「必ず、見つけ出してやる。地の果てだろうと追いかけてやる!」
お、あの後ろ姿は? つ、遂にまた出会えたのか。走って追いかけようとするが身体が動かない。ま、待てー。
ようやく身体が動くようになって、追いかけたが懐かしい後ろ姿は、道を曲がると忽然と姿を消してしまった。
うん、いつの間にか寝てしまったのか?あれは、夢か。まあ、良い。いいか。 俺の前には、錬成を終えた金属の板とガラス瓶に収まった銀色の液体、まあ平たく言えば水銀に特製の刻印を打ったものが波打っている。
じゃあ、型にはめるか。
「ネコ、サポート頼む、さっきの設計図を適当にその辺に投影しといてくれ。順番は任せる」
「はい、マスタ。壁に投影したような感じで網膜に像を形成するようデータを脳に送ります。セキュリティ・レベルマックスに設定、第三者の覗き見及びハッキングは不可能です」
俺は、金属の板と水銀を階段状に重ね合わせてから軽く捻り、最終的にはブレスレットの形状に変化させる。いぶし銀の表面にはこの国の者には判読できないような文字が刻まれその表面を覆う水銀が不規則な動きで流れて行く。
「じゃあ、起動してみるか?ネコ、記録用意」
「了解、マスタいつでもどうぞ」
俺が魔力を通すと、銀のブレスレットは赤く輝き、水銀が揺らめいた。
俺の視界には、異界から来た者どもの位置が赤い光点となって現れる。なかなか、興味深い光景だ。
ほう、本日いやもう日付が変わっているから昨日訪れた街には、かなりの数、異界からの訪問者がいるようだな。
「ネコ、この状態でマーキングできるか?」
「いえ、マスタ。残念ながら個別識別するためには一度接触してその者の魂のパターンを記録する必要があります。現状では、ただ、この国の人間と異界の人間の差異しか表示、記録できません」
まだ、改良の余地がありそうだな。使い魔との連携も考慮に入れれば、なんとかなりそうだが。
「そう言えば、アンドロマリウスとか言ったか。あの使い魔は、今どういう状態なんだ?」
「まだ七二柱しんちゅうの壺を使って再召喚していませんので、彼らの次元、魔界に待機状態で存在しています。ただし、魔力の経路は七二柱の壺に記録させていますので軽易にそれほど魔力も消費せずに再召喚できる状態です」
「そうか、地道に初回の召喚で使い魔を増やして。ある程度まとまったら、ドカンと大量に再召喚して扱き使うのが効率的なのかな?まだまだ、面倒だな。どれ、ソローンの状態を確認するか」
『ソローンの造り手』の前に魔法陣が現出するとその中に、ソローンの姿と文字と数字の書かれたカードが輝きを帯びて浮かび上がる。
名前: ソローン
種族: ホムンクルス
LV: 17
STR(筋力): 42
DEX(器用): 42
VIT(持久): 39
AGI(敏捷): 37
INT(知性): 42
MND(精神): 42
AUX 使い魔:
アンドロマリウス(アン)
魔界序列: 72
???: ???