂にあったライフスペースの会場に遠方から来ている人は近くのホテルに宿泊している。
が、僕は日帰り可能地域に住んでいたので、毎晩、家(当時は実家。結局帰ってきて今と同じ家)に帰っていた。
しかし、この日はあまりに落ち込みが激しかったので、そもそもこのセミナーに勧誘した大学時代の元彼女に電話した。
色々話しているうちに、泊まりに来たら?と彼女が言った。
彼女の家は江坂の会場から僕の自宅より遙かに近く、翌朝のセミナー参加にも便利だった。
彼女の両親(一緒に暮らしている)にも大学時代に会ったことはあり、大学時代の彼氏として認知されている。
互いに今は恋人はいなかった。
僕は気持ちが落ち着かないこともあったし、もっと話したくて、元彼女の家に泊まりに行った。
ふたりで色々話した。
彼女は話を傾聴してくれたが、あまり答のようなものを言わなかった。
何か、僕が重要なポイントになるようなことを質問すると
「セミナーの『中で』やってくださーい」
と言うだけだった。
その台詞と言い方のトーンを僕はわりと鮮明に覚えている。
それはそのセミナーを修了した地点、突き抜けたとも洗脳されたとも言える地点からの言葉だという印象を受けたことを、
その夜の話の具体的内容以上に印象的に覚えている。
同級生だったが、付き合っていた頃はだいたい僕が人生や宗教や哲学や文学の先輩みたいな感じだったのに、
初めて彼女がどこかに先に到達して、そこから僕を見守っている感じがしたからかもしれない。
その夜は別々の部屋に布団を敷いてもらってひとりで寝た。
ちょっと両親とは気まずかったので、二人で近くの喫茶店でモーニングを食べた後、僕はセミナー会場にひとりで出向いた。
遅刻はしなかった。
このセミナーでの遅刻対処についてついでのことながら述べておこう。
遅刻したらトレーナーに「遅刻です。あなたはグランドルールを破りました」と言われる。
するとたいていの人は何か理由を言う。
理由は様々で、日常生活で聞いたとしたら、
単なる言い訳やんと思うようなものも、それは仕方ないなと思えるようなものもある。
しかし、どんな理由であろうと、トレーナーはこれしか言わない。
「あなたはグランドルールを破りましたか?」
またくどくど言い訳する人もいる。
すると繰り返しになる。
「あなたはグランドルールを破りましたか?」
もし最後まで認めなければその時点でセミナー脱落である。
「はい。私はグランドルールを破りました」
そう言うと、席に着くように言われる。
一事が万事、こういう感じであることの一例として遅刻の例を述べた。
グランドルールのすべては覚えていない。
印象的だったので覚えているのは
「発言は手を挙げて指名されてから行う」
「トレーナーの指示に従う」
まだセミナーが始まったばかりで、会場は緊張に包まれ、誰も何も言わずに聞いているこの時点で、僕はすぐに手を挙げた。
「発言をどうぞ」
「もしもトレーナーが人を殺せと言っても僕は従いません」
たぶん、そのときのセミナーで、参加者が発言したのはそれが最初で、僕は一事が万事、そんな感じでいちいち発言を続けていたのだが、あまりにも僕の発言が多いので、フアンとアンチが発生したのである。(;゚ロ゚) 誰や、今も同じやんって言うてるのは!?
「それが何であれ、もしもそれがトレーナーの指示であれば、従わなければグランドルールを破ることになります」
「しかし、人を殺すことはできません。殴ることすらできません」
「それが何であれ、もしもそれがトレーナーの指示であれば、従わなければグランドルールを破ることになります」
僕は意味がわかった。
「わかりました。その場合は僕はグランドルールを破ることになります。僕はそのときは破ります」
「どうぞ、着席してください」
雰囲気が伝わるだろうか?
ほかにも全部で5つぐらいグランドルールがあったと思うが、一番の根本はこの「トレーナーの指示に従う」だったと振り返る。
もうひとつ覚えているのは、後でひとつだけ加わったグランドルールである。
これは、最終日の解散前に加わったルールだ。
このセミナーで初めて出会った男女は3ヶ月間は個人的に会わないこと。
これはちょっと性質が異なるルールで笑える。
それほど、4日目の最後のゲームは、性別を問わず皆を「アルティメットな」愛で結んでしまうのだ。
そのことと恋愛を勘違いすると、何かとんでもない間違いが起こりがちで、問題続出しそうと言うのはわかる。(^0^)
しかし、僕はこのルールを破った。(^0^)(^0^)(^0^)
そしてその人と結婚して、二人の子どもをもうけ、育て、自立させ、離婚した。
しかし、それは別の物語である。
今は4日目のセミナーに話を進めよう。
だが、これでこの記事は一気読みのリミットに近いと思う。
てか、僕がもう一山越えて書くエネルギーを感じなくなった。
次回をお楽しみにね。
またねー。(^0^)
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