メタバースに続き、急速に話題を集めているキーワード「Web3(3.0)」。米国を中心にWeb3関連のスタートアップへの投資が目立ち、日本でもWeb3を視野に入れた企業やサービスが続々と誕生している。2022年1月に米ラスベガスで開催された家電やデジタルの展示会「CES 2022」でも、Web3関連のサービスが目立った。まさにビッグウエーブの到来として、注目を集めている。
「Web3は次世代のインターネット」ともいわれるが、明確な定義は定まっていないという意見が多い。まだ新しい概念であり、また自身が所属する事業領域などバックグラウンドの違いで、定義や方向性は変わってくる。
インターネットが一般に使われるようになったのは、90年代〜2000年代の前半です。当時は、テキストを読んだり、メールをやり取りしたりする「一方通行のインターネット」時代。Webサイトは「ホームページ」と呼ばれていて、情報発信するのもごく一部の人たちだけ。インターネットの接続速度も遅かったため、画像を表示するときには別の作業をして時間を潰すほどでした。電話回線を使ってインターネットにつなぐ「ピーヒョロヒョロ〜」という音が懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか。これがWeb1.0の時代です。
その後、インターネットは「常につながっている状態」になり、その速度も高速化。これにより、高画質な写真や動画も楽しめるようになりました。そして2007年1月には初代iPhoneが発表され、スマートフォンが爆発的に普及。よりインターネットが身近になり、ブログやFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどを通じて誰もが情報発信できるようになりました。これが現在のWeb2.0時代です。
インターネットが生活に欠かせないものになった「Web2.0」時代には、大きな課題があります。それは、Google(Alphabet)、Apple、Facebook(Meta)、Amazonなどに世界中の個人情報が集中することで起こる、プライバシーの問題。そして、個人情報が特定企業のサーバーで集中管理されることにより、サイバー攻撃を受けやすいというセキュリティの問題です。
この課題を解決するのが、「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンは、簡単に言うと「データを書き換えることを非常に困難にした」技術。世界中のコンピューターが分散してデータを管理しているので、不正ができず、突然システムがダウンすることもありません。ビットコインなどのクリプト(仮想通貨)も、2021年に話題となったNFTも、このブロックチェーン技術がベースになっています。
Web2.0の時代では、インターネット上で買い物をしたり、送金したりするときには「銀行」や「クレジットカード会社」「決済代行会社」を経由する必要がありました。そして、国際送金には高額な手数料と時間がかかることが多く、受け取ったお金を自分の国で使うには、銀行から引き出す必要がありました。
これが、Web3.0の時代には、誰もが「世界共通のお金」を瞬時に送り合うことができるようになります(Peer to Peer/P2P/ピア・ツー・ピア)。すでに仮想通貨の取引・送金をしたことがある方、MetaMask(メタマスク)などを使っている方には身近と言える世界です。
これまで、Facebook、Twitter、InstagramなどのWebサービスを使うには、ID・パスワードの登録やログインが必要でした。それぞれのサービスごとにID・パスワードを管理するのは、結構面倒ですよね。そして、各サービスに個人情報を登録して、行動履歴や購買履歴がデータとして残っていくことで、ユーザーの情報は「お金」に換えられていきます。個人情報があれば、広告で儲けることができるからですね。そのため、サービスを提供する事業者(プラットフォーマー)は、より多くのユーザーを囲い込んでいくことに全力を注ぎます。
また、こうした多くのユーザーが集まるプラットフォーム上でサービスを提供するには「手数料」が必要で、この負担が重すぎることも問題になっています(たとえばAppleのアプリ内課金では、最大30%の手数料が徴収されています)。
これに対して、Web3.0時代に普及するのは、ブロックチェーンの技術を使った「分散型アプリケーション(DApps)」です。これは、先に出てきたMetaMask(メタマスク)のようなウォレットを接続するだけで、簡単にサービスを利用できるもの。ウォレットの管理は自己責任であり、サービスと接続する際に注意は必要ですが、これに慣れると「ID・パスワード」でログインするサービスは「面倒だな」と感じるようになるはずです。
Web3.0の大きな特徴は、「 Trustless /トラストレス=信用が不要」ということ。プログラムで動くブロックチェーン技術がベースになっているため、都合の悪いデータを後から消すことも、書き換えることもできないからです。そして、「Verifiablity =検証可能性」があり、インターネット上で誰もがデータを検証できることも特徴です。
※ウォレットの履歴も、アドレスが分かれば誰でも見られるようになっています。