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ワンダーエッグ・プライオリティ 考察【第1-2回】

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  • blank71
  • 2021/01/21 07:42
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第 2 回までの内容で情報を整理して考察していきたいと思う。

ちなみに、ワンダーエッグを紐解くうえで不思議の国のアリスやエジプト神話の理解が必要なようだが、私はそれらについて理解がないのでこれらに基づいて解説したり考察することはできない。

- エッグになる条件

死んでいること。他の条件は不明。南の場合はパワハラ教師が原因で自殺したのがエッグになった原因のように思われる。仮にエッグになる条件が自殺とするならば、クルミがトラウマに対して怯えているようには見えなかったのでトラウマが原因で自殺しているようには思えず、それは否定されるように思える。トラウマの有無は大事な着眼点に思えるが、クルミは敵から逃げていたものの、怯えてはいなかったし、クルミにはトラウマがないように感じた。

- エッグを得て、割ることができる資格

エッグを割ることができるのは、エッグになった人間を助けたいと思っていること。ここにおける”助ける”はエッグを割る人間の自身の後悔を清算する行為であり、エッグの人間がそれを望んでいるか関係ないように思える。

- ミテミヌフリの正体

第 1 回を視聴しているとき、ミテミヌフリはクルミを襲っている敵であり、クルミ自身のトラウマだと考えていた。だが、小さな敵がミテミヌフリであり、斧を持っていた少女はミテミヌフリではなさそうである。というのも、第 2 回で危害を加えず体育館を覗いていたからだ。クルミのトラウマが同級生によるイジメだとすると、外野である傍観者たち、つまりはミテミヌフリが危害を加えてくることもあるだろう。南のトラウマはパワハラ教師であり、パワハラ教師がパワハラをしている最中に傍観者たちが南に危害を加えることはしないだろう。ミテミヌフリは色々なところに偏在している。アイはもうミテミヌフリはしない。

- エッグの対価

エッグを回すにはお金が必要だと作中では言われているが、お金を払う描写はない。お金といっても具体的な金額は明言されていない。自分が救いたいと思う相手を救うことができる権利を買うのにアイが支払えるぐらいのお金が必要というのはなんだか不自然な話で、普通に考えると自分の命や生命力、臓器といったものが対価として必要だと考えるのが自然ではないかと思う。ここはまだ説明がない。ねいるは金持ちだと明言されており、しかも副社長でもあるので、人間の価値が高いと言える。この点でエッグの対価は回す人間の価値なのかもしれない。

- トラウマに勝利する条件

クルミはチャイムがなるまで逃げきればよいと理解しているが、それは逃避でありトラウマと克服/退治するという直接的な解消ではない。先述のようにクルミにはトラウマが存在していない気がする。では斧の敵は何なんだ。チャイムが鳴るまでの逃避によってその回のゲームは終わるかもしれないが、彫刻からの開放の条件を満たさなそうである。また、斧の敵が仮にクルミのトラウマだとして、そのトラウマをクルミが克服するでもなくアイが倒してしまったので、この点で視聴者としては物足りなさが残る。南の場合は、トラウマを南が認識、そして克服し、アイと二人で倒した。これは二人が協力した結果であり、この行為は彫刻からの開放に必要な手順であるように感じる。

- アイの武器

第 2 回の時点でアイの武器はクルミから貰ったボールペンと南の新体操のリボンである。ボールペンは 3 色だが、武器として使うときは 4 色になる。ボールペンは第 1 回で観察すると場面によって色と配置が違う。第 2 回では南のリボンでトラウマを倒したし、第 3 回以降はエッグの人間の所持品がアイの武器になるのだろうか。第 1 回の視聴の時点でボールペンの所在は気になっていたが案の上、アイが所持していた。南が消滅するとき、リボンはアイとは反対側の南の傍らに置いてあったため、アイはリボンを引き継いでいないように思える。ボールペンが剣になるのをみて、キングダムハーツのキーブレードみたいだな、って思った。

- クルミはキーなキャラクター

アイがクルミのエッグをガチャで得たシーンがない。初回はクルミで決まっていたのかもしれない。クルミはエッグの世界に少なからず詳しいようである。アイの使う武器はクルミのボールペンであり、クルミの周回以降もアイはボールペンを使うことができている。このボールペンが何かの封印を解く鍵になるのかもしれない。クルミがエッグになる前、クルミがエッグを割る人間だったときに倒せない敵がいて、それを倒すためにアイに代理させているのかもしれない。クルミはトラウマから逃避はしていたものの、トラウマに怯えているような素振りもないし対峙もしていない。不自然だ。クルミはボールペンと共に食べかけのポテチを残していったが、どっからポテチを持ってきたのだろう。ポテチにも何か意味があるのだろうか。第 1 回を見返したら、アイが自分のかばんに入れていた。第 2 回でアイがねいるに見せているのはキャラメルコーン。どちらも赤。

- 非現実と現実の境界

エッグの割ることができる学校とアカと裏アカのいる地下である非現実、夢の世界。家と病院は現実。非現実と現実の境界が明瞭ではなく見分けることができないシーンがいくつかある。非現実と現実を見分ける一番の差は先生と母、病院の従業員などの今のところエッグに関係のない第三者が描写されていること。

- アイの変化

第 1 回ではアイは殻に籠もっている。ベッドの天蓋は青背景に白のひし形。アイは黄色と青の目のうち青を隠しており、青はすなわちアイの内面を指している。第 1 回終盤で、トンネルに落ちてアイたちのいる地下に潜る。トンネルの柄はベッドの天蓋に似ていて青の背景に白の星でそこを抜けると明るい色のグラデーションになる。アイは自分の青の殻を破り、飛び立つ決意をしたという表現に感じる。第 2 回では、南のエッグを割ってしまうまでは逃げ腰の態度だった。停滞していても苦難はやってくる。アイは調子に乗ってカーテンを巻きつけて、それに引っかかって転んでしまう。殻を破ったけれどまだ飛べない鳥のようだ。まだ鳥として未熟なのだ。南と出会ったあとは小糸を救う決意のもと、南を助けるために奔走する。物語を通して、小糸を助けるために南を守ってあげるという対等ではない立場から、二人で協力してトラウマであるワンダーキラーを倒す対等な立場になった。小糸の彫刻を通してしか南と話すことができなかったアイは、最終的に同じ方向で座り、手を握る対等な立場となった。第 2 回の副題「友達の条件」とはこのことだろうか。ねいるとの関係も、アイがねいるに媚びる態度から対等な同志となった。アイはねいるに強い人という憧れを抱いていたが、ねいるの負傷した姿をみて決して特別な存在ではなく自分と同じであると感じたのだろう。ねいると一緒にジュースを飲むシーンはナックで談笑する友人同士のように微笑ましいと感じると共に、渡したジュースのラベルには「期間限定」の文字がある。ジュースの香りを嗅ぐシーンもあるが、今後の展開で夢での負傷によって臭覚が失われる展開があると思うのは疑心暗鬼すぎるのだろうか。

- アイと小糸

第 1 回において、階段でのアイと小糸の会話に目を向ける。アイは外履き、小糸は上履き。この時点ではアイが上履きを隠されるというイジメを受けていると感じた。第 2 回では、小糸の外履きが捨てられており、アイは外履き、小糸は上履きだった。階段の会話の時点で小糸はイジメられていたのではないかと思われる。小糸が転校してきた段階でイジメの標的はアイから小糸にすぐさま移ったのだろうか。第 1 回において、裸足は重要な着目点だと感じる。自殺をした小糸の裸足は汚れていた。これは自殺時に靴と靴下を脱いだのではなく、裸足にされるというイジメの最中に自殺をしたと読める。アイの家では、アイと小糸は互いに裸足である。小糸は眼鏡を外し、くつろいでアイに素を見せる。小糸はアイの裸足を触る。青い天蓋のベッドに、アイの内面に、踏み込む。同じ裸足で、対等な立場であるとアイに見せつける。第 2 回で、小糸はアイを従えている立場になっている。アイは小糸に謝罪しているが、南がパワハラ教師に謝罪しているのと同じ構図である。

- 先生

先生の姓は沢木であり、青のメインキャラクターの姓も沢木であり、顔の同じ場所にほくろがある。親族なのだろうか。今後の展開に注目だ。第 2 回において先生は「俺、そんなに嫌われちゃったかな」と質問し、アイは「別に嫌ってはいないです」と答える。「それ言っちゃぁ駄目でしょ」と直後にテレビのツッコミが入る。アイと先生と母親の三者面談は位置が歪だ。先生の隣に母親が座るというのは不自然であるし、アイのほうがソファに座っているし立場的にも上だ。嫌われちゃった、というのは以前は嫌われていない、むしろ好かれていた状態からアイに嫌われてしまうような心当たりのある行動を先生がしていると自覚しているように思える。先生とアイの母親は、一般的な教師と母親という関係よりも遥かに親密に感じられるし、小糸がイジメられている原因の一つに先生との関係があるようなので、先生は物語を紐解く上で大事な要素になるだろう。

- 色

作中において、黃-赤-青-緑の 4 色が特徴的に使われている。クルミのボールペンは 3 色だが場面によって色やその色の配置が違っており 4 色が使われている。場面によってボールペンの色はピンクや紫に見える場面があるが、ボールペンがカメラから遠ざかる場合に赤がピンクになっていたので、これらは赤と青であるとして分類している。何か意図が込められているように感じるが私には理解する知識がない。黃-青、赤-緑はそれぞれ対になる補色の関係であり、アイの目の色や剣の色の配置に一致する。剣の色の配置も場面によって変化しているが、黃-青と赤-緑は逆に位置するのは確定であり、敵を殴るときは基本的に青のようである。たぶん黃で殴っているのは第 1 回のクルミのトラウマを倒すシーンの 2 番目のカットだけ。

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エッグの色は 白-赤-青-黃 の 4 種類で、アイは第 1 回では白、第 2 回では赤のエッグを割っている。第 2 回の終わりにアイが得たエッグは青で、おそらく第 3 回は青のエッグを割るのだろう。第 1 回のトンネルをくぐるときの色は赤-黃-緑or水-青-紫であり 5 色。

- 演出

作中には興味深い演出があったので今までに述べていない中で自分が気づいたものを書いていきたいと思う。
  - 地下に入る前に映る観覧車。観覧車はポスターにも描かれているが今のところ大事な要素にはなっていない。輪廻?揺籃?
  - 夢の世界で家から学校に移動するときの鉄筋の矢印。
  - 謎の男性が横切る。正体不明。背丈は高いが若そうで先生ではなさそう。ここに横切る男性を置いた意図が分からない。
  - 百合の花。
  - クルミのトラウマにアイが殴りかかるとき、影は 3 本。
  - 夏は向日葵に青の背景、春は桜に緑の背景。
  - 点字ブロックの行き先は柱によって潰されている。
  - ねいるとアイを隔てるスーツケース。
  - OP のエッグは全て白。無地の白 1 つ、そして黃-赤-青-緑の柄のある白 4 つ、最後に無地の白が 1 個が割れる。

 

以上。情報の整理と考察であった。第 1-2 回の中で私の好きなセリフは
「なんで謝るの。悪いのはあいつらじゃん。」

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