先日から Clubhouse という音声チャットのサービスが日本の Twitter の一部のユーザーの中で注目されているように感じる。
ここで目につくのが、Mastodon との比較だ。
「Mastodon みたいにならないといいねw」
こういう意見が散見される。
「ああこの人たちはバズや人気さでしか価値を測ることができないかわいそうな人たちなんだな」と感じる。
Mastodon の性質からすれば比較対象にするにはあまりにも不自然だ。
Mastodon
- 単一の企業が提供するサービスではない。よって資金調達が必要ない。
- FOSS。
- 文字ベースの交流。
- 誰もが自由に利用できる。
- 誰もがサービスを提供できる。
- クライアントは自由に選べるし、Web でも利用できる。
- 人が儲けるような仕組みは Mastodon 自体にはない。
- 弱者が自分の権利を確立する。
Clubhouse
- 単一の企業が提供するサービス。資金調達が今回の注目の大きなきっかけ。
- プロプライエタリ。
- 音声ベースの交流。
- 招待された人しか今のところは利用できない。
- クライアントは今のところ iOS のみ。Android や Web で利用することができない。
- 強者をさらなる強者へと引き上げる。
簡単に挙げた内容で、二者が全く違う性質を持っていることは明白だ。Clubhouse の凄さを誇張するために、「バズっていないし」という安易な考えのもと Mastodon を冷笑するのはあまりにも考えなしである。思慮に欠けて一方を貶して、一方を褒めるという行為を軽蔑する。バズに、先行者利益にあやかろうと必死に食らいつこうという行為が悪いとは思わないが、私の思想には反しており、相いれない。
Clubhouse にはおそらく可能性があるし、それに食らいつこうとするのは悪いことではない。ただ、自分にとっては、声が聴きたいのであれば Podcast がある。別に Podcast じゃなくても YouTube や Voicy 、Radiko がある。単に友人との雑談を欲しているのであれば Discord を使えばいいのではないかと思う。手法自体は既存のものを使えば満たすことができるように感じる。Clubhouse の大きな要素は音声云々よりも人を結びつけようとする UX なのだろう。使ったことがないし、私の思想には反するのでこの先も使わないと思うが。